職員日記 作:りんご飴
今後も亀更新でしょうがお付き合いいただけると嬉しいです。
❤︎月@日
天気:誰がなんと言おうと曇りだ
ルウィーに来た。
寒いです。カイロを持ってきてよかった(安堵。
おかしいなぁ、プラネテューヌでは海水浴が出来るくらいには暑いのにルウィーは雪降ってますやん。
今回は出張というわけではない。ネプギア様たちがルウィーで起こった事件を解決しようと言い出し、それを手伝えとの命令で来ました。あれ?出張と何が違うの?
ルウィーのシェアが原因不明に急速に下落したとの事だったが、来てみれば簡単。単に新型のマジェコンが出回ったというだけだった。
うん、俺が作ってたのとは違うやつだ。日進月歩ということか。なんとなく感慨深い。
ちなみに全部皆さんが壊しました。
俺は少し街を見て回っていたから先に向かったネプギア様たちを追うように教会に行きました。
衛兵に捕まった。解せぬ。
〃日℡日
天気:いつから晴れだと思っていた?
なんでも昨日教会に侵入者が現れたらしく、見かけない顔で教会に近づく人を拘束してたらしい。
今日のお昼前になってようやく解放された。冷たい石畳の上で寝るのは堪えたぞ…。毛布一枚しかないという悪環境だったが飯がちゃんと出ただけましか。それでも捕虜にたいする扱いの酷さを訴えたい。
取り敢えず、ネプギア様たちを探したが見つからない。今度こそちゃんと教会に入ると教祖様に出会った。優しげな感じのゆるーい人だった。ミナさんと言うらしい。彼女曰く、ネプギア様たちはラステイションに向かったとか。
え?置いてかれた?
▲▽▲▽▲▽▲▽
ネプギアはユニとともにブレイブ・ザ・ハードを撃退し、アイエフ達と合流していた。
「よくやったわね、あんた達。でも無茶し過ぎよ?私たちも頼りなさいよね」
勝利を喜びながらも二人を諌めたアイエフは続けた。
「それで、一旦ルウィーに戻るわよ」
ネプギアは疑問符を浮かべた。
てっきりプラネテューヌに戻るのだとばかり。
「次から次へとだったから忘れてるかもしれないけど、私たちはルウィーにアレン執政官を置き去りにしたでしょうに」
苦笑しながら告げたアイエフを見て、ようやく思い出す。ネプギア自身はあまり関わったことはないが女神が不在の三年間、プラネテューヌを運営していた傑物のことを。
そういえばルウィーで街を見て回ると別れて以降、行方が知れなかった。アイエフによるとトリックの一件で警戒態勢だった教会に一時的に拘束されていたらしい。そのことを先ほど顔を青くしてたミナに聞いたのだとか。
「ミナちゃんってば顔が真っ青であたふたしてたんだよ!」
「ミナちゃん、とっても面白かった」
大人の事情など露もしらない双子はにこやかにそのことを話すが、キチンと理解できているケイブやアイエフにとっては重大案件である。
事情があったが、暫定的な地位とはいえ国家の最高権力者を無理やり拘束し、独房に放りこんでいたのである。間違いなく外交問題に発展する。
しかも相手はあのミナだったのだからその慌てようが目に浮かぶ。
「ねぇ、そのアレンっていうのは?」
蚊帳の外が気に入らないユニが尋ねる。
「僕もあんまり知らないけど、プラネテューヌの偉い人だよね?」
重ねるように5pb.も声を出した。
「簡単にいえば女神様の代行よ。プラネテューヌを運営してるの」
「女神の代行?教祖じゃないの?」
ユニがアイエフの簡素な説明に首をかしげる。女神の代行といえば教祖じゃないのかと。事実、ルウィーでもリーンボックス、そしてラステイションでも教祖がそうであったのだ。
「それが違うのよ、ややこしいけどね。細かい違いを言えば持ってる権限ね。教祖はあくまで女神とその候補生の下でしょう。でも女神代行の執政官であるアレン様は女神と何ら変わらない権限があるのよ。つまり、ネプギアが戻って来た今でもプラネテューヌの最高権力者はアレン様なのよ」
難しいことには弱い日本一などは分かったような分かっていないような声を出しながら頷いていた。
ユニはというと少なくない衝撃を受けていた。女神は人の為に存在している。それがゆえに行動原理は人の為である。そうではない女神もかつては存在していたようだが、今は関係ない。言い方が悪いがプラネテューヌは1人の人間に強大過ぎる権力が与えられているのだ。一歩間違えれば独裁と言われてもおかしくない。だが現実そうではないのだ。ユニはアレン・エドワードという男に一層の興味を持った。
「あんまり待たせるのもアレだし、さっさと行くわよ」
ルウィーに着けば変わらず顔の青いミナが出迎えてくれた。なんでも彼はネプギア達の行方を聞いた後に教会を去ったらしいが、ルウィーを出た形跡がないことから何処かにいるらしい。
しかし、アイエフが事前に聞いていたアレンの携帯に連絡を入れるが一向に返信はない。
何回目になるかも分からないコールを繰り返し、また電源が切れているか、電波の届かないところにいるというメッセージを聞いていた。
「おかしいわね、これだけ連絡しても一度も返信がないなんて」
ケイブが零す。それは暗に彼の身に何かあったのではないかという可能性を提示していた。
単に携帯の電源が切れているだけなのかもしれない。もしくは本当に圏外にいる。
だが、もし、そうでなかったら。
つい先日、アレンは犯罪組織に拉致されていたのだ。今度もまたという可能性は消し去れない。加えてここルウィーでは犯罪組織が大々的に活動していたのも不安を大きくしていた。
「とにかく、探すしかないですの」
彼女達はバラバラになり、街中を探し回る。
いかにもな裏路地から人の多い大通り、幾つかショップの中までも見て回る。
しかし影すら捉えることは出来ず、ついには陽が傾いて来た。
一旦、集まったネプギア達はそれぞれの得たなけなしの情報を交換していく。だが、やはり芳しくはない。ここらでひょっこり現れればなどと考えも浮かぶが現実はそう甘くはない。
ただ無為に時間だけが過ぎて行った。ついには空の彼方に陽も沈み、あたりは静かな闇へと包まれていく。肌に突き刺すような冷気に震えながらも探し続ける。見落としたものがあるかもしれないと、ライトで暗闇を照らした。
「あいちゃん!これ見てくださいです!」
そんな中、コンパが声を上げた。
皆が駆け寄る。そしてコンパの指さす先に視線を向けた。
そこに落ちていたのは極々普通の手帳。
だがその装丁には簡素な刺繍が施されており、それは他でもない彼の名前だった。
本当に短い間とはいえ、何度か目にしたこの手帳は彼がつけていた日記帳だ。
それがここに落ちている。
ただ落ちているだけならまだ良かった。
だが、そこには黒ずんだ何かが
ケイブが一歩出、撫でるように触れた。
「間違いない、これは血よ」
戦慄が一向に疾る。
ネプギアがすぐさま手帳を拾い上げ、開く。
そして最後に書かれたと思われる今日付けの日記を見つけた。
血で汚れ、掠れてはいるがなんとか読むことは出来る部分があった。
&月℃日
天気:☀︎
やばい、やばい、やばい、やばい
まだ死にたくないぞ!?
今回は前回の工場と違ってまともにシリアルやります。