職員日記   作:りんご飴

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普通にオリジナルな設定、もしくはオリジナル解釈入りました。




第2話

*月÷日

天気:曇りと見せかけて晴れ

 

最近大量の書類に押し潰されて圧死する夢を見る。

夢ではなく、現実でも大量の書類に押し潰されてるが。

今日も今日とて女神代行として馬車馬のように働いた。最近は慣れてきたので仕事のスピードも上がったと思う。最初は1日かけても終わらなかったが今では定時には終わらせる事ができる。この速度にはイストワール様も驚いていたが大袈裟だ。みんな本気出せばこれくらい出来ると思う。そうイストワール様に言ったら呆れた顔をされたがこの調子で頼むと言われた。

 

とにかく女神様達の救出まで頑張る。

 

 

 

 

 

▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

 

 

 

 

「これからねぷねぷ達を助けに……」

 

「気負い過ぎるのはダメよ、コンパ」

 

教会の通路を歩く二人の少女。

説明するまでもなくあいちゃんことアイエフとコンパである。

二人はこれから行われる女神救出作戦に参加する。彼女らはブリーフィングの為にとある部屋に向かっていた。

 

そこは女神の執務室がある教会のフロア。通常、足を踏み入れることが少ない場所だ。アイエフとコンパはネプテューヌの友人ではあるが執務室で真面目に仕事などまずしないネプテューヌなのでこのフロアに来るのは初めてだった。

 

やがて二人は一つの扉の前で立ち止まった。

そこは今現在プラネテューヌという国家を運営している実質の支配者たる人物の執務室。

 

「あいちゃん、どうかしたですか?」

 

扉に手をかけたにも関わらず、何時までも開く様子のないアイエフを不思議がったコンパが声をかける。

 

「この部屋にいるのは女神様達が捕まって大混乱に陥ったプラネテューヌを纏め上げ、国内での犯罪組織の活動の9割を潰してる人物よ。優秀な人物は危機に陥って初めて頭角を表すなんて言うけどその通りね」

 

「すごい人なんですね!」

 

「すごいなんてもんじゃないわよ。他の国のように女神候補生がいるならまだしも、候補生すらいないこの国を教祖でも何でもなかった人が他の国と同等以上の水準で維持してるのよ?どれだけの能力があればそんなことが出来るんだか…」

 

「あいちゃん、緊張してるですか?」

 

「そ、そうね。見かけた事はあるけど直接会うのは初めてだし」

 

すると突然、扉が開いた。

 

「あ、お二人ともお待ちしていましたよ。さ、アレンさんも待ってますからどうぞ」

 

開いた扉からイストワールが顔を覗かせ、二人を中に招き入れる。どうやら待たせてしまっていたようだ。それに気づいた二人も慌てて装いを正し、入室する。

 

「し、失礼します!」

 

「失礼しますですぅ」

 

緊張した面持ちで中に入った二人を迎えたのは執務机に両肘をつき、顔の前で手を組んだ青年だった。

 

「わざわざ来てもらってすまないな、アイエフさんにコンパさん」

 

まず、聞こえたの感謝。

一言、二言挨拶のようなものをする。

そして救出作戦の概要の説明がイストワールからあった。

その間、二人は作戦を頭に叩き込まんと真剣に聞いていたが、アレンはアイエフとコンパを見つめており二人は何かしてしまったかと気が気ではなかった。

 

「以上が救出作戦の概要だが、何か質問は?」

 

「一つ良いでしょうか?」

 

アイエフがおずおずと手を挙げた。

 

「なんだ?」

 

「もう一つシェアクリスタルがあるということでしたが、そちらを使うことは出来ないのですか?」

 

もっともたる質問にアレンは静かに答えた。

 

「わが国は知っての通り女神がいない。こんな状況を改善するための本作戦なわけだが、一つ懸念すべき事がある」

 

「それは?」

 

「犯罪組織の襲撃」

 

アイエフがハッとした顔をする。少し考えれば分かる事だった。女神がいないゆえにシェアクリスタルはプラネテューヌにとって非常に貴重なものだ。エネルギーの塊であるシェアクリスタルは国防にも関わるものなのだ。それを一つ使ってしまうという事は間違いなく国の隙となる。それを見逃すほど犯罪組織が甘いだろうか?そんな事はないのだろう。そもそも成功するかも分からない作戦なのだ。シェアクリスタルを全て使うなどリスクが高すぎる。

 

「すみません、考えも足らずに…」

 

「いや、構わないさ。他に聞きたい事はあるか?」

 

アイエフは首を横に振る。アレンは続けてコンパにも目を向けたが無論コンパも質問などはない。というか難しい話なので下手に口を突っ込もうとは思えなかった。

 

「よろしい、では君たち二人の健闘を祈る。女神の加護があらん事を」

 

「はい!」

 

「はいです!」

 

そうして二人は退室し、数時間後ギョウカイ墓場へと向かっていった。

 

懸念されていた犯罪組織の襲撃もなく、作戦は成功。無事ネプギアが救出された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ネプギアだけでも救出されたという結果に国中が沸き立つ中、アレンの執務室にはイストワールがいた。

 

「アレンさん、わざと(・・・)ネプテューヌさんを救出されなかったんですか?」

 

イストワールはそう問いかけた。わざと女神を救出せずに候補生であるネプギアだけを救出したのではないかと。

 

「まさか。俺がシェアクリスタルを一つしか渡さなかった事を言っているのか?」

 

「あの時、アイエフさん達に貴方が渡したのはいくらかのエネルギーを別に移した(・・・・・)シェアクリスタルでした。内包するエネルギーが少ないシェアクリスタルではネプテューヌさんまで助ける事が出来ないのは分かっていたはずです。言い方を変えましょう、貴方はネプテューヌさんとネプギアさんのどちらかしか助ける気がなかった」

 

イストワールの真剣な物言いにアレンは口をつけていたコーヒーを机に置き、黄昏に染まった空を一瞥した。そしてイストワールに向き直る。

 

「たとえプラネテューヌのシェアを全て注ぎ込んだとしても女神全員を救出できない。しかし自国の女神は候補生共々救出できる。この意味が分かるか?」

 

「いえ……」

 

「もしも俺たちがネプギア様だけでなく、ネプテューヌ様も救出してしまえば他国の連中にはどう映るだろうな?」

 

ようやくイストワールは意味を理解した。

 

「そう、プラネテューヌは自国の女神しか救出しない連中だ、他の国の女神なんか助けない自己中な奴らだと思われる。それは困る。ゲイムギョウ界全土で活動する犯罪組織を潰すには各国との協力は必要不可欠だ。こんな早い段階で他国との軋轢を生むような事は出来るだけ避けたいんだよ」

 

「しかし…、ネプテューヌさんを助けることが出来ればプラネテューヌのシェアをかなり回復させる事が出来たはずです。そうなれば他の女神様も救出する事も可能だったと思いますが?」

 

「その辺は微妙なバランスを気にしろ。女神まで戻ってきたとあれば犯罪組織はこの国を重点的に攻撃し始めるだろう。そうなれば他国の女神を救出する暇なんかない」

 

改めて今のゲイムギョウ界がギリギリのところで形を成している事を意識しなければならなかった。

 

「安心しろ、イストワール。犯罪組織への反攻作戦に女神は必要不可欠だ。いずれ、必ず助け出す。それまで少しばかり女神様方には辛抱してもらおうじゃないか」

 

イストワールは再びコーヒーを飲むアレンを見て、自分はとんでもない人を目覚めさせてしまったのかもしれないと戦慄していた。今までは教会の端で目立つ事のなかった彼が今ではいなければこの国の維持など出来ないと思わせるほどに重要な存在になっているのだった。

 

 

 

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=月?日

天気:快晴

 

最後に日記をつけてからいつの間にか3年も経っていた。未だ女神様達は救出されていない。

しかし、だ。本日、女神様の救出作戦が行われた。

ブリーフィングの時にアイエフさんとコンパさんが可愛いのでジロジロ見てしまった。変態に思われただろうか?それにかなりカッコつけてしまった。滑稽に見えてないよね……。

 

結果は成功ではあるものの失敗。

作ったシェアクリスタルではエネルギーが足りずネプギア様しか救出出来なかった。実行部隊の二人の話であればもう一つあればネプテューヌ様も救出出来そうだったとのこと。

 

実はシェアクリスタルはもう一つあった。

その報告を聞いて持たせるべきだったと後悔した。緊急事態に備えてとか言って、実は勿体無くて持たせなかった俺が悪かったです。

 

それとイストワール様がなんか深読みし過ぎて怖かった。シェアクリスタルのエネルギーを移したのはこれくらいあれば足りるだろうとかいう浅慮からです。とにかく勢いで誤魔化したが、なんだか勘違いされてる気がしなくもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




自分的には結構書いた方です。
なんか日記が少ないですが……。


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