職員日記 作:りんご飴
久しぶり過ぎて笑えない。
というわけで例に則り短い。それにどんな風に書いていたか忘れ気味です。
/月/日
天気:知るか、そんなもん
ギョウカイ墓場から帰ることが出来ずに彷徨い続けて幾星霜(嘘)。実は半日ほど。そろそろ身体が空腹を訴えるのもやめてきた頃だ。人間体重、40kg切らなければ生きてられるって先生が言ってた。今の体重が62kgなので22kgの猶予がある。
さて、まずは女神様達の誤解を解かねばならない。なんか理不尽な感じだったけどね。というか、周りの期待が重すぎて、それに応えようとして必死になるとさらにハードルが上がるという無理ゲー。そろそろハードルというより高跳びの領域ですよ?最後は棒高跳びくらいまで行っちゃうのかいな。
それにしても腹が減った。
つい先ほどもモンスター相手に戦闘をしたところだ。カロリーばかり消費されていく。ついでに銃の弾も。もう、弾倉が二個しかない。
……………モンスターって喰えるのだろうか?
▲▽▲▽▲▽▲▽
ネズミ界のアイドルことワレチューは戦慄していた。
いつの日か工場の同僚として働いていたアレン・エドワードが鳥型のモンスターに噛み付いている現場に遭遇してしまったのだ。
「な、なにしてるっちゅか!?」
無理やり噛み千切ったのだろう。モンスターの一部が欠損していた。渋い顔で咀嚼していたアレンがこちらを向く。
「む、君はいつぞやのネズミ君じゃないか。こんにちは」
「いやいや、なに冷静に挨拶してるっちゅ!なにやってるっちゅ!?」
「なにって、見ての通り食事だ」
そう言って彼は手に持っていたモンスターを見せる。だが、それは砕けるように消えてしまった。HPが尽きたのだろう。
「あ、飯が……」
残念そうな呟き。
ぐぅ、とアレンの腹は空腹を訴え続けていた。俯いていたアレンが顔を上げ、自分と目が合う。
ゾッとした。
蛇に睨まれた蛙。獅子の目の前に放られたウサギ。猫に追い詰められた鼠。自分が被食者になる、そんな恐怖がワレチューを支配した。
「ぢゅーー!!オイラは食べても美味しくないっちゅよォ!!」
「いや、流石にネズミは汚い」
閑話休題。
「こんなところで何してるちゅっか?」
ワレチューの持ってきたレーションを頬張るアレンに問た。
「それがかくかくしかじかでな」
「なるほど、まるまるうまうまっちゅか」
「………………」
「………………真面目に話せっちゅ」
「はい」
そしてアレンは説明した。それはもうギョウカイ墓場に取り残される経緯どころか、そもそもどうしてギョウカイ墓場に来たのか、さらに自分がどれだけ苦労をして執政官をしていたのかまで。
己がどれだけの理不尽なほどの誤解と勘違い、そして期待に苛まれてきたのかをそれはもう、事細かに説明した。
聞くも涙、語るも涙。
実際、半泣きになりながらもアレンはワレチューにここ数年の己について語った。そしてそれを聞いたワレチューもまた、涙を流した。意外と彼は情に厚いのだ。
つまり、ここに漸くアレン・エドワードは己の理解者というものを手に入れた。自身の不遇を嘆くだけでなく、それを聞き、辛い想いだけでも分かち合うことの出来る友を得たのだった。
何も進んでいない。