東方大戌伝   作:-褌-

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惨 自分

あれ、俺って誰だ...?

 

 

 

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そんな素朴な疑問を抱いて軽く一時間がたった。

 

答えは一向にして出てこない

 

(記憶喪失とかいうやつなのか...?)

 

自分には全然分からなかった

 

そんな事を考えていると空の色が若干、紅に染まりかけている。

 

(もう夕方か...)

 

人間ならまだしも何故か犬になってるんだよなぁ...

まずここがどこかもわかってないし、どうするか

 

(まぁ、どこか適当な場所を見つけて寝れればいっか)

 

そんなこと考えながら俺は周りを歩き寝床を探した。

 

 

 

15分くらい経つと簡単に洞窟があった

何で洞窟があるんだよ、まずそこからおかしいだろ。

 

馬鹿なことを考えながら俺は洞窟に入ろうとした...

 

 

その時だった

 

 

「...誰だ!」

 

 

洞窟の中から女性の声が聞こえる。

どうやら先客がい...たよ......うえ?

先客?こんな洞窟に?

 

俺は少し足取りを早め洞窟の内部へと足を進めた

 

すると奥の方からポッと明るい光源が見えた。

誰かが火を熾しているようだ

 

 

近付くにつれ灯りの強さは増していった。

 

(やべぇ、あったかそう)

 

なにか本能的に引き付けられている気がした

為されるがままにしていると火の近くに人影を見つけた。

 

その人影の正体は、女性だった。

 

 

「...なんだ犬か」

 

 

その女性は俺を見て安堵の息を漏らす

だが俺は居ても立っても居られない様な恐怖に襲われていた

 

「ん?どうした寒いのか?」

 

彼女は震える俺を心配して手を差し出してくる

俺は警戒しながら彼女の目を見た

 

彼女は笑顔でこちらを見てくる

 

「大丈夫だよ、おいで」

 

そう言い手でこっちへ来るように催促をする

 

 

ココだけ見ると普通なのだが...

なぜ俺がここまで恐れているかには理由があった

 

それは彼女が

 

 

 

 

    [鬼]

 

 

             ...だということだった

 

 

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「はえぇ、あったかいぃ...」

 

彼女は俺を抱きながらそう言う

俺は抵抗しようと無駄なので黙って抱かれている。

 

ていうかまずなぜこの日本にまだ鬼が生きているのだろうか

そして想像と全然違ったんですが...

まて、今俺が疑問に思っていることを纏めよう

 

 

1つ、俺が間違っていなければ今は20○○年の●月×日なはず

 

2つ、妖怪は空想の生き物である

 

3つ、鬼もっと怖いはず

 

 

以上だ

 

「モフモフでかわいいですね~」

 

まず、3番は俺が間違っていた

っていうより日本全土が間違っていた

 

2つ目も鬼がここにいることからあながち先祖たちが残していった書物は間違いではなかったようである

 

最後に1だがこればかりは確信をもてる、俺は間違ってない

何故かは知らんが間違ってない

 

 

...なんか考え事してると眠くなったな

少し寝るか...

 

「あ、寝るんですか?なら私も一緒に寝ます!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一人でしゃべる鬼が可愛く見えてきたのは余談だろう

 

 

 

 

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「ふわぁ...」

 

鬼が起きる

俺は何か知らんが早朝に目が覚めた、習性って奴かもしれない

 

まぁ、それはどうでもいいんだ

今回重要なのは何か体が変ってことだ

 

体の奥底から何か変な力が湧き出てくる感覚だ

正直謎の力に合ってて気持ち悪い

 

「あれ?犬さん?」

 

どうやら鬼が俺に気付いて洞窟から出てきた

 

ここで俺は考える

こいつに何かしら伝えれば今の俺の状況がわかるんじゃないか...?

 

取りあえず善は急げ(?)という今すぐやろう

 

病弱アピールしときゃわかんだろ

俺は地面に寝そべり口を半開きにして仰向けになった

 

鬼はそれを見て...

 

 

「え?撫でていいんですか?」

 

 

 

 

 

違う、そうじゃない


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