GATE 自衛隊彼の地にて、ザク戦えり   作:兎の助

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接触編
第零話:18mの巨人


 星々が煌めき、月が輝く真夜中の広大な野原にいくつもの照明弾が打ち上げられ、その光が真下にいる軍勢を照らし出す。中世ヨーロッパ風の甲冑を身につけた騎士もいれば、ローマ帝国を連想させる青銅製の胴鎧を着た者、黒いフードを被り奇妙な形の杖を持つ集団の姿も見える。

 それ以外にもファンタジー作品に登場するオークやゴブリン、ジャイアントオーガーといった怪異の姿も見えた。そして全員が全員、一人の例外なく完全武装しており、戦闘開始の合図を今か今かと待ちわびている。

 

 そしてそれらと相対するように反対側の小高い丘の上には18mもの高さを持つ巨大な人型兵器の姿。その巨体は深緑に塗られており、アクアラングを付けたような特徴的な口吻部と紅いモノアイが見る者に強烈な印象を与える。

 そしてその足元にある塹壕の中には64式小銃やミニミ軽機関銃を携えた多数の自衛隊員が息を殺してじっとしていた。彼らを訓練の時とは比べ物にならない緊張と恐怖が包んでいる。  

 

 彼らがなぜこのような場所で戦っているのか、それを語る前にまず門が銀座に出現する1年程前まで時を戻そう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 自衛隊の東富士演習場では富士総合火力演習、通称『そうかえん』が行われ、その見学抽選に見事当たった幸運な大勢の人で賑わっていた。戦闘ヘリのAH-1S『コブラ』やAH-64D『アパッチ・ロングボウ』、74式や90式、そして最新鋭の10式といった戦車の実弾射撃演習に観客は拍手を送る。

 

 そこへ近づく一台の巨大なトレーラー。ODカラーに塗装されたそれは通常のトレーラーの倍以上に巨大で見る者を圧倒させる。その荷台には何かが積載されており、中が見えないよう覆いがかけられている。トレーラーが観客たちの前で止まると、会場全体にアナウンスが流れ始める。

 

アナウンス「これより自衛隊の最新装備を皆様にご覧いただきます。ジオニック社とツィマッド社の共同開発によって完成した新世代の兵器。ご紹介しましょう、MS-06J『ザクⅡ』です!」

 

 紹介が終わると同時に荷台の覆いが外され、その中身が露わになる。そこに横たわっていたのはずんぐりとした手足と腰回りに配線パイプが付いている巨大な人型兵器の姿だった。

 やがてグポーンという独特なモノアイの起動音と共にザクはゆっくりと動き出し、トレーラーから立ち上がった。観客は歓声も拍手も上げるのを忘れ、呆然とザクを見つめ続けていた。

 

 それから数日後、防衛省と開発元のジオニック社、開発協力のツィマッド社、そしてガンダムの著作元であるバンダイナムコホールディングスによる合同記者会見が行われた。

 

加納「ジオニック社及びツィマッド社による提携を通じ、自衛隊にMS-06J『ザクⅡ』とMS-05J『ザクⅠ』を開発、配備する事を決定致しました。」

 

記者「日の丸新聞の丸山と申します。ジオニック社に質問ですが、何故MSを開発することが出来たのかお教え願いますでしょうか?」

 

ジオニック社「それは我が社の極秘情報ですので秘匿とさせていただきます。」

 

記者「朝焼けテレビの古井です。MSの配備理由はやはり隣国との政治的理由が原因なのでしょうか?」

 

加納「そうではありませんが、昨今のテロや核兵器等に対応するべく我が国の防衛意識向上の為に開発致しました。今後は各自衛隊駐屯地に配備、運用していく予定です。」

 

 こうしてザクⅡとザクⅠは配備されたのだが、それを良く思わない者達も少なからずいる。自称平和市民団体は横断幕や旗などに『9条を守れ!!』『新兵器開発断固反対!!』『兵器開発を中止せよ!!』といった抗議文を書き、議事堂の前で日夜デモ活動を行っていた。

 反発は野党においても同じだった。野党勢力は核融合炉を動力源としているザクは核兵器に該当するのではないか?安全性は?非核三原則に反している等と与党側に対して強く抗議した。

 ジオニック社はイオネスコ型核融合炉はこれまでの核融合炉や原子炉に比べてはるかに安全だと説明したが、納得のいかない野党勢力との意見は平行線のままザク配備から一か月が経とうとしていた。

   

 だがその時、東南アジアにおいてマグニチュード9.0の超巨大地震が発生。更には巨大な熱帯低気圧が直撃し、甚大な被害をもたらした。日本政府は東南アジアに自衛隊を災害派遣させる。

 その際、最も活躍したのがザクであった。浸水の影響で通常の重機では通れない道も通れるうえ、建物内に取り残された市民の救出や瓦礫の撤去作業、生活物資の入ったコンテナの輸送等、目覚ましい活躍を世界に見せつけることとなった。

 この事を機に市民団体のデモ隊や野党勢力は抗議する大義を失い、失速した。

 

 陸上自衛隊第16旅団3個MS連隊という新しい部隊も新設され、MSは国防の要として世界に注目されていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから翌年の夏…あの事件――銀座事件――は巻き起こる。

 

 

 

 

 

 

 




どうも、メガネラビットです。

この作品は私がアニメを見ながら思いついた作品です。
ちなみに私はジオン軍派です。
ですので登場するMSはすべてジオン軍のものが出てきます。
それとMS IGLOOの登場人物がちょこちょこ出てきます。
いつものようにマイペースで投稿していくので次回はいつになるか分かりません。
それでは皆様、また次回お会いしましょう。

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