混沌の中で選ばれし英雄 ~理不尽な世界を魔法と人型兵器で破壊してやる~   作:氷炎の双剣

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もしこの時がエイプリルフールだったらという妄想を元に作っております。

また閑話の中身も募集しております。
このキャラとこのキャラの絡みが見たい等ありましたらお知らせ下さい。出来る限り考えてみます。


10-A エイプリルフール(閑話)

 

【サラが撃たれた……】

 

「クソッ、離せ!!」

 

 ユーリが手足をばたつかせ、抵抗するがボディガードによって体は地面に吸い付いたように動かない。

 

「ユーリ君!! 逃げて!!」

 

 サラが悲鳴を上げて逃げるよう言うが、ユーリの体はびくともしない。

 

「ええぃ、黙れ!! このガキは始末しないと気が済まんわ!!」

 

 悲鳴を上げるサラを押しのけ、銃口をユーリに向ける。

 

 そしてパンッという音と共にユーリには走馬灯が見えた。

 笑顔のサラ。怒ったサラ。泣いているサラ。たわいのない事を楽しむサラ。どれもユーリにとっては大切なものだった。

 死にたくないと思うがこの事態に諦めた。

 

 そしていつか訪れる死へ目を閉じてその時を待った。

 

 だがその時はいつまでも来なかった。

 恐る恐る目を開くとそこにはさっきと変わらぬ光景がーーいや、目の前にサラが倒れていた。

 

「えっ?」

 

 と状況が理解出来ないユーリに男は吠える。

 

「ハンッ、馬鹿な奴だ。庇いやがって。僕と来れば地球では良い暮らしが出来るのに」

 

 死んだ物には仕方ないとやれやれと興味を無くし、宇宙船に入って行く男とボディガード。

 

 ユーリは絶望で、ただ呆けるしかなかった。

 

 はっと気がついたかようにサラの元に走る。

 

「サラっ!!」

 

 腕にサラを抱えるとずっしりとした重さがユーリに伝わる。この体温と重さはもうすぐ死ぬとは思えない。

 しかし体から流れる多量の血は死を意味していた。

 

「……ユ……ーリ君?」 

 

 薄ら目を開けてユーリを見つめるサラの瞳はどこか虚ろだった。

 

「ああ、僕はここに居るから!!」

 

 サラの手を強く握り返し、ここに居ることを伝える。

 

 すると安心したのか

 

「ユーリ君……ごめんね……」

 

 とサラは微かな笑みを浮かべ、眠るように目を閉じた。

 

「え? 嘘だ……イヤだ、サラ起きて!! 僕を、独りにしないでぇぇーー!!」

 

 泣き叫ぶユーリにサラは何も答えなかった……

 

 と思ったがサラの目はパチリと開いてむくっと起きあがる。

 

 目を丸くして口がだらしなく開いているユーリにサラが一言。

 

「ドッキリでした♪」

「サラの……バカァァァァァ!!」

 

 

 

 

 

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 いかがでした? 

 サラが死んでないというエイプリルフールでした。ちなみに胸には防弾チョッキと血糊を仕込んでありました。

 

 このシーンを簡潔に書き直してみました。昔とどっちがいいのか悩む所です。

 

 

 

 

 

 

【アイリーンの正体?】

 

 書類の山で埋もれそうな地球連合国本部の執務室。

 

 相変わらず書類に向かうルーカスを盗み見るアイリーン。

 ルーカスが必死でやってる様子はカッコイイと思う。

 真剣な表情に胸が高鳴る。

 また戦闘での無力感を悔しがるルーカスも力を貸してあげたくなってしまう。

 

 気付いたらルーカスの事を全肯定している自分に呆れる。ダメだわ。調子に乗らせてしまうから少し厳しくしないと。

 

 はあ……でも実際には素直になれないのよね。

 

 ルーカスの事が大好きなアイリーンは色んなアプローチを掛けているが本人にはあまり届いていないようだ。

 だからたまに意地悪したくなるのだ。

 

 再度ため息付くアイリーン。

 

 このまま悠長な事を言ってられない恋愛戦争。

 地球連合軍トップでイケメンで、人当たりも良いルーカスは知らぬ所で沢山のファンが居る。

 

 隙あらば付け入ろうとする者ばかりだ。この前も外出先で既成事実を作ろうと寝室に忍び込んで来た者すら居た。もちろん私が未然に防いだけど。

 私がそこ居たのは護衛だから当たり前です。

 

 と自分の世界に入ってしまったアイリーンにルーカスは首を傾げる。

 

「あれ、アイリーン? 寝てしまったか? おーい」

 

 一向に反応が無いのでアイリーンの顔を覗き込む。

 

 覗き込まれて我に返るアイリーン。

 

 みるみる赤面して行くアイリーン。

 

「ど、どう、どうしたんですか?」  

 

 明らかに動揺しているアイリーン。寝てたな。

 

「さては寝てただろ? 図星だろ?」

 

 どや顔するルーカスにアイリーンは一気に熱が冷めてくる。

 

「……寝てないですよ。少し考えごとしてただけです」

 

 いきなりの変化に驚くルーカス。これ以上追求の余地が無いので諦めて席に戻る。

 

 また書類に向かうルーカスにアイリーンはため息を付く。

 全く鈍感なんだから……

 

 モヤモヤしているアイリーンはカレンダーをふと見る。

 

 今日は4月1日。そういえば、ライン君から日本にはエイプリルフールという物があると聞いた事がある。やってみようかしら。

 もちろん仕掛けるのはルーカス。

 

 ルーカスにイタズラをしようと思うと自然とアイリーンの口角は上がってしまう。

 

「あの、ルーカス長官」

「ん?」

 

 無邪気な表情でこちらを向いてくるルーカス。心が痛い。

 それでもアピールの為には頑張らなくては。

 

「あの、その……ですね……」

「どうした? 珍しく歯切れが悪いじゃないか?」

 

 心配するルーカスに思い切って告白する。

 

「私、男なんです!!」

 

 その言葉を聞いたルーカスは固まる。そして何回も瞬きしてはぁ?と間抜けな声を出す。

 

「ーーちょ、ちょっと待った。言ってる意味が分からん。男ってその性別的な意味の男?」

「……そうです」

 

 アイリーンは消えるような声で言う。どうやら本気みたいだ。

 

「えーと、でもアイリーンはとても女性らしいし、美人なのにか?」

「……ええ」

 

 ルーカスの褒め言葉にキュンと来るがここは押し通す!!

 

 混乱して頭を抱えてしまったルーカスに近づいて手を取る。

 

「胸もパッドなんです、ほら……」

 

 とルーカスの手を自分の胸に近づけるーー

 

「ーーな、何してるんだ!!」

 

 慌てて離れたルーカスにアイリーンは残念がる。

 

「いや、胸を触って確かめて貰おうかと思いまして」

 

 と此処でにやついてネタばらしをする。

 

「ーーお、お前はな、何をやらせる気だったんだ!! こんなことーー」

 

 慌てるルーカスにアイリーンは無言で抱きつく。

 

「……私は他の人にはこんなことさせませんよ」

「ーーっ」

 

 赤面するルーカスにアイリーンはクスリと笑う。

 

「それにしても、まさかこんな手に掛かるとは……今日に感謝です」

「今日?」

 

 カレンダーを見て、全てを察するルーカス。

 

「……アイリーン。なるほどそういう事か。だが上司に嘘をついて良い日なんぞ無い!! 給料カットしてやる!!」

「そんな!! 軽い冗談ですよ!!」

「どこかだ!! 自分の目を疑ったぞ!!」

 

 と4月1日の執務室は騒がしいのだった。

 

 

 

 

 

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 こちらはアイリーンとルーカスでした。

 アイリーンも当初出す予定が無く、名もなき副官で男でした。その時の自分の思いつきによって生まれたキャラですね。こんなにも出番があるとは……今のところ一番近いカップルですね。

 

 注意、アイリーンは女性です。今回はネタにしただけです。

 

 

 

 

 

【グレンはスゴい?】

 

 アカデミーの校舎裏。ここは基本人通りは無い。通る必要の無い場所なのである。たまにゴミ箱のゴミをまとめて捨てに行く事はあるが。

 

 今日もある男女の密会が行われていた。

 男の方は赤い髪をオールバックにした男で情熱的な瞳が印象的だ。長身で引き締まった体は理想形だ。胸板も厚く、たよりになりそうだ。だが筋肉隆々という感じもしない。

 そして今日も甘い声で女に囁く。

 

 女はうっとりした目で男を見つめる。もう完全に墜ちている。

 

 そんな所にゴミ袋を持ったラインが通り掛かる。

 

「ん? あれはグレン?」

 

 また新たな女を引っかけているのか? でも不思議とグレンは修羅場にならないんだよなあ。そんなに上手いのか。

 

 ふとグレンから極意を学びたくなったが、首を振って考えを飛ばす。

 

 そんな隠して無い気配を感じたのか、グレンは女から体を離して帰らせる。

 

 何が今日はここまでだよ。焦らしもテクニックの一つってか?

 

 女を帰らせたグレンはまっすぐこっちに向かって来る。

 やべっ、ばれたか。

 

 早く立ち去ろうとするラインだったが、いつの間にかに壁に押し付けられている状態に。

 いわゆる壁ドンという状態だ。

 

「また盗み見かな? ライン君」

「……別に見たくて来た訳じゃ……」

 

 顔を逸らして答えるラインにグレンは頬を板挟みにしてこちらを向かせる。

 

 目の前のグレンの顔のドアップに思わず顔を逸らしたくなる。

 

「なーに、恥ずかしがってるの? まるで初心な女だな」

 

 女扱いされてムッとなったラインらグレンを睨みつける。

 

「ムキになったラインも可愛いなあ。……そういえば俺、男もいけるぞ?」

 

 甘い声で囁くグレンに体中に鳥肌が立つ。身の危険を感じる!!

 

 慌てて身を引いたラインにグレンは逃がさない。

 

「逃がさないぞ、子猫ちゃん」

 

 誰が子猫ちゃんだ!! と心の中で叫んだが、自分の貞操の危機に逃げるが優先だ。

 

 何とか腕の中から抜けたラインにグレンは突然腹を抱えて笑い出す。

 

「くくく……まさかこんな手に引っかかるとはラインもまだまだだな」

 

 どういう事だ? 状況が読めて来ないぞ。

 

 納得していないラインにグレンは笑いながらネタばらしをする。

 

「ふふっ……今日は、くく……エイプリルフールだぞ?」

「あっ……」

 

 全てを察したラインを見て更にグレンは笑いだす。

 

 そして怒ったラインがグレンを追いかけ回す。

 

 そんな様子を影から見ていたマナンはボソリ。

 

「その手があったか……」

 

 

 

 

 

 -----

 

 グレンとラインのお話でした。グレンがもし男もいけるぞという事を思いついたので書きました。

 いや、グレンは女好きだから男には興味無いはず。うん。

 さてラインが初心な反応をしますが、いや男でもこんな事されたらこうなっちゃいますよね!!

 というイケメンは恐ろしいと言いたかっただけです(謎)

 

 


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