meet again   作:海砂

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にらまれた団長

「ウイングさん……」

 

 昨日から竜崎が小難しい顔をしている。最近竜崎の表情が読めるようになって来たぞ俺。無表情だと思われがちだが案外冗談も言うお茶目さんだ。こないだはパームに惚れてもいいですかって尋ねてハリセンで殴られていた。

 

「何だ?」

 

「死神っていると思いますか?」

 

 飲んでいた紅茶噴いたよおもいっきり。し、ししし、死神ですと!? 何故に今それを俺に聞くとですか!?

 

「いるかもしれんし、いないかもしれん。が、何で急にそんな事を?」

 

「以前にもお話したと思います、『えるしっているか 死神は りんごしかたべない』という文章の事を」

 

 聞いたよ、つか知ってるよ。だから何でそれが今ここで俺に聞く事に繋がるのか小一時間問い詰めたい。いや駄目だ、竜崎を小一時間問い詰めたらこっちの精神力がもたない。俺の方が死ぬ。

 

「……昨晩、クロロさんがカナさんの部屋に行きまして、その場に死神がいるようなことを話してたんですよね……」

 

 クーローロー!! 俺の知らん間に何やらかしてくれとんじゃアイツ! つか死神がどうこう話してたってことはあの野郎、カナにデスノート触らせやがったな!! やっぱり早くに没収しておくんだった!!

 

「んー、少なくとも俺は見てないからなんともいえないがな……お前さんは見ててどう思った?」

 

 恐らく一緒にその映像を見ていたであろう夜神にも話を振ってみる。

 

「カナさんは『見えない死神』と言っていた。……まさか、殺しの手段の事か?」

 

 あーもう天才二人の見てるところで何やってんのクロロ弾幕薄すぎだよ!! せめて見てないところでやれよ! って、まあカナが監視されてる状況じゃそれも難しいかもしれんが……。余計な事スンナ!

 

「けど、ヨツバの人間とカナの接触はこの捜査本部に来てからは一切断たれている。この状態でヨツバ会議で挙がった者を殺す事はできないだろう」

 

「にしても、何らかのかかわりがあると見て良さそうですね……。クロロさんはシロだと思っていましたが、もしかしたらクロだったのかもしれません……」

 

 ほらみろ! 竜崎に睨まれちゃったぞおまいさん! もう俺シラネ! 何度も言ってるけど俺シラネ! 俺もう自分の保身の事しか考えないからな!! 後のことシラネ!!

 

「竜崎、どうしても一人呼び寄せて欲しい人間がいるんだが……知人ではないが、捜査の役には立つ」

 

「誰ですか?」

 

 一晩でやってくれるあの人です。

 

「多分FBIにいると思う……いないかもしれんがアメリカにはいるはずだ。本名ステファン・ラウド。身長180くらいの黒髪のイケメンだ。もしかしたら既に偽名でステファン・ジェバンニと名乗っているかもしれない」

 

「FBIならまぁ信頼が置けますしいいでしょう。もう少し具体的な情報をワタリに伝えておいてください。数日中に拉致します」

 

 何か今物騒な単語が聞こえた様な気がするけどキニシナイ!! 実際捜査の役には立つだろうしな、あの人。つーか疑問に思わないのな、竜崎。俺がお前さんだったら普通怪しむぞ。

 

「もうウイングさんは疑っていませんよ」

 

 顔に出てたらしい。これは喜ぶべきところかがっかりするべきところか。喜んでいいんだろうなやっぱり。

 

「ウイングさんがキラだということはありえません。今のキラと比較すればそれほどバカではないでしょうし、以前のキラと比較するとそこまで頭が回るとも思えません」

 

 今さらっと馬鹿にされたよね? 俺泣くぞコラ。マジで泣くぞ!

 

「ともかく、今はヨツバメンバーに加えてカナさんとクロロさんの監視も強化すべきだと私は思います。人手が足りないのでウイングさん達も手伝ってください」

 

「へいへい、んじゃシュートとパームにも伝えてきまっさ。あの二人も別に怪しくないだろ?」

 

「そうですね」

 

 俺は泣き叫びたくなるのをこらえてさっさと竜崎の部屋を後にした。これ以上話してたらマジで泣く。泣かされる。俺にだってプライドの欠片くらいはあるのだ。

 

 そしてシュートパームにも事情を話し、クロロの監視は俺ら三人が、カナの監視は引き続きマッツーが行う事になった。クロロ、何考えてるのか知らんがお前さんガチでやばいかもしれんぞ。


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