meet again   作:海砂

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雀聖、降臨する

「夜神くん、前から思ってたけどいい時計してるよね。いつもしてるけどそれ大事なもの?」

 

「ああ、父から大学の入学祝に貰ったものなんだ」

 

 見せてくれと頼むと、夜神くんは迷いもせず手から外して私に見せてくれた。なんか、ちょっと騙しているようで心が痛むようなそうでもないような云々。彼の死角になるようにうまく隠してボタンを四回引き、中にあるデスノートの切れ端を無事に取り出した。そして何事も無かったかのように元に戻して彼に返す。

 

「ホントいい時計だね、大事にしなよー」

 

「言われなくてもそのつもりさ」

 

 雑談にまぎれて切れ端確保完了! この切れ端は私が持つには少し物騒なのでウイングに預けておく。するとウイングはクロロにそのまま手渡してしまった。そりゃ、既にデスノ持ってるクロロに渡すのも判るけどさ……多分自分で持ってたくないんだろうな。

 

「俺が持ってると私利私欲に使いかねんからな」

 

 そんな冗談をいいつつ、あっさりと自分からそれを手放す。馬鹿だなあ、本当にそう思っている人間はわざわざ言わないし、ウイングがそんな人間じゃないってことは百も承知だよ。

 

 

「さて……めずらしくシュートがみんなを集めてたけど何するつもりなんだろう?」

 

 シュートの部屋に向かうと既に三人が集まっていた。で、ええと……何? コレ。

 

「あ、きたきた。パーム、麻雀打てる?」

 

 ええと……えええ? そこにあるのは麻雀卓(しかも全自動)と、それを囲む三人……。

 

「この世界にも麻雀があるとは知らなかった」

 

 クロロ麻雀打てるのかよ!

 

「自慢じゃないが俺は東大の龍と呼ばれた男だぜ……?」

 

 おいおいウイングが珍しく背中に炎をしょってるよ。

 

「J島先輩とキャンプに行った時に教えてもらったんだ、釣りと麻雀。暇つぶしにちょうどいいし面子も揃ってるしさ、パーム出来るなら一緒に打とうよ」

 

 いや、何故ここに全自動卓が……。おのれ竜崎、こんな物まで仕込んでいたとは恐るべし……あの人本当に事件解決する気があるんだろうか。

 

「なんだ、パームは打てないのか? それなら誰かもう一人連れてこないとなー。カナなら打てるかな」

 

「誰が打てないって言った?」

 

 やってやろうじゃないの!! オーホホホあなた達には負けなくてよ!!

 

 こうして、麻雀戦争の幕は切って落とされたのだった……。

 

 

~以下、音声のみでお楽しみください(どれが誰かは自由にご想像ください)~

 

 

「ロン、ピンフのみ」

 

「うっわー、そんなしょぼい手で上がるなよお前さん」

 

「なんかいい手待ってたの?」

 

「いい手もいい手、四暗刻の単騎待ちだぜ? こんなんめったにお目にかかれないってのによ」

 

 

「ロン、タンヤオ、ドラ6」

 

「ドラ6!? お前さん悪魔か!」

 

「上がれば勝ちだ。文句は麻雀のルールを作った奴に言え」 

 

「無茶苦茶だな。だが正論だ」

 

 

「落ち目の人の逆をいけ……名言だよね。ロン、ハネ満」

 

「お前さん……麻雀強すぎだろ……素人じゃねえだろ……」

 

「裸になってもらうぜ、おっさん」

 

 

「……うー、中切りが妥当なセンか……?」

 

「玄人は一度引いたら終いだよ」

 

「ロン。字一色だ」

 

「あqwせdrftgyふじこp;@:」

 

 

「そろそろカンベンしてください……カン」

 

「オレ達は友達でもなんでもねぇ、玄人だぜ」

 

「あ、ウイング、それ当たり。三色・槍槓」

 

「…………」

 

 

「俺はいつもこうだ……ここってところで運がねぇ…………」

 

「フン、イカサマでもするか、ウイング?」

 

「……そんな……馬鹿な……し、信じられん……」

 

「?」

 

「積み込み失敗したのに……俺が積んだのに……こ、これ……アガッテル……」

 

「バ、バカな!」

 

「こ、こいつ、自力で天和引きやがった……」

 

 

「自重? それは美味しいんですか?」

 

「あの天和以降変わったな……」

 

「ツモ!!」

 

 

「赤坂にいいモツ鍋屋見つけときました。これ終わったら行きましょうや」

 

「モツ鍋か、悪くないな」

 

「さあ……勝負を続けようか。来なよ、ドサンピン」

 

「くっそっ……仕方ねェ、一旦回すか……」

 

「おっと、そいつはロンだ」

 

「何!!?」

 

「どこ見てんだい、高えほうだぜ」

 

「エ……緑一色(エメラルドグリーン)!?」

 

「……『幻日(バフィーリア)』か……」

 

 

「バクチの負けはバクチで返す!」

 

「……まるで、人が変わったみたいだ……」

 

「ツモ! 国士無双十三面(ライジングサン)!!」

 

「な、何ィ!!?」

 

「ダブル役満と割れ目で32000、64000。全員トビだ!! ……まだ続けるか?」

 

「ま、まいった……」

 

 

~麻雀終了~

 

 

……恐ろしい戦いだった……たった一人のバカヅキによって雌雄が決してしまうとは……ま、まさかこれが天運だというのか!? ふー、お金賭けてなくて良かった♪

 

「は!? 賭けてるだろjk!!」

 

「賭けるって一言も言ってないよね?」

 

「言ってないな」

 

「言ってない」

 

「……」

 

 約一名どん底まで落ちきっている。知ったこっちゃない。お金賭けてたら恐ろしい数字になるとこだった★ミ ゲームはゲームだよねっ☆ミ

 

 といった感じで、全てを竜崎と夜神に任せて私たちはこれでもかといわんばかりに遊び呆けていた……。だってやることなくてヒマなんだもん。

 

 ちなみにオイチョでもチンチロでも、金は賭けずに一人がバカ勝ちし、何事もなく終了した。勝った一人はやっぱり凹んでいた。


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