meet again   作:海砂

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疑問と嘘と真実

 オレの知っている話では、最初から第二のキラはそう名乗っていた。けれどビデオの中の第二のキラは、自分をキラだと名乗っている。既にオレの知っている物語とは乖離が始まっている。いや、最初からウイングの物語とは違っていた。そう考えた方がいいだろう。

 

 オレの情報はどこまで正確なのか、Lとウイングを使って確認しておく必要があるだろう。だがウイングと共に行動するのは……今日の様子を見て、少し悩んでしまった。切れ者だと思っていたんだが……買いかぶりか? 或いはL達に見せるための演技か。特に夜神月には有能さを見せれば殺される可能性もある。そこまで考えていたのだとすれば、さすがとしか言いようが無いが……多分、99%地だろうな。

 

 夜神月、弥海砂、同じ名前の人物が出ている以上、この二人がキラで間違いないだろう。

 

「ウイング、パームとシュートを集めてオレの部屋に来い」

 

 内線をかけて、すぐに三人が集まる。……そういえばオレが最初にとった部屋をまだチェックアウトしていなかったな。あとでワタリに頼んでおこう。

 

「お前達は、どうする事を望んでいるんだ? 自分達が死なないようにと考えているのは勿論わかっているが。キラの新世界にするのか、それとも捕らえるのか」

 

 ようやく正気を取り戻したウイングが、その問いに答えた。

 

「……Lにキラを捕らえさせる。この世界では、このまま進めば竜崎がキラに負ける。そうならないようにするのが、俺の目的だ」

 

 成程、ということは手段は色々ある。Lに情報を流す。キラと第二のキラ……この場合は第二のキラのほうが望ましいか、そちらを誘導して尻尾を出させる。できるならばオレとしてはキラの世界を見届けた後にノートを奪い取るのがベストなんだがな。ヒソカとの約束を破るわけにも行かないし、オレ自身が危険でもある。……フルネームを名乗るんじゃなかったな。夜神月にはまだ知れていないはずだが。

 

「向こうの世界で出た映画にも出したけど、夜神月と弥海砂は途中でキラとしての記憶を失う。出来ればそのまま記憶を無くした状態で終了にしてしまえれば、Lは納得いかないだろうが、平和に解決するだろう。その方向に持って行きたい。協力してくれるか?」

 

「だったらオレにもっと情報を寄越せ。これからどうなる?」

 

 話を聞き出す前に、シュートが余計な事を口挟んできた。

 

「オレは……クロロを信用できない。クロロは自分でデスノートを手に入れてこの世界を自由に弄ってやろうとか考えてるんじゃないか?」

 

 当たらずとも遠からず。けれどそれよりもオレはヒソカとの約束を優先する。それ位判らないのか、この餓鬼は。

 

「シュート、それは違う。クロロはノートなんて使わずに自分の手で殺人でも何でも成し遂げようとするはずだ。この世界をメチャメチャにする可能性は確かにあるが、デスノートに関しては味方と考えて間違いないだろう。そうだろう、クロロ?」

 

 やはりウイングの醜態は偽装か? コイツの方がオレの事をよく理解している。どうやら、パームも同意見の様で、シュートは渋々ながら引き下がった。

 

「……まずは今後だ。弥海砂がすでに第二のキラ候補として挙がっているのは判った。オレの知っている通り、彼女が確保されるのか?」

 

「ああ、すぐに確保されるだろう。その後で夜神月が自分から監禁して欲しいという所……そこまでは同じだ。けれど、ノートの所有権が移動する相手が違う。映画ではキャスターの高田清美だが、こちらの世界ではヨツバグループという企業の上層部の一人に渡される」

 

 ターゲットそのものが違うということか。それはかなりのズレだな、そこまで違うとは少し予想外だった。……そもそも、コイツらは何故、この世界の事をこんなにも忠実に知っているのか? 念能力での未来予知……違う、この世界では念を使えない。ウイングの映画の世界に入ってしまったにしては相違点が多すぎる。

 

「わかった。夜神月とLでそのヨツバの幹部にはたどり着くんだろう? そこまでは静観させてもらう。お前達のやりたいようにすればいい。何かオレにする事があれば協力しよう。それでいいか?」

 

「ああ。助かるよ、クロロ。今夜はもう遅い。明日改めて、この先の出来事に関しての詳細をお前さんにも話すとしよう。あとシュートにもな」

 

 ウイングとパームがアイコンタクトをとっている。二人はこの先の出来事を知っているということか。

 

「それならば、今夜は解散だな」

 

 三人が出て行って、部屋の中にはオレ一人が残る。……ウイングには、まだ隠してる事がある。それが何かまではわからないが、いずれ全て手に入れてみせる。奴らの握っている情報も、死神も、デスノートも、全て。


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