meet again   作:海砂

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ウイングの暴走

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 ⊂二二二( ^ω^)二⊃ブーン

 

 

 

 

 アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ

 

 

 

―――しばらくお待ちください―――

 

 

 結局、TV出演したウイングはマトモに話すことも出来ず、Lは世界中の重鎮達からフルボッコにされてしまっていた。

 

「ウイングの馬鹿……」

 

 まさか、あそこまで駄目な人だと思わなかった。……実は少し、すごい人かもしれないとひそかに尊敬していたのに。騙された。というかオレの見る目が無いのか。

 

 Lは三日ほど、その各国首脳やらなんやらの応対に追われ、ワタリも姿を見せるどころか(まあ夜神月が来てからは姿を見せなくなってはいたんだけど)PCにすら出てこなくなった。全部ウイングのせいだ。捜査は完全にストップしてしまっていた。

 

「……ここまで馬鹿だとは思わなかった」

 

「すんません……」

 

「つかさ、もう少しやりようが無かったわけ?」

 

「……命かかってると思ったらテンパってしまいました……」

 

 とりあえず関東地方だけのオンエアでよかったよね。全世界同時生中継だったりしたらウイングいい恥晒しだよ。

 

「充分恥晒してきますた……」

 

「でも殺されなくて良かったね」

 

「殺す価値もないと思ったんだろう、あれを見ては、な」

 

 クロロは厳しい。けど、オレはとりあえずどんな事情であれウイングが殺されなくて良かったとは思ってる。幻滅はしたけどね。

 

「本当すんませんでした……」

 

 ベルが鳴って、パームが電話の受話器をとる。

 

「その台詞は竜崎に言ってあげるといいよ。部屋に来いってさ、全員」

 

 

 

「馬鹿」

 

 部屋に入った途端に浴びせられたのは、竜崎からの罵声だった。オレにじゃないよ? ウイングにだよ。

 

「ほんっとスンマセンでした!」

 

「すみませんですんだら警察もキラもいらないじゃないですか」

 

 ウイングは土下座して竜崎にひたすら謝っている。竜崎はウイングに目もくれずにケーキを食べながら資料かなにかを読んでいる。シュールな光景だ。

 

「とりあえず、第二のキラからビデオが届きました。Lの偽者を出演させたことは万死に値するが、罪のない警察庁長官やTVに出た者の命を奪うことは、本物のキラの信念と相反すると考え、裁きはしない、だそうです。よかったですね、ウイングさん」

 

「ほんとよかったぁー」

 

 前にも見た事がある気がする、ダダ泣きのウイング。鼻水もオプションで付いている。竜崎がシッシッと追い払っている。……シュールな光景だ。

 

「その件はもう終わったことです。第二のキラから送られてきた封筒の分析結果が出ました。以前送られたものと違い、封筒の中から関東にしか生息しない花の花粉が検出されました。つまり、送られたのは関東からだと思われます。指紋などは以前と同じ物でした。ウイングさん、これについてどう思いますか?」

 

「ふぇ……? え、えーっと、第二のキラは送りつける場所を変えた……っていうのは消印見りゃわかるが、封筒の中身ってことは第二のキラの住んでる場所が関西から関東に移った……と考えていいだろうと、思……イマス……」

 

……ヘタレだ。ハンパなくヘタレだ。しかも卑屈だ。

 

「まぁ、正解です。そこで、一人の女性が浮かび上がってきました。この期間中に関西から関東に引っ越しており、キラ……と、疑っている夜神月と接触しており、しかも引越し前後に関東だけではなく全国各地に新幹線で特に目的もなく移動している……ここまで上がっています。あとは、彼女の部屋に入って証拠を押さえるだけです。封筒の中には洋服の繊維や、これは予測ですがぬいぐるみの繊維なども検出されました。同じ物があれば……その女性が、黒です」

 

 これは……竜崎はそこまでわかっていたのか……。このままじゃ、ミサちゃんが逮捕される? 何とか……何とか助ける方法はないんだろうか。

 

 オレの表情を見て察したのか、パームがそっと耳打ちをしてきた。

 

「大丈夫、助ける方法は先であるから今はスルーして」

 

「パームさん、何か?」

 

 竜崎に気付かれた。内容は聞かれて……ないよな?

 

「いえ、恐らくですが、私とシュートの友人がその女性ではないかと……別件で近付いて、捜査していました、独自でですが。弥海砂……違いますか?」

 

「その通りです。Lの代理にはパームさんを選ぶべきだったかもしれませんね」

 

「だが断る。私はああも明らかに命の危険に晒されるような真似はごめんです。無駄に命を捨てることにもなりかねないし。あれはウイングだから引き受けたようなものです」

 

 竜崎はケーキの最後のひとかけらを口の中に放り込み、そうですねと頷いた。

 

 ウイングの鼻水が顔にこびりついている。汚い。ウイングがこっち来た。こっちくんな。さりげなく避けた。あ、また泣き出した。

 

「お二人が弥海砂と友人であることは知っていましたが、捜査でしたか……。ということは、彼女を確保することになっても、問題はないですね?」

 

「証拠が出揃ったら、な」

 

 クロロは黙って話を聞きながらくっくっと笑っている。何がそんなに面白いんだろうか。笑い事ではないだろうに……ああ、でもコイツにとっては笑い話か、全部。命も余裕でかけてるし、自分の為に平気で仲間も売れる。というか、オレらが仲間と思われていない可能性が高いな。

 

「竜崎、オレはもう部屋に戻る。弥海砂の証拠が挙がったら連絡をくれ。それと、ウイングとは別の部屋を用意してもらいたい」

 

「了解しました。今後もご協力、お願いします」

 

 クロロは一人先に部屋を出て行った。本格的に、アイツを仲間だと思うのは危険かもしれない、と、オレはそう思い始めていた。


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