meet again 作:海砂
……で、マッツーと一緒に俺もいとこの太郎さんになるわけだが、何か問題でも?
これはイジメだと思う。彼女いない俺への遠回しなイヤガラセだと思う。イジメ、カコワルイ!
しかし夜神月の友達だけあって可愛い子多いな。畜生、大学時代の俺の周りはこんなに女の子いなかったぞ。モトが違うとか言うな泣くから。ホントに泣くから。
ちなみにマッツーが太郎さんで俺が一郎さんだ。夜神月、この命名もイヤガラセとしか思えないぞコンチクショウ。
そうして、タロさんと夜神とその友人達と一緒に青山散策をしているわけですが、俺の頭の上をリュークがふーよふーよと飛んでいます。人ごみが面白! だそうです。死神の感覚はよくわからんとです。
確か原作ではミサミサはカフェかどっかにいたよな……。見つけ出してしまうのもアレだしつーか俺が見て判るかどうかも不明なので、とりあえず放置して俺は青山を楽しむことにした。マッツーも楽しんでいる。うんこの人仕事忘れてるんじゃないかなきっと。おーおーはしゃいでるはしゃいでる。何となく年下のようなイメージがあったんだが話してみたら年上だったらしい。刑事生活4年目だそうで、……あれ? おない歳? でもあれマッツー1978年生まれっつってたぞ。俺81年生まれ……あっそうか、タイムラグがあるのか。
「タロさんタロさん、今年何年だっけ?」
「え? 2004年でしょ」
やはり。つーことは俺サバ読んだことになるのか年齢。……まぁいいか。竜崎が馬鹿にするくらいですむだろう。『たかが4歳サバ読んでどうするんですか?』とかいって。おーお目に浮かぶ。これもイジメだ間違いない。
つかさ、竜崎の俺を見る視線が心なしか最近優しいんだよな。その分夜神父から厳しい視線を向けられている昨今なわけでありますが……。多分、初めて会った時以上に、夜神月への疑いが深まっているんだろう。……畜生女の子に囲まれて楽しそうにしやがって。靴に犬のウンコなすりつけてやろーか。
お、マッツーは刑事らしく一応回りに気を配っているようだ。だが俺に課せられた本日の使命は夜神月を観察すること。何か変なそぶり見せたらそれを竜崎に報告することだ。それだけでいいのだ。後は普通に楽しむのだ。ついでに彼女も探すのだ。
「で、何か怪しい点はありましたか?」
夜神は、夜は自宅に帰っている。ついでに今日は夜神父も自宅に帰っている。
「いえ、僕は何も気付きませんでしたけど……僕が刑事だとばれないように気を使って友達を呼んでくれたり、不自然な点はありませんでした」
「ウイングさんはいかがですか?」
んー、怪しいってほどじゃないと思うが、一応報告しとくか。……それと、実は気にならなかったことなんだけど……竜崎の推理をとりあえずリードしとくか。
「尾行を気にする素振りを数回、それから監視カメラを気にする素振りが数回……まあそれは、お前さんの目を気にしてのことだろうが。存在知ってたらどうしても気になってしまうもんだしな。それにもう一つ。ライブ前で混雑しているクラブ『NOTE BLUE』だ。特に何をするわけでもなく、単に通りすがっただけかもしれないが。もちろん中に入ったりライブを見たりなんてことはないけど、日記の『ノートを見せ合う』って文面と関係があるかと思って……一応、な」
「すごいですね、僕全然気付かなかった……」
ゴメン嘘なんだマッツー。ノートブルーがどの建物なのかすら知らん。だが原作の展開上夜神月がノートブルーを気にしていたのはガチだからな。ついでに竜崎にも俺を売り込んでおく必要がある。俺の意見を通りやすくするため……いずれ、キラについて信頼できる意見だと思ってもらうため。
「……グッジョブですウイングさん。早速監視カメラを調べてみたいと思います。意味があるかどうかまではわかりませんが。で、誰かと接触した形跡はないんですね?」
「それはないです。なあマッツー?」
「ええ。夜神くんの友人達以外に接触した人物はいません。すれ違うくらいならそりゃありましたけど」
「意思の疎通はしてないと見ていいですね。あとは私が監視カメラの映像をチェックするだけですので、今夜はもうお休みいただいてかまいません。今日はどうもお疲れ様でした」
おし任務完了。部屋に戻ると、目をギラギラさせているからと連れて行ってもらえなかったクロロがスネていた。
「……青山は楽しかったか……?」
「そのうち連れてってやるよ。だから今日のことは忘れろって。そりゃお前さんみたいのがあの街をうろついてたら別の意味で周囲をおびえさせるからな。どうせ弥海砂を見つけ出してデスノート奪い取ろうとでも思ってたんだろうが」
「フン、ばれていたか」
ダメ、絶対! すでにシュートとパームが接触してるんだから、青山でミサと接触したらあいつらが疑われるだろうが! ミサはともかくレムに疑われるとガチで速攻消されかねないから……あの二人は名前バレしてるしな。
「それで、あさっては渋谷に行くんだろう? ついでに俺の服を買ってきてもらえると助かる」
そういいながら、クロロは懐から万札を数枚取り出す……ってこの金何処から調達してきたんだコイツ!!
「向こうから持ってきた金と宝石を売り払った。いくらオレでもこの世界に来てすぐ奪い取るような浅はかな真似はしないさ。だがこの世界の仕組みも随分わかってきた。戸籍がないオレなら、顔さえばれなければ少々大きな盗みをした所で捕まる可能性は限りなく低いだろう」
ダメ、絶対ダメ!! ああもう盗賊の考え方ってついていけない。奪うとか殺すとかそんなんばっかり。この世界にクロロを楽しませるほど強い人間がいないのと、クロロ自体が弱くなっているのがせめてもの救いか……。ヒソカが帰ってくれて良かった。二匹統率するのはいくらなんでも無理だ。俺が過労と心労で死ねる。
ええとー、とりあえず渋谷行ってー、それからミサミサからまたビデオが届いてー。んで警察が名乗り出ろってビデオ流してー、んでキラに会いに行ってー、んでキラの言うとおりにビデオ作ってー……ええと、そこは二人に確認させとこう、ちゃんと原作どおりに動いてるかどうか。
何だ俺、しばらく特にすることねーじゃん。よしクロロ、歌舞伎町に連れて行ってやる。お前さんのオゴリでだ。……なんだよそんな冷たい目で見るなよ、可愛いおねーちゃん方が接待してくださるぞ? お前の金でだが。えっ興味ない? そうですか。……チッ。