meet again   作:海砂

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ミサの敵と味方

 デエト、デート、高木選手と待ちあわせっ♪

 

『ミサ、お前がデートするわけじゃないだろう。むしろお邪魔虫……』

 

「もー、レムは黙っててよ。ミサは二人のキューピッドなんだってば!!」

 

 そう、高木選手が何と直接彼女サンを紹介してくれるというので、私はうきうきと品川駅までやってきたのでした。何で品川かって? ミサの家と高木選手達が宿泊してるホテルのちょーど中間地点だからって。よく知らないけど。

 それにしても彼女サンと仲直りできたのかな。出来てなきゃ紹介とか出来ないよね? きっと仲直りしたんだねっ!

どうせ送ったビデオが放映されるまではヒマなんだし、仕事もオフだし問題ナシ!!

 

『忘れてるかもしれないが、あのタカギとかいう男は名前も寿命も見えないんだぞ』

 

 覚えてるよっ。そもそもレムは気にしすぎ! 見えないからって私が危険になるわけじゃないのに。

 

「ミサちゃん!!」

 

 駅の改札を入った所にあるカフェで、待ち合わせ。先に二人はきてたみたい。呼ばれた席に向かうと、高木選手と彼女さんが、同時に私に向かって頭を下げてきた。

 

「初めましてっ、弥海砂です! 高木選手にはいつもお世話してやってます!!」

 

 高木選手が苦笑する。

 

「ミサちゃん、こいつが話してた、オレの彼女」

 

「初めまして、桂木裕美です」

 

 想像より気が強そうだけど、想像通りの可愛いおねーさん、って感じ。まぁ、ミサほど可愛くはないけど。……そして、この人も名前と寿命が……見えない。

 

「さっそくだけど、移動しようか。他の人に話を聞かれないような所に移動したいんだけど……」

 

 駅を出てタクシーに乗って、個室のあるレストランに連れて行ってもらった。うわー、高そう。ミサあんまりお金持ってきてないのにー。

 

「あ、もちろんここはおごるから。ミサちゃんにはお世話になったしね!」

 

……見ちゃった。桂木サンが高木選手のフトモモをぎゅーってひねってるのを見てしまった。だからほら、彼女さんすねてるんじゃないですか? もう駄目だなぁ、相変わらず。

 

 そして落ち着いて適当に料理を注文した所で、高木選手が話を切り出した。それは、ミサにとってちょっと予想外の話だった。

 

「ええと、何処から話せばいいのか判らないんだけど……ミサちゃんには、オレの名前と寿命、見えてる?」

 

 いきなりの、核心に迫る質問。適当に言葉を濁していると、桂木サンが優しく、でもはっきりと言う。

 

「ミサミサがキラ……キラと同じ能力を持ってること、死神の眼を持ってること、……私達には見えないけどレムがそばにいること、私達は知ってるの」

 

 まさに予想外。どうしよう、ここまでバレてるんじゃ隠せないよね。でも一体どうして……。

 

「ミサちゃん、オレと彼女の仲直りに協力してくれたでしょ。だから今度は、オレ達がミサちゃんの恋に協力したいんだ」

 

 私の、恋?

 

「ミサミサがキラと会えるように、協力する。それと、私達の正体も……信じてくれるかどうかはわからないけど、話すよ」

 

 この人、ミサがキラに会いたがってること、知ってる。レムのことも、デスノートのことも知ってる。……信用していいのかどうかはまだわからないけど……。

 

「ミサちゃん、オレ達は、人間界とも死神界とも違う、別の世界から来たんだ」

 

……突拍子もない話。でも信じないわけじゃない。だってレムはここにいるし、死神の世界があることも知った今までは、他に世界があるって言われても別に不思議じゃない。……見た目はフツーの人間だけど、二人とも。……そっか、だから名前も寿命も見えないのかな。

 

「……ミサ……の、その、力のこと、知ってるの?」

 

「うん、大体は。そして、これは私達の世界の掟で言うことはできないんだけど、キラの正体も知ってる。だから、うまくミサミサがキラと会えるように手助けすることができるの……信じて、もらえるかな?」

 

 二人の目は真剣だ。そして、揃って私をじっと見つめてくる。

 私は、カバンからデスノートを取り出した。

 

『ミサ!』

 

「レムは黙ってて! ……お二人の話、信じます。これ、触ってください。レムの姿、見えた方が便利でしょう?」

 

 二人は交互にデスノートに触る。きちんと触ったことを確かめてから、私はノートをカバンにしまいこんだ。

 

「初めまして……レム。信じてもらえないかもしれないけど、私達はミサミサの味方。やってることについてどうこう言うつもりはないし、ミサミサの望む未来への手助けが出来たらと思ってる」

 

「オレ達の世界にも、色々掟があるんだ。だから、全面的に協力するってのはムリだけど、出来る限り協力したいとは思ってる。だってミサちゃんはオレ達の恩人みたいなもんだから」

 

 さっき、桂木サンは私に、キラのことを知ってるって言ってた。

 

「キラについて、何か教えてもらえますか?」

 

「ごめん、それは掟で教えることは出来ない。けど、ミサちゃんが今やっている方法で、キラにいずれ会うことが出来るよ」

 

 会える、キラに会える!! ……なんでそんな未来のことを知ってるのかはわからないけど、きっと二人の世界にある、デスノートのような変わった能力なんだろうと思う、多分。

 

「今やっている方法って……TVのことですよね?」

 

「そう。そして、もう一段階、踏み込んでキラを見つけ出す方法があるの。……ノートか何かに、去年の日記と称して、日付と日記のような文章を書いてTVで放映させるの。たとえば、4月30日、友達とご飯を食べに行った、とかね。その中にこういう一文を紛れ込ませたらどうなるか判る? ……『友達と青山でショッピング。ついでに授業のノートを見せ合う』」

 

……ノートを見せ合う。それは私達にしかわからないキラの能力の暗示。

 

「そして警察への対応として、それとは別の日付に『死神を確認した』……そう書けば、警察はそっちに食いつくに決まってる」

 

 その通りだ。何てすごいことを考え付くんだろうこの人達。ミサには思いもつかなかった。

 

「……オレは正直、何の罪もない人を殺すのは止めて欲しい。でも、キラの返事の通りにミサちゃんがするって信じてるから、それについてはこれ以上は何も言わない。どう? 日記帳のアイデア。悪くないと思うんだけど」

 

『これ以上ミサに行動させると、それだけで危険になる』

 

 それは確かにそうなんだけど、既にこれだけ動いてしまってる以上、日記の一枚送るのくらい……大して変わらない。

 

「もちろん文章はパソコンで打ち出して、指紋がつかないようにとか気をつけなきゃいけない。でもそれで、キラはきっとあなたがその日に会いたがってることに気付くはず。ついでに調べておいたんだけど、青山には『NOTE BLUE』っていうライブハウスがあるの。……ここで待ち合わせたら、ロマンティックだと思わない?」

 

……すごい。二人とも、本気でミサのためにわざわざ協力してくれるんだ。……多分、レムと同じで掟に逆らったら死ぬとかで、だから直接キラと引き合わせるわけにはいかないけど。でもその掟に抵触しない範囲内で、ちゃんとミサとキラが会えるように……色々考えてくれてる。

 

「……ありがとう、ございます。ミサ、二人を信じます」

 

「敬語は止めようよ。オレもタメ語でしゃべってるし、タメなんだしさ」

 

「私とも、よければフツーに仲良くして欲しいな」

 

 もちろん、その意見には大賛成。ミサも素敵なお友達が出来たと思う。ちょっと変わった、でもミサの味方。

 

『そのアイデアで行くのなら、地名はもう何箇所か出しておいた方がいい。具体的な場所が書いてあればそこを重点的に捜査してくるだろうしな』

 

「レムのいう通りね。それに、青山に行く時は変装しておいた方がいいと思う。まぁ、ミサちゃんの場合メイクをナチュラルにして服装とか髪型を変えればバレることはないと思うけど……」

 

『もしキラに会えても、まだ名乗り出るのは止めておいた方がいい。キラがミサの味方であるとは限らない』

 

 味方とか、敵とか、そんなのはどうでもいい。とにかくミサはキラに会いたい、会って話をしたい、……ただ、それだけ。

 

「わかってる。だからこうして協力してるんだ。また、何か思いついたら連絡するよ。電話番号も交換しておこう」

 

「あ、私とも番号とアドレス交換しようよ」

 

 二人とプロフィール交換をする。

 

「OK♪ これでミサと高木選手と桂木サン、お友達ね!!」

 

「あっ、私今偽名で生活してるから、ええと、パームって呼んでくれるかな? ……多分、しばらくしたら事情はわかってもらえると思うんだけど」

 

「オレはシュートでいいよ。高木選手とかなんかよそよそしいじゃん」

 

 ミサもちょうどそう思ってた所。二人とはなんだか気が合いそうな予感。

 

「わかった。シュートとパームね。これからもミサのためにごきょーりょく、お願いしますっ!」

 

「もちろん。よろしくね、ミサミサ……えーと、ミサちゃん」

 

「これからもよろしく、ミサちゃん」

 

 

 とりあえず夕飯をご馳走になって、そのまま二人とは別れた。さあ、家に帰ってから日記の文面をきっちり考えなきゃ! ミサまたこれから忙しくなるぞー!! あ、ついでに変装用のカツラ買って帰ろっと。ああ、キラに会える日が楽しみ……!


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