meet again 作:海砂
結局、持っていきやすい3DSだけをカバンに詰めた俺は、他に特に持っていくものはない(本当は持っていきたいんだけどね、漫画とかゲームとか)ので、とりあえず今夜は眠る事にした。
さっき桂木からメールが届いて、明日の朝に高木がこっちに戻ってくるらしいので、迎えにいく……というか問答無用で拉致しようと思っている。うーん、デスノートのこと、アイツには話すべきか話さざるべきか……何も知らない方がいいってこともこの世にはあるからなぁ……。
「へっくしょい!」
うう。何かさっきから寒気がするんだが風邪でもひいたのか俺。もう一度掛け布団を出さないと、毛布だけじゃ凍死するかな……って関係ないか、どうせここに住むのはとりあえず今日までだ。
エアコン? そんな便利な文明の利器はうちにありませんが何か問題でも? そんなん買う金があったらPCのメモリ増設するわい。
しかし寒い。最近急激に冷え込んできたな……中の人も微妙に風邪気味らしいぞってそんなことが頭に浮かんだんだが……いや季節はずれだろう。誰だよ中の人。
風邪は万病の元と言うからな、用心するに越した事はないんだがってさっきから俺何考えてるんだ? とりあえずこの寒気を何とかしないとと思い、俺はのろのろと起き上がって、押入れからしまいこんだ布団を引っ張り出した。うっ埃くさい! 俺の数少ないささやかな持病の喘息とぎっくり腰が再発するだろうがっ!
寝ぼけながらも何とか掛け布団をベッドに敷き詰めた俺は、改めて眠りの体勢に入る。……布団かぶっても寒気がするって、これはアレかやはり風邪ですか? 薬の買い置きとかあったかな……。
毛布と布団に包まってベッドの上でゴロゴロしている俺の脳裏に、イヤンな予感が走る。
「まさか……これは死亡フラグの予兆?」
しかし死亡フラグなんてそんな簡単に立つもんじゃないぞって。え、すでに立ってるだって? ノート死亡フラグに……桂木からのリンチフラグ? だがそんなものに負ける俺様ではないのだ! なんてったって夜神のエロ本の隠し場所まで知ってる神の子だからな俺は!
……キリストって、風邪とかペストとかで死んだりしなかったのかな。そもそもあの時代にペストはあるのか? 神様が伝染病で死んだらシャレにならんよな……。
そう俺はいまや神の子(自称)、風邪なんぞで倒れるわけにはゆかんのだよチミ。だからって心臓麻痺ならいいかって言うとそういうわけじゃ……
どくん
あれ?
ナンダコレ胸イタイゾ。
どくん。
うそん。
まさか。
どくん!
「う……」
そんな……馬鹿……な……。
4月16日午前0時32分。成瀬拓心臓麻痺、同時刻桂木裕美心臓麻痺、ともに死亡。