meet again   作:海砂

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女の名はパーム

 うふふふふ……先生って素晴らしい人よ。クールで知的で冷静で……あ、冷静はクールと同じ意味ね、やだわ。あ、でも尊敬してるだけよ、恋愛感情なんか……。

 

 ってそんなわけあるかい!!

 

 拓ちゃんから電話を受けた私は夜なべをしてハリセン折っていた。うふふふふふあらやだ、気がつかない間に顔が笑っているわ、いけないいけない駄目ね私ったら。

 

 明日の朝、拓ちゃんが私を迎えに来る……捜査本部に連れて行くために。先生ったら私を必要としてくれてるのか、うっかりLに存在をばらしてしまったらしいのうふふふふあらやだry

 

 そのついでに夜神くんにも自分が未来を知ってるだのキラの正体知ってるだのあることない事吹き込んじゃったらしいのよこれはもう私も同列に扱われるに違いないわよね私がキラの正体知ってる事もばれてるって考えておいたほうがいいわよねもう先生ったらお茶目さんなんだからうふふふふry

 

 余計な事ばっかしやがってあの馬鹿ー!! けど、私が夜神くんに目を付けられていた理由もこれでわかった。寿命も名前も見えない存在。そりゃキラにとってみれば脅威よね。実際に書かれて死ぬかどうかはわからないけど、要は書かせなければいい。拓ちゃんがそれだけのホラを吹いたのなら、私も話を合わせて策を練っておく必要がある。彼のようにデスノートを持っているフリをするか、あくまで知らないフリをするか……ああ、そうだ、シュートに電話……しなきゃ。

 

『もしもし……』

 

 うっ、何かシュートの声がどす黒い。

 

「な、何かあったの……?」

 

『明日、関東に帰る。オレ二軍に落ちた……休養とれって……』

 

 いや、それだけにしては黒すぎるよ……あ、前回の電話。

 

「前の時、また馬鹿呼ばわりしてごめん……まだミサミサとは連絡取ってるの?」

 

『……とってない……そんな余裕ない……つかとる必要ないし……』

 

 いやあああこんな暗いのシュートじゃないいいいー。

 

「あ、あのね、キラって知ってる? 事情があって、拓ちゃんがその捜査本部に行くことになったんだけど、私達もそこについて来いって。こっちに帰ってくるんだったらちょうどいいね」

 

『………………』

 

 黙らないで何か返事してくださいぃぃぃー

 

「飛行機? 新幹線? 二人で迎えに行くよ。何時頃こっちに来る?」

 

『………………まだ、成瀬先生の事好きなの?』

 

「は!? そんなわけあるかい!! 今の私の彼氏が誰だか、わかってるんでしょ!!」

 

『………………朝9時半着の飛行機……羽田……』

 

「うんわかった、迎えにいくからね! ついたら電話してね! じゃあまた明日!!」

 

 これ以上耐えられなくなって私は電話を切った。何アレ。去年一時期二軍に落ちたときはあそこまで黒くなってはなかったよ、そりゃ多少は落ち込んでたけどさ。しかも拓ちゃんとの仲を疑ってる……? これどう考えても私のせいだよね……うわー、まさか二軍落ちしたのも私のせいとか? そういや最近『馬鹿』しか言ってない気がする。でもそのくらいでそんなどん底まで落ち込まなくてもねぇ? ……いやシュートならありえるか。私が初カノとか言ってたしな。私の初カレは……思い出したくない。

 

 とりあえず、拓ちゃんをぶん殴るためのハリセンを折ろう……そして、シュートはなでなでしてあげよう。シュート自身に非はないんだから、ホント悪い事しちゃったな。……でもさ。こっちだって命かかってるわけだし……でも、ちゃんと謝ろう。考えようによっては、先にミサミサとコンタクトを取れたのはラッキーかもしれないし。


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