meet again   作:海砂

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接近

 俺たちはまず、ザバンの定食屋まで行って通帳を掘り出したあと、近所のネカフェで電脳ページをめくる。念のために現在地とヨークシンの位置を確認した(パームは最初から寸分違わず知っていた。恐るべし、本物のオタク)

 そして、ヨークシン行きの飛行船を予約する。ちなみにビザは不要で食費以外は乗船費もタダ、しかも一等客室。ビバ、ハンターライセンス!

 船の旅はのんびりと。こんなことでパームにドアを使わせたくないしな、時間はたっぷりあることだし。

 

「修行しててもいいよね?」

 

 特に危険な予言もなかったので、パームは練の修行をしている。俺はひたすら筋力増強。あーくそ、俺の隠れた能力っていったい何なんだ? とっとと知りたいが手がかりすら掴めねぇ。

……ウイングさんに連絡、取ってみるかな? 拳法を覚えれば少しは役立つかもしれない。少なくともオーラの全然増えない俺にとっては。

 

 数日後、船は無事にヨークシンシティ外れにあるリンゴーン空港へと到着した。……あー、ここでパクノダと交渉するんだったよな、確か。まだまだ先のことなので、今は平和にリーマンや観光客でにぎわっている。

 

「じゃとりあえず、市街地まで行ってみるか」

 

 電車で市街地まで出る。もちろん電車賃も無料だ。ビバ・ハンターry

 途中で小悪党がスろうとしたけど問題ない。小悪党に奪われるようじゃハンターになんかなれない。旅団は別な? あれは大悪党。チョー悪党。

 リパ駅で降り、サロマデパート方面口へと向かう。ここがベーチタクルホテル最寄駅のはずだ……パームが言うんだからまず間違いないだろう。

 彼女の案内と、駅の案内板を見て、無事ベーチタクルホテルに到着する。ついでなのでチェックインしようとしたが、金を取られるそうなので止めた。その辺の人に尋ねたら、ハンター協会が所有してるホテルが近くにあるらしいので、そっちでチェックインする。ビバry

 

 ざっとこの街を見てわかったこと。9・1でなくとも常設競売市が、小規模ではあるが点在している。好都合だ、これでまた金を少々貯められるだろう。そしてパームには持っているベンズナイフをフエールミラーでコピーさせて、それをオークションハウスの公式鑑定にまわさせた。うまく鑑定書が出れば、競売で大もうけだ。出ないか間に合わなきゃ業者市にでも出すとしよう。状態がいいから相当な高値で売れるはずだ。ニセモノとも知らず。

 

「本物は絶対に手放さないからね!!」

 

 了解。まぁ、護身用に武器の一つ二つは持っておいたほうがいいだろう。つーか、俺も何か買っておくかな、いいのがあれば。

 

 翌日、俺たちはレンタカーを借りて原作に出てきた場所(セメタリービルとか、郊外の岩場とか)を確認しつつ、いくつかの市場を訪ねて回った。ハンターライセンスはこんなところでも意外に役立つ。こっちの世界では俺免許持ってないけどOKらしい(ただし事故ったら損害賠償請求されるらしいが)

 競売市でオーラの見える品を安く買い叩いては、公式鑑定に回すことを繰り返す。9・1には間に合わないかもしれないが、それでも良いならということで、鑑定を頼んでいる。間に合わなかったら全部抱えて骨董商のところに行くだけだ。そっちでも、まあまあの値段で捌けるだろう。

 

 そんなことを繰り返していたある時、路上で黒いマントを羽織ったとある人物とすれ違った。

 

「……!!」

 

「!?」

 

 振り返ることすらできなかったが、間違いない……間違えるはずもない。

 

「パーム、今のは……」

 

「間違いないね、クロロだ」

 

 彼もヨークシンの下見に来ていたのだろうか。団員はいない、一人のようだった。もちろん、隠れている可能性もあるが。……けど、現時点で俺達が何もされてない以上、気付かれている可能性は低い。クロロ本人にも。

 あるいは気づいてて、けれどどうでもいいと放置されているか。いずれにせよ危険はないだろう、と、思う。

 

「OK、今はスルーしよう。これで旅団の動きもある程度把握できる」

 

「……そっか、占い……!」

 

 俺は確かに顔を見た。クロロ=ルシルフル。これで彼を占う条件は整った。……まさか、こんな使い方ができるなんて思いもしなかったな。俺の『間抜けな猿真似』(モンキーマジック)も存外捨てたもんじゃないらしい。

 

 そして俺は自分用にオーラの見えた懐刀を購入する。そんなもん使ったことはないが、練習すれば何とかなるだろう。ついでに宿に戻った後、俺のささやかな念も込めておいた。『ぶった切れぶった切れぶった切れぶった切れ……!!』とか念じながら。ないよりはマシだろう、たぶん。

 

 しばらく、それを続ける。二人で相談して、ゴンたちが天空闘技場に行くまでの間、これを繰り返すことにした。大きな金額になると期待したいところだ。

 

 天空闘技場では彼らより先に200階以上を目指す。前の記録があるから180階まではスキップさせてもらえるだろう。ついでにウイングさんにも会って、いろいろ教わることにしようかな。……まあ、予定は未定だ。他にいい修行法か金儲けの方法が見つかれば、そっちに飛びつくことになるだろう。臨機応変といってくれ。行き当たりばったりじゃないぞ。

 

 そうそう、二人ともホームコードを持ち、ケータイを購入したことを付け加えておく。俺はカブトムシ形のビートル07型、パームは半魚人の形を模した非常にキモい形状の、シングルフィッシュ限定版。……キモカワイイらしい。ちなみに触感は微妙にブニブニしていて、プッシュ音は『ゲギョギョッ』

 

 どうにもパームの趣味はわからない。永遠に理解できそうもない。っていうかしたくない。




お年玉更新その1

ウイングが買ったケータイはゴンやキルアが買ったヤツ。
では、パームが買ったケータイは誰が使っていたケータイでしょう?
(シングルフィッシュ限定版という名前はこちらでつけましたが、使っているキャラは原作内に存在します)

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