meet again   作:海砂

25 / 117
作戦

 俺たちは今、四次試験についての説明を受けている。クジ引きの箱を前にして。

 三次試験の合格者は俺たちのプラス分を入れて、きっかり28人(うち一人死亡)このことがクジ引きにどう影響するか……。

 ヒソカとかギタラクルとか、あと身内三人の番号さえ引かなければ勝算は充分にある。出来れば主人公組の番号も引きたくない。

 神様お願いします、今この瞬間だけで構いません、ラッキーとか幸せとかツキとか幸福とか主人公補整とか……いや俺ら主役じゃねーよな、じゃあトリッパー補整とか、そういった類のものをまとめて俺らにください!!

 

 俺が念じる間にパームがクジを引く。続いて俺と、シュート。

 俺が198番、シュートが362番、パームが80番。神様ありがとう!!

 既に俺たちのバッジは一次試験が始まる前に隠しておいたので、俺らの番号を知っているのはまぁ、せいぜいトンパくらいだろう。問題ない。

 パームはここに残っている全員のナンバーを覚えていると言った。……ハンター文字を読んだ時にも思ったが間違いない、コイツはガチンコのオタクだ!! 俺より重症だ!

 そのパームいわく、俺とシュートの番号札はいずれもハンゾーがクリア時に所持していたものらしい。これだけ俺らにとって都合のいい番号が集まったという事は、他のメインキャラたちのターゲットはおそらく原作どおり。……なんだろうけど、一応、ゴンとかキルアに札を見せてもらおう。それで多分、確信が持てる。まぁ、場合によっては絶望するかもしれんが。

 80番はヒソカがクリア時に持っていたっつーのはとりあえず聞こえなかった事にしておく。耳に蓋だ。パタリとね。必殺ギョーザ耳ー。

 

 そして、ゼビル島に向かう船の中、俺はタイミングを見計らっていた。声を掛けるのは、ゴンとキルアが札を見せ合った後で、なおかつキルアがゴンの元を離れる前。……今だ!

 

「ゴン、キルア」

 

「あ、ウイング」

 

 声をかけた直後、先にパームが話を切り出した。俺の出番奪わないでくれ……。

 

「あのね、お願いがあるんだけど、二人のターゲット、教えてくれないかな? もちろん、私達のターゲットも番号も教えるし、なんなら先に札を見せてもいい」

 

 キルアが眉を寄せる。けれど、言うとおり、二人とも札を見せてくれた。……よっしゃ、二人のターゲットも原作どおり!

 しかし予想外だったな、ゴンはともかくキルアがこうもあっさり札を見せてくれるとは。

 

「キルア、よかったの?」

 

 俺の疑問をゴンが代弁してくれた。

 

「ん……ウイングはともかく、シュートとパームはダチだからな。特にパームには借りがあったし」

 

 なるほど『猫は子犬を伴い恩返し』はこれを指していたのか。納得できた。占いカンペキ。

 

 そしてキルアは俺たちから離れ、俺たちもゴンに別れを告げて、今後の作戦を練ることにする。

 

「まず、三人そろったら、全員が絶でキルアが出てくるのを待つ。出発したら、尾行開始だ。二人は絶状態のまま、俺だけが円を使って周囲の警戒をする。シュートはキルアを見失わないように、パームは周囲の気配や音に気をつけていてくれ。アモリ三兄弟に関しては、それで充分だろう」

 

 シュートが手を上げた。

 

「先生、さっぱり意味がわかりません」

 

「アンタはとりあえず私達のいうとおりにしてくれればいいよ、深く考える必要は無いから」

 

 それでシュートが納得したので、話を続ける。

 

「三兄弟とキルアが接触してからがキモだ。キルアが三兄弟を圧倒して不要なプレートを二枚投げるから、全員が円を展開しつつ二手に分かれてバッジを追う。シュートはパームと一緒に行け。ハンゾーの気配を感じたら速攻で逃げろ。そうでなければ確実にバッジを手に入れろ。その後は引き続き円状態のまま、キルア達のいた場所で落ち合おう」

 

「OK、把握した」

 

 パームの返事と同時に、シュートも無言で頷く。

 

「その後は、キルアのときと同じ要領でハンゾーを探し、発見次第、尾行する。多分他の受験生を探して躍起になってるだろうから、尾行はより慎重にな。彼が三枚ゲットした時点で、交換を申し出る」

 

 問題は、ハンゾーが無事取引に応じてくれるかどうかなんだが……。難しい顔をしていると、パームが俺の肩を軽くポンと叩いた。

 

「大丈夫。ハンゾーにとっても複数のバッジを持っているよりは狙われる危険度が低くなるわけだし。万が一それで納得行かないようだったら、以降の試験で私達三人が彼と敵対するような事があれば無条件降伏する、とでも言っておけば、彼の性格上問題ないよ。……ヒソカについては……うん、大丈夫……かな?」

 

 おいおい、最後がすげー曖昧だぞ? 不安だ、不安すぎる。

 

「いざとなったら私はリタイアして、ウイングが泊まってたっていうザバン市のホテルで二人が戻るまで待ってるよ。ウイングのことだから、通帳は最寄の銀行の貸金庫にでも預けてあるんでしょ?」

 

 実際は定食屋の横の路地、角からきっかり3mのところに埋めてあるんだけどな。世の中世知辛いもんで、貸金庫使うにも少しとはいえ金が要るんだよ。二人には一応通帳のありかを伝えておく。万が一、という事もあるからな……で、セコイと笑われた。畜生地獄へ落ちろこンのクソ餓鬼ども!!

 

 そして俺達を乗せた船は、島へ到着した。

 最初に出るのはもちろん、俺ら三人。合流して絶状態を保つ。練とかとちがってラクなんだよなー絶。

 キルアが来るまで、ただひたすら待つ。多分最後の方だっただろうから、少し時間がかかるかな。

 

……そして、キルアが出てくる。俺達は最初の手はずどおりに、彼の尾行をはじめた。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。