meet again 作:海砂
「竜崎、きんとんつまみ食いしないで!」
捜査本部にパームの大きな声が響き渡る。
キラ対策捜査本部に暮れも正月もない……が、折角なので気分だけでもと、パームがおせち料理を作っているのだ。
「はーい、年越しそば出来たでー。食いたい奴から順に取りに来てやー。関東もんの口に合うかどうかわからへんけどな」
カナも共に料理を手伝っている。ちなみにもう一人の女性はというと、TVを見ながら悔しがっていた。
「ああん、来年はミサも紅白に出る~」
これまで主にグラビアなどで活躍していたミサは今年初めてファーストシングルを出したのだが売れ行きはそこまでよろしくなく、残念ながら紅白へのお呼びがかからなかったのだ。
「ミサミサ、来年はいけるよ! 順調にファンも増えてるし露出も増えてきてるし……ヨツバさんの広告も決まったしね! 来年はもっとたくさん曲も出して、盛り上げていけばきっと……」
マッツーはそばを食べながらミサを慰めているが、一向に慰められる気配はない。彼女を慰められるのは愛するナイト様だけなのだから。
「月くんも、そばくらい食べませんか?」
「竜崎こそ食べた方がいいんじゃないのか?」
「私は栗きんとんがあればそれだけで年を越せます」
栗きんとんを作るそばから竜崎に食べられてしまい、ついにパームがキレた。
「竜崎はお年玉無し!! ついでにおせちも年越しそばも無し!!」
まるでどこかのほのぼの一家の肝っ玉母ちゃんである。お年玉がどこから出るのかは定かではない。
「JAPPON風の正月だが、中々に愉快だな」
「クリスマスに引き続きお前さんと年を越すとは思ってもみなかったよ……」
クロロとウイングも共にそばをすすりながら紅白を見ている。
「なるほどこの世界にも小林幸子はいるのか……」
「向こうにもいるのかよ!!」
シュートは野球で年を越すといって聞かず、一人でブルペンに篭っている。1000本ノックならぬ1000本ピッチングをするらしい。
「ごちそうさま。シュートくんにも蕎麦を持って行ってあげなさい、パームくん」
夜神父は早々にそばを食べ終えると捜査へと戻る。今この時ですら、キラは犯罪者を裁いているのだ。捜査を止める訳にはいかない。模木もそれに倣って、黙々と仕事を続けていた。
「来年こそはキラが捕まればいいですよねっ!」
そんな松田の言葉は、皆の本心だ。来年こそは、キラ事件が解決しますように……。
そうして、それぞれの大晦日は過ぎてゆくのだった……。
これにてmeet once again終了です。お付き合いいただきありがとうございました。