Fateで斬る   作:二修羅和尚

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しれっと投稿。遅れて申し訳ない。




七十九話

さて、そんなわけで朝の鍛練withS(スピア)な俺であったが、それも終え、今は宮殿へと赴いている。

 

具体的に言うと、チョウリ様への報告だ。

 

この間チャンプの処刑が行われた際に大方の説明はしてあるのだが、今日のはチョウリ様と二人で、個人的な見解や内密に調べたことなどを話し合う割りと個人的なものだ。

 

ちなみに、シュラは予想通りすぐに牢から出てきた。すぐに死刑にされてもおかしくない奴ではあるが、やはり大臣の息子と言う立場はよほどのものなのだろう。同じ立場であるスピアからは全然そんな感じはしないが。

 

一方のイゾウはまだ出てくるまで時間がかかりそうだ。

 

 

あと、追加情報なのだが、シュラは牢から出てくる際に、ヒョコヒョコした足取りでケツを抑えながら歩いていたそうだ。

戦闘の際に強く打ち付けたりしたのだろうか。その姿は酷く滑稽だったそうだ。

…思い出しちゃいけな記憶が会ったような気がするが、忘れておくことにしよう。

 

 

そうこう考えているうちに宮殿へ到着。

案内のメイドさんに連れられて中へ。相変わらず金のかかった造りをしている場所であるが、この大帝国の頂点が住まう場所だ。これくらいは当然なのだろう。

 

更には、市井から見ても見上げるほどに大きいこの宮殿には、巨大な地下空間もあると言うのだから驚きだ。

俺はメイドの後ろを歩きながら、自分の足元、その先にいるはずの何かを見据えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「というわけで、今回の報告は以上になります」

 

「うむ。報告、御苦労。座ってよいぞ」

 

チョウリ大臣の執務室で報告を済ませた俺は、チョウリ様から許可が下りたため近くにあったソファへと身を預ける。

今回の報告は、シュラ達ことワイルドハントの悪行に関する報告である。

 

チャンプが処刑された今、ワイルドハントの人数は5人。その5人の内の投獄されていたシュラ、イゾウ以外の全員が、このわずかな期間で帝都の治安を乱す行為に及んでいたのだ。それも、治安維持、という理由をつけて。

 

本来、治安維持は俺達帝都警備隊の仕事である。一般警備員が相手にならない、帝具使いを相手にするならばイェーガーズがいるため、彼らの言い分は理由にならない。というか、今でも思うのだが、何故ワイルドハントなんて部隊ができたのだろうか。明らかにシュラが好き勝手するためにできたぶたいだろ、これ。

 

というわけで、今しがた彼らの悪行を事細かに記した(製作は俺、資料は分体によるストーキング)報告書をチョウリ様に渡したのだ。

 

こうやって、オネストと同じ立場の人がいてくれるのは本当に助かるものだ。なんせ、証拠を握りつぶされるわけでもなく、ちゃんと皇帝陛下のもとまで届くのだから。

シュラの件が公になれば、その親でもあるオネストの評価は落ちることになるだろうが、奴のことだ。トカゲの尻尾みたいに、自身の子供であっても迷わず切るだろう。

 

 

「ふむ…よく調べたの。流石はセイ、といったところか?」

 

 

「まぁ、連中も堂々とやってますからね。割と直ぐに集まりましたよ。まったく、聞いてるだけでも殺したくなってくる」

 

 

「その怒りは分るが、ここで殺気を漏らさないでもらえんかな?」

 

「…すみません。チョウリ様の毛根にダメージがあっては大惨事ですから」

 

「喧嘩なら買ってやるぞ? ん?」

 

 

片眉を吊り上げてピクピクさせているチョウリ様である。

止めてください(あなたの毛根がストレスで)死んでしまいます。

 

「…はぁ、まぁよい。この資料はしかるべき時に皇帝陛下へ提出させてもらおう。……しかし、オネストめ。またけったいなもんを作ったの」

 

「というと、あの巨大工房のことですか? 確か、ワイルドハントのドロテアのために用意したとか」

 

西の王国からやってきたというあの幼女は、調べてわかったことではあるが錬金術師であるようだ。

己の美を永遠に維持する方法を求めて研究しているそうなのだが、今現在はそこまでに至っていないようだ。だが、他人の生命力とやらを自らに取り込むことで若さを保ちながら生きながらえることには成功しているらしい。その他にも、自身に錬金術で肉体改造を施しているようで、こと力に関すればワイルドハント一なのだとか。

ついでに、使用する帝具は血液徴収アブゾデック。

 

「…この資料、彼女の研究内容まで事細かに書かれておるが……どうしたんじゃ?」

「んなもん、ちょっと自宅にお邪魔して落ちてた紙を拾ったり写したりしただけですよ?」

 

はたして、あれほどまでに侵入の容易い工房を、工房と称していいのだろうか。もっとケイネス先生を見習った方がいいのではないだろうか? 思わず他愛なしとか言っちゃった俺は悪くない。

 

 

「相変わらずの出鱈目ぶりじゃな。魔術とは」

「専売特許ですから」

 

チョウリ様の言葉ににっこりと笑顔で返しながら、俺は報告を終える。

おつかれさまでしたー、と部屋を出ると、案内してくれたメイドが部屋の外で待機していた。

 

一応、話の内容がばれない様に月霊髄液ヴォールメン・ハイドラグラムを部屋中に薄く伸ばして展開していたので心配はないだろう。

 

また宮殿の出入口まで案内してくれるそうなので黙ってそれについていくことにする。

 

 

「すまんメイドさんや。ちょっと催したんだが、トイレはどこに?」

「…こちらです」

 

一度引き返すメイドさんに続いて歩いことしばらく。お客様用のトイレへの入り口が見えたので、メイドさんにお礼を言ってからトイレへと入った。

何気に水洗式である。

 

 

そこで用事を済ませた俺はトイレから出て、再度メイドさんの後に続くのであった。

 

 

 

 

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ヒョコッと二人が離れていったのを確認する。

 

 

 

どうも、俺セイの宝具妄想幻像サバーニーヤの分体だ。あ、口が悪いって言われてる、髑髏の仮面がかっこいい奴だから。

 

 

 

そんなわけで、オリジンに渡された物を懐にしまいこんで宮殿内の捜索を開始。目的はこの宮殿の地下である。

以前、ドロテアについていたやつの記憶が共有されているため、地下までの道も把握はしているし、警備兵なんざ自前の気配遮断でよゆー。ちょーよゆー。

 

これだったら、オネストの暗殺なんかもちょろいだろうが、そこまで支持は受けていないのでやらない。できる分体である。

 

 

 

そんなこんなで、たいした労力もなく地下である。

なんか、めちゃくちゃ広いしでかいしでなんやこれとか言いそうになるが、そこはぐっとこらえて目的の物に向かって歩く。

 

そこにあったのは馬鹿でかい顔であった。

顔、と言っても人のようなものではない。メタリックでどこかの量産型を思わせるような一つ目のモノアイ。

 

これこそがオネスト最大の切り札であり、皇帝の血筋にしか扱えない至高の帝具。

 

 

護国機神シコウテイザー。

 

 

なんか、名前からして笑いを取りに来ているのかと思ってしまうが、この世界からすれば凶悪としか言いようがない帝具だろう。

まず大きさからしてこの宮殿を軽く超えちゃうわけで。更にはミサイルやらビーム兵器やらを搭載。宇宙で戦争でもするんでしょうか?

 

 

まぁそんな突っ込みどころ満載な帝具であるが、先日これに錬金術師のドロテアが改造を施したとか何とか。オネストの指示ってだけで嫌な予感しかしないので、こうやって見に来たのである。

 

 

「さて、お仕事お仕事」

 

誰もいない空間なので作業が捗ること捗ること。

オリジンがいうには保険であるそうだが、まぁ保険をかけることに反対する奴はいないからな。

 

 

俺はオリジンに渡された袋から大量の宝石を取り出して、帝具のあらゆるところにセットしていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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