Fateで斬る   作:二修羅和尚

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先ず初めに謝罪をさせてください。 今まで放置して本当に申し訳ございませんでした。

理由としましては、感想欄をみてかなり落ち込んだ、というのがきっかけでございます。が、それっきり、書かなくなったことについてはマジですみません。

いろいろと言い訳じみたことも言いたいけど、たぶん鬱陶しいのでやめておきます。
取りあえずは、ゆっくりでも完結させられるようにできればなと思っています。が、これからは書く専門は他サイトがメインになりそうなのであしからず。

先日に読者様の感想で発破かけてもらいました。ありがとうございます。
つたない駄文でございます。更新は亀、設定は中途半端。くっそみたいだなと思われるかも知れませんがそれでもいいという方はよろしくお願いします。


七十六話

 飛んできたインクルシオの槍を破魔の紅薔薇で弾き返そうと押し返すのだが、膂力に加えて、空からの特攻による勢いによって逆にこちらが押し込まれてしまった。

 

 なので、ここはまともに受けるようなことはせずに受け流す。幸い、技術ではこちらが圧倒的に有利とみてもいい。スピアとの訓練でそこらへんの技術は問題ないからな。

 

 わずかに角度を変えることで、インクルシオの向きを変えてやる。体勢が崩れた瞬間を狙いたかったのだが、鎧の男はその羽を展開し、再び急上昇。そして、マインの横に降り立った。

 

 「遅いわよ!」

 「わ、悪かったって! だからそう睨むなよ!」

 

 そして始まる痴話喧嘩。奴さんたちは今の状況を理解していないのだろうか?

 

 

 …いや、そもそもな話、俺が理解できてないんだった。

 

 「まぁた変なタイミングで来てくれたもんだ…。まさか、あの結界を破るとはねぇ…どうやったの?」

 

 「っ! んなもん、答えるわけがねぇだろ。それより、お前に聞いておきたいことがある」

 

 「質問に質問で返すなよ…。まぁいい。何?」

 

 「兄貴とシェーレはどうした」

 

 槍を構えながら、今にも特攻を仕掛けてきそうなインクルシオの男。

 まぁ、おおかたの予想はつく。無理な強化でもして、力の底上げを行ったのだろう。でもなければ、あの結界は壊せない。

 

 「どうしたっていわれてもな…今も地下室で快適に過ごしてもらっているが?」

 

 今朝もブラートは筋トレ、シェーレは読書に勤しんでいましたし? 今現状でどうこうしようとは考えていない。

 今は、だけどね。

 

 「ふざけんな! だったら、あの手紙の内容は何なんだよ!!」

 「処刑云々? あぁ、あれ。マジだけど?」

 

 ただ、殺すだけじゃもったいないので、いろいろと錬金術とかでいじって強化改造しようとは思っている。ほら、命令は聞いてくれないと大変だし。

 ただ、脳ってかなり繊細だからあんまりやりたくはない。失敗するのも怖いし。Fateの奴らはそこらへんの実験も兼ねてたんだけど、結果的に成功してるだけで過信はできない。

 

 まぁ、だからこそ勧誘してるわけなんですが。

 

 まぁ、万が一にも勧誘が成功したのなら、どっちみちある程度のことはやったんだけれども。催眠とか、記憶の改竄とか? 

 尚、やるなら改竄。ほら、催眠だととけちゃうかもだし。

 

 「でもその様子じゃ、二人の救出は無理だったんだな。よかったよかった。これで逃げられてたら、俺が単なるあほのやられ役みたいになっちまう」

 

 特に宝具の説明とかしたあたりはそれっぽかったと思っている。…ほ、ほんとだよ? セイウソツカナイ

 

 「タツッ…ねぇ、それじゃあ作戦は…」

 

 「……失敗だ。俺はボスからマインの回収を頼まれてる」

 

 こちらを警戒して構えを解かない男。…いや、声とか背丈からしてまだ少年なのか?

 

 「けど、ここにあいつがいるのは予想外だった。…厄介だな」

 「そりゃどーも。元々はそこの女一人狙う予定だったんだけどな。全く、よくもまぁ予定を狂わせてくれたもんだ…なぁ!」

 

 振り向きざまに飛んできた物体を槍で弾く。 

 

 背後からの奇襲。何かが近づいてきていたことは気付いていたので警戒はしていた。

 

 「離脱する!! マインを連れて飛べ!」

 

 空を飛ぶワイバーンのような危険種。その上から響いてきたのは元将軍であったナジェンダの声だ。

 大方、仲間の手助けにでも来たのだろう。ワイヤーのようなもので編まれた槍を弾きつつ、仲間思いだな、と考える。

 

 もしもの話であるが、俺が最初に拾われていたのが革命軍であったのなあらば、なんて可能性の話を想像してしまうが今更のことだ。それにチョウリ大臣には感謝している。

 

 

 やがて、マインを抱えあげた少年はその背中の羽をはためかせて上昇。ワイバーンと並行するように飛んでいく。

 

 

 このままだと逃げられるが…いいだろう。

 

 次なんて機会はもうないと思え。

 でなければ、またセリューに危害が及ぶ。

 二度にわたって大事な部下を害されたのだ。その気持ち、大切な仲間と組織を率いるお前にはよくわかるはずだ、ナジェンダ。

 

 「ランサー。槍を貸せ」

 「御意に」

 

 現れたのは今まで待機させていたFateの部隊の一人。すぐ隣に膝をついて槍をささげるように差し出すその仕草に、思わず呆れてしまう。ほんと、忠誠心とやらがパネェ。

 

 受け取ったそれを、手に取り、重さや感触を確かめる。

 標的は飛行中。今もなお遠ざかっていくその姿は夜ということもあって見失ってしまいそうになる。

 

 「まぁいい」

 

 だが、逃しはしない。

 

 「筋力値、一時的に制限を解除。魔力放出、使用。噴射口は肘に設定」

 

 受け取った槍を握り、投擲の構えを取る。

 普段から自制しているこの体のスペックを一時的に開放することで、俺の体は瞬間的に英霊レベルにまで上昇する。…もっとも、使用後は体が無理をしているため、酷い筋肉痛になるのだが…まあぁ、今ならいいだろう。

 

 なお、破魔の紅薔薇を使わないのは、投げたら戻ってこないため。アニキの槍なら戻ってくるから良かったが、これはそういうわけにはいかないのだ。

 

 構えの恰好から、槍に強化をかける。

 

 大丈夫だ。標的はよく見える。

 スペクテッドは相手のその表情までもが手に取るように分かる。今はだいぶ距離が開いたためか、こちらから逃げ切ったと思っているのだろう。安堵している様子が窺えた。

 

 「標的確認。方位角固定」

 

 だが、それで俺があきらめると思えば大間違いだ。

 魔力を肘の部分に集中させ、投擲のタイミングを見計らう。

 

 そして、対象の姿が見える。楽しそうに談笑でもしているのだろうか。

 

 関係がない

 

 「吹き飛びな、偽・不毀の極槍(ドゥリンダナ)ってなぁ!」

 

 貯めていた魔力を一気に開放させ、投擲とともに噴射。英霊並みの膂力と、魔力放出によって勢いが底上げされた槍は、音速を超える勢いで標的まで飛んでいく。

 

 風を切り裂く音に気付いたのか、ナイトレイドの面々が後ろを向いた。

 

 だが、気付いた時にはもう遅い。

 

 

 彼らの認識をはるかに超える速度を持って、槍は少女の胸に吸い込まれるようにして突き刺さった。

 鮮血が舞う。

 

 

 その様子をスペクテッドで確認した俺は、目を閉じて帝具の機能を切った。

 

 

 遥か彼方で、少年の叫び声が聞こえたような気がした。

 

 

 

 

 

 




一応、説明を。
セイはヘクトールの宝具が使えるわけではございません。それっぽく見せているだけです。実際はただの槍投げです。

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