Fateで斬る   作:二修羅和尚

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七十一話

「……来たか」

 

 

 

 

自宅の屋根の上に立ち、俺は遥か彼方、帝都の城壁付近を見つめる。

 

どの方角から来るか判断がつかなかったが、使い魔を壁外の四方八方に配置し、パスを通して情報が来る。

 

数は七人。よく見える(・・・)

 

 

「最近、全然使ってなかったからなぁ…」

 

そう言って、俺は額に手をやった。

 

奇抜な見た目をした目の帝具、スペクテッド

その効果は遠視、透視、洞視、未来視、幻視の五つを扱えるようになるというもの。

直接的な攻撃力はないが、これさえあれ対人戦でかなり有利になるだろう。

 

ちなみに、俺が使ってるのは遠視の能力。

暗闇でも霧でもはっきりくっきりと見えるってのは地味に凄い能力だろう。

俺に千里眼のスキルでもあればよかったのだが、そんなものはないため、大変重宝しているのだ。

 

 

……いや、軽んじてはないよ? さ、最近スペクテッド(これ)に触れてなかったなぁとかないからね? 一応、誰も触れてなかったけどいつも付けてたし!

 

 

閑話休題

 

取り乱した

 

まぁ、その話は置いておこう。

今気にすべきなのはナイトレイドだ。

 

もう一度ナイトレイドの方へスペクテッド(視線)を向ける。

やるべきことは一つ。

現在判明しているメンバー以外の顔を覚えることだ。

指名手配として似顔絵が張り出されているのはアカメ、マイン、ナジェンダの三名のみ。

チェルシーを知っているのは俺のみだからそこは無視し、残るは三人だ。

 

「…なーんで顔隠してんのかね、あの二人」

 

だが、こちらを警戒してのことなのか、その三人のうち、二人は顔を隠していた。

一人はインクルシオを装備し、もう一人は緑色のコートようなものに、奇妙なデザインの仮面をつけている。

そして、最後の一人は獣の耳と尻尾が生えてた。

 

 

そういや、キョロクに向かう前にいたな、あれ。

あの仮面の男も、クロメを襲っていた奴だ。

 

 

ウェイブがいれば、あいつから狙うんだろうな、と考える。

 

 

だが、俺の狙いは一人。

 

帝具パンプキンの使い手、マイン

 

インクルシオの少年も次点で入っているのだが、あれとセリューの因縁は深いように感じる。

 

できるだけやはく片付けておきたい。

 

「しっかし、意外と来るのが早かったな…」

 

まだ予定の日には四日ほどの猶予がある。

つまるところ、チェルシーが合流し、話を聞いた時点で即行動に移したのだろう。

 

 

「……お?」

 

暫くその様子を見ていると、ナイトレイドの面々は帝都内へ侵入後、此方に向かわずに散り散りになって走り出した。

 

「……なるほど、こっちの帝具を知ってんだ。対策して当然か」

 

 

スッ、とスペクテッドの目を閉じる。

ずっと見ているのも疲れるし、このくらいでいいだろう。

 

それに、奴等がここへ侵入するのは期限ギリキリになってからだろう。

 

恐らく、こちらの情報を探ったり、侵入の準備をしたり、といったところか。

 

「数は七人。それに加えて、帝都の密偵がいると考えても良いな」

 

まぁ、密偵はこちらを調べるのみだろうが

 

期限まではメイド達の護衛にFateをつけるか。

拐われて、人質交換などされたら目も当てられん。

 

いや、いっそのこと、俺が買い物にいくか?

 

 

我が自宅(工房)の防衛力は文句なしと言ってもいいが、人はどうにもならんからな。

 

 

「……まぁ、考えたところで、やることは一緒か」

 

来るなら来い、暗殺者(アサシン)


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