Fateで斬る   作:二修羅和尚

68 / 92
先日、ランキングで五位になっておりました!
ありがとうございます! これからも頑張って書いていきますね!


六十話

エクスタスの攻撃を避け、予想外の方向から飛んでくるベルヴァーグを勘でかわす。

 

シェーレもブラートもかなりの実力を持っているのだが、相手が悪いとしか言いようがない。

これがもしウェイブ相手だったなら瞬く間に殺られていたに違いない。なんせ、グランシャリオの防御力がいくら高くとも、万物両断のエクスタスの前には無力であるし、ベルヴァーグの攻撃をそう何度も防げるはずがない。

 

地を滑るように飛んでくるベルヴァーグをステップでかわし、着地と同時にシェーレの前に移動。破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)を突きだした

 

「くっ!!」

 

穂先と体の間になんとかエクスタスを割り込ませたシェーレは想像以上の衝撃に声を漏らす。

続けざまにもう一突き、と思ったところで、二つの斧がシェーレを回り込むように左右から飛んでくる。

 

「ちっ」

 

思わず舌打ちが漏れる。

 

仕方なくシェーレの前から下がると、斧はそのまま旋回していき、ブラートの手元に納まった。

 

「タイミングはジャストだったんだけどな」

 

「あれで獲れると思ったなら少しばかり嘗めすぎてないか? あれくらいなら多分エスデスも避けられる」

 

それもウザイドヤ顔ぐらいはするだろう。

 

「まぁ、それもそうか。ところでよ、ひとつ聞いておきたいことがあるんだが」

 

「なんだ? 革命軍への御誘いなら先に断っておくぜ?」

 

「そりゃ残念だ。だが聞きたいことはそうじゃねぇんだ」

 

連結したベルヴァーグを肩に担いでそういったブラートの言葉に、俺は首を傾げた。

ナイトレイドが俺に聞きたいこと? 何かあったっけか?

 

頭のなかで思考を巡らせていると、今まで黙っていたシェーレが恐る恐るといった様子で尋ねてきた。

 

「あの…チェルシーさんはどうしたんですか?」

 

「チェルシー? ……ああっ!!」

 

一瞬誰のことか分からなかったが、直ぐに思い出した。

いやほら、ここ最近は帝都にいないからさ。ちょっと忘れちゃうのも仕方ないよね、的な?

 

まぁでも、ナイトレイドの奴等が気にするのは当然か。何せ、潜入捜査中だった仲間が生きてるのかも分からないんだからな。

 

「あの女なら、家の地下牢で快適な軟禁生活を満喫中だぜ?」

 

「!? 生きてるんですか!!」

 

「ああ。あの帝具は使えるしな。こっちの仲間になってもらえれば万々歳なんだよ。ちなみに、地下牢とは言ったが、個室トイレにバスルーム、フワッフワのベッドや娯楽用の本にソファーまで付けてるから不自由はさせてねぇはずだ。もちろん、食事は栄養面も考えてものが三食必ず出てくる」

 

改めて考えてみても、敵を閉じ込める空間じゃねぇなこれ。

 

「……な、なんか高級宿以上の待遇ですね」

 

「……俺も、どこにツッコめばいいのかわからねぇよ」

 

何故か二人に呆れられた。なんでだ。元仲間が無事なんだから喜べばいいのに。

 

まぁいい。今はそんなこと考えている時じゃない。

 

「さて、逆にこちらからも聞いておくぞ。ナイトレイド、もしくはブラート、シェーレ。革命軍を捨てて、俺のところに来るってのはどうだ? 帝国を変えたいという気持ちは俺もチョウリ様も同じだ。大臣を討つって話も分かる。反乱軍との戦いが終われば、チョウリ様やブドー大将軍、それに俺も動いて大臣や帝国の闇に関わった連中を徹底的に排除するつもりだ。それがすめば、帝国は生まれ変わる。革命軍の切り札でもある帝具使いの暗殺集団であるナイトレイドが抜ければ、その機会も早くなる。どうだ?」

 

「だが断る」

 

「てめぇはジョジ◯かこの野郎」

 

あんなけ喋らせたうえでその返しか。自然な流れでツッコんじまったじゃねぇか。

 

「……一応、理由を聞いても?」

 

「んなもん、俺の信念を貫けるのがここってだけだぜ」

 

「私も、以前から考えは変わりませんよ、セイ君」

 

「セイ君止めい」

 

そこまで聞いた俺は、まぁいいか、と破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)を構えた。

 

「幸い、お前ら二人は俺の殺害対象じゃねぇからな。捕まえてチェルシーと同じく軟禁生活だ。仲間になるまで粘ってやんよ」

 

「そら優しいこった。で? そんな優しい警備隊長が殺したいってのは誰だ?」

 

「ピンクのツインテールの娘だ」

 

ブラートの言葉に即答する。

 

俺の答えに、二人の呼吸が止まった。

あの女、一度ならず二度までもセリューを殺しかけやがったのだ。

あれだけは慈悲なくこの手で仕留める。一緒にいた鎧の少年も半殺しだ。

 

「シェーレ。どうやら、もっとまじで足止めした方がいいみたいだ」

 

「そうですね」

 

二人が己の帝具を構え、戦闘体勢に入る。

 

がしかし、残念だったな。

 

「本気だしたら、お前らついて来れないからな」

 

「っ!? がっ!?」

 

「シェーレ!?」

 

一瞬で二人の真後ろへと移動した俺は破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)の石突きでシェーレの後頭部を殴り付ける。

真正面に倒れて気絶するシェーレに一瞬何が起こったのか分からなかったブラートは直ぐに振り替えって俺に斧を叩きつける。

 

が、それも遅い。

寸前で一歩横へ。それだけで斧は俺のすぐ目の前を通りすぎていき、足元の地面を砕く。

 

「なっ!?」

 

「はいよっと!!」

 

避けたと同時にブラートの体に回し蹴りを喰らわせる。

骨折程度なら後でも楽に治せるから問題はない。

勢いそのままに森の木に突っ込んだブラートは、その身を木に激しくぶつけた。

 

「オラッ!!」

 

追撃

 

木にぶつかって跳ね返ったブラートを今度は頭上からの踵落とし。

一時的に英霊のスペックを解放したせいか、体がかなり痛い。

 

 

妄想幻像(サバーニーヤ)

 

ブラートが動かないことを確認し、分体を二体呼び出す。

シェーレとブラートの二人を縛って、帝都の屋敷の地下牢に入れておくように命じる。

 

「……さて」

 

では、エスデスのところに向かうとするか

 

 

 




セイのマインぶっ殺宣言。

あと、ナイトレイドの面々がまだ誰も死んでいませんが、色々と言い訳しますと、まずセイが仲間に取り込むことを第一としているため、といいましょうか。
あくまで殺すのは最終手段としてのことなんですね。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。