Fateで斬る   作:二修羅和尚

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前回長かったから、短くてもいいよね!
てことで、今回は短いです


五十八話

「いよいよ明日だな」

 

エスデスが窓の外を眺めながらそう呟いた。

 

現在、俺達イェーガーズはとある一室に集まっていた。

セリューはまだ安静に、ということで自室のベッドに寝転んでいるだろうが、その他の戦闘可能なメンバー。

 

「いよいよ……というのは?」

 

「決まっている。ナイトレイドが攻めてくる」

 

そういやその護衛で来たんだっけな、と思い出すように考える。

こっちきてから少し経ってるから忘れかけてた。

 

「奴等は月に一度の祈りの日に攻めてくるはずだからな。信徒の目がないのはその日くらいだ」

 

「なるほど」

 

ボルスさんが頷く。

 

ピンクのエプロンを身に纏いながら

 

ちょっとあなた、なんでいまお菓子作ってるんですか。

 

「ついては皆の護衛場所を決めておきたい。私とクロメ、ボルスはボリックの側。ランは空から警備。ウェイブとセイは外を頼む」

 

「随分と中を固めるみたいだが……侵入されること前提なのか?」

 

「まぁな。まがりなりにも、奴等は帝都最強と言われる暗殺者だ。警戒しておいて損はないだろう」

 

「それに、別動部隊がいないとも言えませんからね」

 

「そういうことだ」

 

ランの捕捉説明を受けて、俺も了解する。

けど、いざとなってもエスデスのやつ、戦闘楽しむ方面ではっちゃけそうだな。

 

「……で? いつまで食べてんだ? クロメ」

 

「……ん?」

 

呆れたような声をだしながら、ウェイブが隣のクロメへ視線を向けた。

名前を呼ばれたからか、ウェイブを見上げるクロメ。だが、その間も手は止まらないようでパクパクとボルスさんが追加で焼いてくるクッキーを口に運んでいる。

 

「ボルスさんも、あんまり甘やかさないでくださいよ?」

 

「あはは……こんなに食べっぷりがいいとつい、ね」

 

困ったような声でクッキー生地をかたぬきするボルスさんだが、やはり作ったものを美味しく食べてもらえるのは嬉しいのだろう。

その気持ちは分かる。しかも、ボルスさんは奥さんと並んで炊事洗濯家事仕事とこなせるスーパー主夫である。

 

「ま、今日は勘弁してやってくれウェイブ。こいつの治療にある程度区切りがついてな。今日から普通のお菓子なら食べていいって許可を出したんだよ」

 

実際、内臓の方は順調に回復しているし、あの副作用の強い強化薬への依存性も薄れている。

これなら近いうちに体の方ももとに戻るはずだ。

 

「しっかし、セイ。お前治療もできたのか?」

 

「まぁな。警備隊じゃ、当たり前だったが」

 

「セイの治療って、すごく眠くなる」

 

思い出すようにあくびをするクロメ。だか手は止めない。すごいなこいつ

 

「……まぁいい。それよりセイ。セリューの奴はどうだ?」

 

「体調に問題なし。が、この間の戦闘でかなり消耗してる。今回の作戦は参加不可だな。コロも奥の手で、三ヶ月はまともに動けんし」

 

それを聞いてそうか、と短く呟いたエスデス。少し残念そうにはしているが、セリューを運び込んだ時はそれなりに心配はしていたようだった。

 

 

 

 

 

 

 

その日、気を引き締めろというエスデスの言葉を最後に自室へと戻った俺達。

いよいよ明日だ。

 

セリューのことは忘れちゃいない。あの借りは、きっちりと返させてもらう。

 

生きるか死ぬかの世界だ。覚悟はしているだろう。

 

「……待ってろよ」

 

ナイトレイド

 

夜空には、満月が浮かんでいた

 

 


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