Fateで斬る   作:二修羅和尚

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遅くなってすみません。追試やらなんやらで遅れました


五十話

「そらそらそらぁ!! 距離詰めねぇと意味がねぇぞ!」

 

「くぅっ……!!」

 

「アカメ! 俺が前に!」

 

ローブを身に纏った男に対峙するのは、ナイトレイドでも屈指の実力を持つ帝具村雨の使い手、アカメ。そして、インクルシオを身に纏った少年……だと思われる男。

 

はいどうも。ローブの男ことセイでございます。

 

こうして、攻撃しながら考え事が出来るほどには余裕ができてるわけでございます。

ぶっちゃけ、注意したらいいのはアカメくらいだし。あのインクルシオの少年、まだ帝具の性能を十分には発揮できてないみたいだし。

ん~まぁよくて七割ってとこかな。

 

これがあのブラートだったら流石に俺も思いっきりやらなきゃなんだけど

 

現在は俺のお気に入りの主武装である手甲がダメになったため、戦闘スタイルを変更。礼装を使った中距離スタイルになっております。

前衛を月霊髄液(ヴォールメン・ハイドラグラム)に任せつつ、俺はその後ろから宝石をポイポイするお仕事でございます。

並みの攻撃じゃ、あの水銀の壁は突破できないし、触手の威力は鉄でも切り裂ける。

あのインクルシオの鎧を斬るにはまだ威力が足りないようだが、アカメのような生身であれば一撃でお釈迦にできる自信はある。気は抜けないだろう

 

「『爆破』」

 

俺の投擲した三つの宝石が水銀スライムを飛び越えて、二人の元へ。

その瞬間に、水銀が二人を取り囲むように展開されるのだが、取り囲んだ頃には二人ともその中から逃れている。

 

「……対応が早くなってきたな…」

 

最初の方は面白いように捕まってくれたのだが、やればやるほど捕確率も減ってきた。

やはり、自動と言うだけあって、水銀の動きが単調すぎたか……

 

まぁでも一定の動きしかしないから、ナイトレイドならこれぐらいは出来て当然か。

 

水銀から逃れたら二人は、その隙を見て俺に特攻。水銀の壁という俺の防御が途絶えたと思ったのだろう。

なるほど、いい判断だ。仕掛けるなら今だよな。

 

「全部分かってんだなこれが」

 

ポーチの中身の残量を気にせず、宝石を掴み取ると、俺はそれをこちらへ向かってくる二人へ一気にばらまいた。

宝石による弾幕。広範囲に渡るそれから逃げるのはほぼ不可能だ。

 

瞬間、インクルシオの少年がアカメの前に出た。

 

「『爆破』!」

 

「ゥオオォォォォォォオォォォ!!!」

 

自らが壁となった少年は、俺が宝石を爆破させる寸前に、槍を回転させ、前方の宝石を弾き飛ばす。

更に、その弾き飛ばされた宝石は、周囲の槍の範囲外にあった宝石と衝突し、あらぬ方向へと弾かれた。

 

そして、少年を避けるように宝石が爆破された。

 

「……ほぉ?」

 

その光景を目にし、俺は思わず感嘆の声を漏らした。

つい先程までは実力不足だと思っていたんだが……

 

「オオォォ!!」

 

槍を構えて再び向かってくる少年に、その後ろから追従するアカメ。

その速さはなかなかのもので、水銀が追い付けないのも無理はないかと思ってしまう。

 

「ラァッ!!」

 

「葬る!」

 

両サイドからの挟み撃ち。

水銀も手元から離れてるから間に合わんし、宝石も取り出す暇がない。

そして俺は額にスペクテッドのみの丸腰だ。宝具もだしてる暇はなし。

 

じゃあどうするか。

 

「ダラッシャァァ!!」

 

「なっ!?」

 

スキル魔力放出によって、蹴りの威力を底上げし、槍の刃の腹を蹴りあげて軌道をそらす。

だが、これだけだとアカメの村雨による攻撃を諸に受ける。

現に、今にも俺の首を落とさんとするその一撃はもうすぐそこだ。

俺は蹴りの勢いを利用し、体を捻ると村雨と首の間に腕を割り込ませた。

そして、纏ったローブに大量の魔力を流し込む!

 

 

ギンッ! と、普通ならありえない音が俺の耳に響いた。当然だ。なんせ、布が刀の刃を防ぐなんぞ、常識ではありえない現象だ。

 

だが残念。魔術に常識なんてのは非常識だ。なんせ神秘の塊なんだからな。

 

アカメ自身も驚きを隠せないようでその表情は面白いくらいに驚愕に染まっている。

その隙をつき、俺は硬直していたアカメと崩れた体勢を戻そうとしていた少年をカポエラのような動きで蹴り飛ばした。

 

そのまま勢いをつけて立ち上がる。

 

「おうおう、今のは良かったぜ。もうちょっとだったな。残念だけど」

 

「く……っそ……!! 舐めやがって……!」

 

鎧でダメージは少ないだろうが、中への衝撃はまんま伝わっているだろう。

少年は蹴られた場所を押さえながらも立ち上がる。

 

「タ……気を付けろ。焦りは禁物だ」

 

「ああ、分かってる」

 

二人への注意は反らさずに、俺は少し視線をあげてその先を見る。

まだデスタグールは顕在。ということは、まだクロメの方は大丈夫……と見てもいいのか?

 

ただ、あっちにはエクスタスのシェーレに、恐らく昔ナジェンダ元将軍が使用していたパンプキンを持つマイン。更に、力が落ちたとはいえ、元将軍のナジェンダに、見た目からして強そうな角の大男。更に更にインクルシオを装備していないとはいえ、100人斬りと言われた実力者のブラート。

骸人形がどれだけやれるか俺には分からんが、実力者のバーゲンセールみたいになってる向こうはカオス間違いなしだろう。

こちらにアカメを引き留めている分楽だとは思うが……

ただ、骸人形の生前の実力があのナイトレイド以上と考えるのはやめた方がいいだろう。となれば、時間がたつほど不利になるのは明白、か。

 

「……早いとこ、応援に行った方がいい……!?」

 

心眼(偽)で感じた勘にしたがって、急いで身を捻った。

直後、頭のあった位置を突き抜けていく一条の光。いや、これレーザーだ

 

「あぁもうっ!! あんたたちどれだけ動きが人外じみてるのよ!!」

 

「マインっ!!」

 

振り向けば、こちらを見下ろせる高台から帝具であろう銃を構える桃髪ツインテール。

怒りながら地団駄を踏む少女を見たアカメと少年が喜びの声を顕にする。

 

なんと厄介な。クロメの骸人形を撃破して、すぐこっちに援護に来たか。

クロメに集中されるよりもいいことはいいのだが、面倒が一つ増え……!?

 

「俺もいるぜぇ!!」

 

「くそっ! またかよ!」

 

こちらに向かって飛来する何かを防ぐため、足元へと戻っていた水銀礼装を展開し、壁を作る。

が、それでも嫌な予感が止まらない。

 

すぐにその場を飛び退けば、案の定、水銀の壁を突き抜けて、更には俺に向かって軌道修正してきやがる。追尾効果ってやつか?

 

回転しながら飛翔する巨大な刃を何とか避けるが、やはり軌道を変えて俺を追ってくる。

そして、背後からもも一つ巨大な刃が飛翔してくる。

だが、俺の心眼(偽)(スキル)はよく仕事をしてくれる。いや、いいんだけど

 

前方、後方の飛翔する刃に、上から、更には左右から。どうやら、全方向からの総攻撃のようだ。

 

流石に、これは全力でやらなきゃ不味いぞおい

 

「『滾れ我が血潮』!!!」

 

全力の魔力を込めて月霊髄液(ヴォールメン・ハイドラグラム)を周囲に展開させる。

流石に、全力で魔力をこめたおかげか、レーザーも、あの巨大刃も、左右からの攻撃め防ぎきると、俺はすぐに水銀を両腰の大瓶に戻してその場から距離をとる。

 

距離を開けたことで余裕を取り戻した俺は直ぐ様俺を狙ってきた面々を見渡した。

 

「チッ、今のでもダメなのかよ」

「想像以上に厄介ね」

 

手元に戻った巨大刃を連結させ、斧となったそれを肩に担ぐブラートに、悪態をつくマイン。そして、アカメとインクルシオの少年。

 

ブラートもマインと同じくクロメの骸人形を撃破してきたのだろう。

 

流石帝具持ち。仕事が早い

 

だが、クロメにはまだあの超級危険種のデスタグールが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

両☆断☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……撤退するかな」

 

 

 

 

 

 




はい、という訳でブラートには残念帝具、二挺大斧ベルヴァーグを使って貰いましょう、という結果になりました。

……何も言わないでね?



あと、おまけ
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斬られた。
インクルシオの槍を蹴りあげたまではいい。
だが最後、タイミングを誤り、腕を出すのが遅れた。
魔力を流してローブの強化をしようにも、狙われているのは肌のでた首。
間に合わない。なら直撃だけは避けよう。

そう判断した俺は辛うじて首を落とされることだけは防いだのだった。


「よっしゃぁ!」

少年の歓声が響く。
一斬必殺村雨。その名の通り、一太刀でも受けてしまえば、呪毒によって死に至る帝具。

「ヵ、カカカカ……カカッ」

村雨の毒が全身をめぐる。巡り巡って心臓へ。
だがしかし、毒が届いたのはそこまでだ。

「っ!? 何故死なない!?」

「嘘だろ!? 斬られたんじゃねぇのかよ!?」

二人の驚愕の声。
ああ、聞こえない。聞こえない。
今はただーーこの悦に浸りたい

何とも言えない高揚感。内側から溢れるこの気分
あぁ……壊したい。殺したい。そんな衝動に、本能の思うがままに

「なぁんとも言えない気分だなぁこりゃぁよぉ……カカッ」

全身に入れ墨のような模様が表れる。
何かは分からないが……

「どうでもいいか……カカッ」

外してあった手甲を再び装着し、全体を月霊髄液(ヴォールメン・ハイドラグラム)で補強すると、拳の部分にスパイクを形成する。

なんでか宝具が使えないみたいだが……これさえあればいいや


さぁ

「全部ぶっ壊そぅぜ……カカッ!」

第三ラウンドの始まりだ



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二修羅はオルタ化についてはいまいちわかってないのですが、こんな感じのイメージです。
何かあれば御指摘お願いしますね。

ただ、過度な批評は抑えてくれるとありがたいです

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