Fateで斬る   作:二修羅和尚

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三十七・五話

クロメによるセイへの刀術の指導が始まった頃。

とある人物はその観戦にと道場へ向かった他のメンバーと別行動を取っていた。

 

身に纏った白衣を揺らし、セイの自宅の廊下を物色するように眺めながら歩を進める。

 

「さって、それじゃぁいろいろと見て回りましょうか」

 

Dr.スタイリッシュ

医者にして稀代のマッドサイエンティスト。そして、イェーガーズに所属する帝具使い。

本人の技術と、帝具の力により帝具にも劣らない武器の開発や、おぞましい人体実験などで数々の成果をあげている。

 

なお、この内容の詳細をセイが叩けば、いつでも彼は捕らえられるが、今のところ死刑の決まった囚人。それも真の意味で犯罪を犯した者が生け贄となっているためあまり気にかけていない。

 

さて、話を戻す。

 

何故彼が他のメンバーと別れて行動しているかと言えば、ただのセイへの興味本意によるものである。無論、二重の意味で。

 

だが、本命はセイが使用した銀の触手、月霊髄液(ヴォールメン・ハイドラグラム)である。

他にも宝石に何をどうすれば爆発したりなどの現象が起きるのか、一科学者として気になるところであるが、あの触手については謎が多すぎる。

恐らくは液体金属である水銀だろうとおおよその当たりをつけてはいるが、何をどうすればあのように自在に動くのか。

セイの自宅であるならば、その鍵があるのは確実。そう思ったためにスタイリッシュは単独行動をとったのだ。

 

「それにしても大きな家ね。悪どい商売をしてたとは聞いてないんだけど……こういう作りもいいわね」

 

帝都には珍しい、というか一つだけであろう寝殿造の家。庭には池やちょっとした林まで存在しており、この家の敷地がどれ程広いのかを物語っている。

 

「それに、やっぱりわからないわ。目、鼻、耳の三人の調査じゃ対侵入者用の罠はないって話だったんどけど……」

 

己の駒である三人の報告では、侵入者対策の仕掛けは一切なく侵入も容易、とのことだったが、いざ招き入れられたと同時に多方面から『歩』を突入させてみれば全くの無意味。

先程合図を出してみたが、誰も集まってこなかった。

 

「本当、興味深いわねぇ……」

 

そう呟いてスタイリッシュは踵を返す。

 

セイが陣地作成スキルによって工房化された自宅は、家全体を覆うようにドーム型の結界が張られている。

更には、セイとそれに仕えるもの、または親しいもの以外の身体能力をワンランクほど低下させる呪いがかけられている。

その他にも、解除コードがなければ発動する即死トラップだったり、強制睡眠&悪夢というコンボトラップなども多数配置。

侵入されやすい庭の林の中は、セイ自作の宝石型無線機がなければ永遠に林を抜けられない、などの厄介な魔術が施されている。

 

そして、最後にセイ自身の工房はセイの自室からのみ入室が可能。

よく利用するため、いちいち解除するのが面倒くさいとトラップは一切ないのだが、合言葉でしか工房への扉は開かない。

 

 

 

 

「こちらアサシン部隊。対象は主の元へ戻った」

 

『こちらランサー部隊。侵入者の捕獲、及び殺害完了』

 

『了解。これからキャスター部隊が死体処理に向かう。セイバー部隊、アーチャー部隊は警戒を続行せよ』

 

『『了解』』

 

『バーサーカー部隊、ライダー部隊は非常事態に備えて待機』

 

『『了解』』

 

物陰からスタイリッシュの行動を見張っていた一人の男が首のペンダント型の宝石に話しかけると、そこから男以外の声が響いた。

 

彼らはセイ直属の護衛部隊。ただ、ただの護衛というわけではなく、個人の得意分野や性格がなどで計七つの部隊に振り分けられているのだ。

 

彼らはセイ(あるじ)の命に忠実な部下である。

 

なお、部隊のネーミングはセイの趣味だとかなんとか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ということだ。お前にはこの場所で情報収集を頼みたい」

 

「ん、任せてボス。潜入は私の十八番だから♪」

 

ナイトレイドアジト。

 

革命軍の暗殺部隊であるナイトレイドには、新たに二人のメンバーが加わっていた。

 

これは予想外にイェーガーズの戦力が厄介であるということをナジェンダ自らが本部へ報告しにいった際に連れてきた者たちであった。

 

帝具ガイアファンデーションの使い手、チェルシー。そして、生物型の帝具スサオノ

 

特にスサオノは運が良く、本部で宝の持ち腐れとなっていたが、ナジェンダに反応して起動。その戦闘力はナイトレイドでもブラートに勝るとも劣らない。

 

 

そしてもう一人。チェルシーを自室に呼び出したナジェンダは帝都の地図のある部分を示してそう言ったのだった。

 

「それで? これはなんて貴族の家? ずいぶんと大きいみたいだけど……」

 

「あぁ、そこは貴族の家じゃないんだ」

 

その言葉にチェルシーは首をかしげた。

結構細かくかかれた地図であるため、帝都の密偵が調べたのだろう。ならば、距離もおおよそあっていると見ていいはず。

そして、今回示された場所はどう見ても貴族の家、もしくはそれ以上の土地面積がある。

 

「てことは何かの会場だったり?」

 

「個人宅だ。それに、我々革命軍でも帝都でもかなりの有名人だ」

 

まさかエスデス? と一瞬だけそんな考えが頭をよぎったチェルシー。だが、そんな答えはナジェンダの口からは出なかった。

 

 

「チェルシーに任務を与える。三日後、お前は帝都に趣き、帝都警備隊隊長兼イェーガーズ隊員であるセイの自宅へメイドとして潜入、情報収集を頼む。できれば奴の弱点や噂の力とやらの解明も頼みたい」

 

 

 

 

 


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