Fateで斬る   作:二修羅和尚

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んー、今回は文のできがイマイチ


三十七話

ただ賊を殲滅するだけの簡単なお仕事でございました。

 

俺は月霊髄液(ヴォーメルン・ハイドラグラム)とコロとで突破口を開けば、ウェイブとクロメが寺ノ中へ突入。

ランやボルスさんは逃げる敵へ追い討ちをかけ、スタイリッシュ率いる変態軍団は残党狩り。

 

正直、賊どもが可哀想になってくるほどだ。

 

にしても、クロメの刀術はなかなかのものだな。

今まで周りに刀を使う奴がいなかったために独学で学んできたのだが、頼めば教えてくれるかもしれん。

刀は斬ることに特化した武器であるため、スペック任せの戦法はあまり良しとしないのだ。

どうしても技術が必要になってくる。

 

問題は、どうやって頼めばいいか、という話であるが

 

……なんか、物でも贈るか?

 

むしろそれ以外で思い付かない、というか何を贈れば喜ぶのか分からないからそれくらいしか出来ることがない。

 

会ってまだ少ししか経っていないというのに、あまり自分のことを話さない寡黙系美少女のことなんぞ分かる訳がない。

 

「……と、いうわけでだ。本当にそれでいいのか意見が聞きたい」

 

「セイ君、いっぺん、死んでみる?」

 

「どこの地獄少女だよお前は」

 

開口一番で死ねとは、何を考えているんだこいつは。てか

元とは言え部下だろうに

 

「だ、だって、いきなり女の子にプレゼント贈りたいなんて言うから……その、そういう意味なのかなって……」

 

「どういう意味だよ。それに一言もプレゼントといった覚えはない。俺が教えてもらうのに、その対価として何をやればいいかって話だ。言わば、ギブアンドテイク」

 

そう言うと、なんだ~と安堵するように息を吐いたセリュー。

どこに安堵する必要があったのかは分からんのだが。

 

「クロメちゃんなら、何かお菓子とか食事とかでいいと思うよ」

 

「そうなのか? 女ってのはもっとアクセとか小物とかの方が喜ぶもんだろ?」

 

「クロメちゃん、花より団子って感じだから」

 

あはは、と笑うセリューから視線を外し、なるほど、と一人頷いた。

確かに、見かけたらだいたいお菓子食ってるもんな。

 

「なら、今度家に食べに来てもらうか」

 

「え? 何で?」

 

「いや、何でって……そもそも、セリューが気にすることじゃないだろ?」

 

「あるよっ!?」

 

え、あるの?

 

訝しげな目を向けると、セリューは一瞬だけ身を震わせた。

そして、え、え~と……と考える素振りを見せると今度は何か思い付いたかのように手を打った。

 

「そ、そう! 監視! セイ君が変なことしないように私が監視しなくちゃだから!」

 

「いやお前。それ、今思い付いただろ」

 

そしてこいつは何を考えとるんだ。紳士な俺が何をやらかすと?

 

「そ、そもそも、何でセイ君の家なの!? その辺の店のでもいいでしょ!?」

 

「ちょっと静かにしろって。単純に家の方が都合がいいんだよ」

 

「都合……はっ! まさかセイ君、クロメちゃんを食べる気じゃ……!!」

 

「ねぇよ!! 頼むからお前のその残念な頭にこれ以上がっかりさせてくれるな。最初に言っただろ。ものを教えてもらうって」

 

そこまで言って思い出したのか、あっ、と声をあげるセリュー。残念すぎてなんかもう手に終えない。

 

「それじゃぁ、クロメちゃんのこと食べない?」

 

「だからねぇって。そもそも、俺はあいつに刀術について教えてもらいたいんだよ。家なら道場もあるから丁度いいしな」

 

「刀……? セイ君って十分強いからいいと思うんだけど……」

 

「戦闘力って意味じゃそうなんだろうがな。だが、技術があるに越したことはねぇ。エスデスにも槍とか格闘に比べてお粗末って言われたぐらいだからな」

 

「……あれでお粗末って言える隊長って凄いんだね……」

 

「帝国最強だからな。あいつ」

 

フハハハ! と笑いながら敵を蹂躙するエスデスが脳裏に浮かんだ。

 

「……そうだな、ついでにウェイブとランも誘うか」

 

「ボルスさん一家もね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「どうしてこうなった」

 

「ん? どうした。そんな顔をして」

 

「主に原因はてめぇらなんだよ」

 

 

 

「あら、このお肉美味しいわね。これ、あなたが作ったの?」

 

「はい! 元々はセイ様に教えてもらったんですが、今は私がアレンジを加えてるんですよ!」

 

 

当初の予定通り、クロメの他にも誘うつもりだったのだが、どこから聞き付けたのかスタイリッシュも来るとか言い出した。

そしてあれやこれやと話が進み、イェーガーズのメンバーが行くなら私も行かねばな、とやけに気持ちのいい笑みを浮かべたエスデス。きっと、俺の顔はとてつもなく嫌そうだったのだろう。本当、人の嫌がることを嬉々としてやりやがる。

 

エスデスは俺の隣でニヤニヤと笑い、スタイリッシュはエアと料理の話。これがなかなか盛り上がっており、エアはスタイリッシュに心を許しているのか終始嬉しそうに笑っている。

 

エア、気を付けろよ。そいつはマッドなサイエンティストだ

 

「しかし、なかなか凝った趣向だな。遥か東の衣装だろうが、なかなかいいものだ」

 

「そりゃどうも。喜んでもらえてなによりだ」

 

「ほら、タツミ。お前ももっとこっちによれ」

 

「え!?」

 

ちなみに、タツミ君は強制参加だった。なんせ何か言う前に拘束→連行だからな。

 

そして、先程エスデスが言ったことから分かるように、皆には浴衣に着替えてもらった。

頻繁に家に来るセリューやたまに家に来るボルスさん一家は慣れたように着替えていたが、他の面々はそうはいかず、エスデスとクロメにはセリューが、ランやウェイブ、タツミ君には俺やボルスさんが着付けを行った。

スタイリッシュは家の者に任せた。

 

そして悔しいことにエスデスの浴衣姿が様になっている。

元がいいから分かっていたが、それでもなんか悔しい。ほんと、黙ってたらすげぇ美人なのにとは常々思う。

……まぁ、性格が最悪なんだがな!

 

「しかし、お前の家はなかなかでかいんだな。話には聞いていたが、これほどとは」

 

「十分に堪能したなら帰ってもいいぞ?」

 

「そうつれないことを言うな。せっかく集まったんだ。楽しませろ」

 

そう言ってどこから取ってきたのか、高そうなお酒を飲むエスデス。

多分それ、チョウリ様が楽しみにしてたやつだったと思うんだが

 

「ほら、タツミ。お前も飲め」

 

「え、いや俺はちょっと……」

 

「あんまり無理強いすると嫌われるぞ」

 

「む? そういうものか?」

 

そうなんだよ、と呆れた口調で言うと、エスデスはふむ、と呟いて黙りこんでしまった。

 

「あ、ありがとうな。助かった」

 

「ん? あぁ、気にすんな」

 

こそっ、とタツミ君が耳元でお礼を言ってくるのを、手で制す。

なんせ被害者だ。こいつに悪いところはないし。

 

少し疲れた様子を見せるタツミ君にたいし、その向かいで無心に料理を平らげていく少女クロメ。

彼女の胃は止まるところをしらないのか?

 

「クロメ、このあとに刀の稽古を頼みたいんだが、大丈夫か?」

 

「ん。問題ない」

 

一瞬だけフォークを止め、短く答えたクロメは、再び食事を開始する。

クロメの周りだけ皿がすごいことになっているんだが、どこにそれだけはいるのだろうか。

 

ボルスさん一家は机の端で親子三人仲良く食事を進めている。

ウェイブはまだ慣れないのか、どこか落ち着きがない。俺よりも歳上なんだからしっかりしてほしい。ランはさすがというべきか、もうなれた様子。

 

 

あと、チョウリ様は今回自室で食事を取るように言ってある。

なんせ、同じ部隊とは言え、大臣の派閥であるエスデスが来ているのだ。警戒しておいて損はないだろう。

 

「おっと、そういやエスデス。大臣に一つ言っておきたいことがあるから伝えておいてくれ」

 

「なんだ?」

 

「この頃俺の家(ここ)に侵入しようとするやつが多すぎるんだ。入りたいなら入り口から堂々と、許可もらってからにしてくれってな」

 

「ふん、それは私には関係のない話だな」

 

そう言って、酒を飲むエスデスに俺は軽く舌打ちする。

 

あのエスデスとの試合のあとから俺の家に侵入しようとする不届きものが多いのだ。

一応、この家は陣地作成スキルによって工房化しているため、入り口以外から入るのは非常に困難で、仮に入れたとしても俺手製の魔術トラップが多数張り巡らされている。

 

スペクテッドの洞視で侵入者を調べてみればオネスト大臣の指示と来た。

 

え? そのあと侵入者はどうしたかって?

 

……まぁ、うん。俺の魔術の進歩に役立ってくれたと思うよ

 

 

「んじゃ、クロメ。そろそろ頼む。家のなかに道場があるからそこでな」

 

「ん、分かった。がんばる」

 

 

さて、特にエスデスとスタイリッシュ。余計なことするんじゃねぇぞ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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