感想欄で指摘を受けていましたがそのままにしてたみたいです
ほんと、気いつけないと……
ザンクの件から数日が経った
あれから帝都には辻斬り事件の犯人であるザンクが討伐されたという話が広まり、帝都市民の姿が夜でも見られるようになった。
依然として市民の表情は全体的に見て暗くは感じるものの、どこかホッとした様子なのは良かったと思える。
さて、そんななかで、だ。
三つほど新しく話せる話ができた。
一つは俺が代理隊長から正式に隊長になるようにとの命が下ったこと。
それも皇帝陛下直々にだ。文だけど
市民の安寧に貢献した、ということで偉く評価してくれたようだ。
まぁ、これについてはよかった。
元々、代理ではなく正式に隊長になるつもりではいたが、もう少し時間のかかるものだと思っていた。
代理の時とあまり変わりはないのだが、その話は帝都中に知られているらしく、知り合いのボルスさんや奥さんにもすこしばかり祝ってもらった。
無論、うちの連中も喜んでた。
特にエア、ルナ、ファルの三人娘はまるで自分のことのように喜んでいた。まぁ、そんだけ喜んでくれたなら良かったよほんと
あとはセリューだな。
俺が隊長になって、自分も頑張らなきゃとか宣ってたが、変なとこで訳のわからない行動に出そうだからちょっと心配になってくる。
で、二つ目
イエヤスとサヨがこの度、警備隊に加入しました!
わぁーパチパチパチ!
かなり悩んだ末の決断みたいだけど、嬉しいことにはかわりない。
既に警備隊上位の実力を持つとしていたイエヤス。そしてサヨなんだが、こちらは剣よりも弓を得意としているみたいだ。しかも実力者
こいつらが自分より強いとか言ってるタツミとやらはいったいどれ程なのだろうか
……ひょっとして、ザンクとやりあっていたあの少年だったりするのかね?
まぁいい。
この二人は知り合いということもあってセリューが直々に面倒を見ている。
見回りなんかは三人で行ってるみたいだ。
二人には帝都の街の道とか経路を覚えてもらわんとだしな。帝都広いし大変だけど
俺も苦労したっけなぁ~と昔のことを思い出す
で、三つ目。これ重要
あの日、ザンクから回収した帝具スペクテッド
適合しますた
いや、マジで
なんとなく着けてみただけだったのだが拒否反応も出ずに上手いこと使えたんだなこれが。
やったね!これで俺も帝具使いだ!
元々、宝具という反則的なものを持っている俺。
で、攻撃的な能力はないものの、戦闘の補佐にかんしてはこれ以上ないというほどの帝具。
あれ?宝具とこれの組み合わせって、俺もう最強じゃね?
まぁ何はともあれ、そういうことだ。
上からはそのまま使えという話も来てるし、上としても実力者が帝具を使うことに異論はないのだろう。
俺が知ってる帝国の帝具使いといえば、ボルスさんとセリュー。ブドー大将軍にあとは……帝国最強と噂されるエスデスとかいう将軍くらいか?
他にどれくらいいるかわからんけど。
あとはナイトレイド側で確認されてるエクスタス、インクルシオ、村雨、パンプキンか?
四十八のうちの八つ。ナイトレイド側も帝国側もまだまだ有りそうだから恐ろしいな。
というわけで、以上が主な出来事だな。
額に装着したスペクテッドの調子を確認するように触れた俺は意気揚々と見回りを開始する。
……いやぁ、今日は非番なんだけどね?
しかし、一度だけ。一度だけやりたかったことがあるんだ!!
男なら、男なら仕方ないんだ!ラバだって絶対やる!!
というわけで
「『透視』発動!」
桃源郷が見えました
す、素晴らしかった……が、これは破壊力が有りすぎる。下手したら俺が出血多量で死にかねん。
ふん、俺にダメージを負わせるとは……やるではないか
特にあの金髪の人!!なんだあれは!?なぜ一枚しか巻いてないのだ!?そのせいでもろガン見してしまったじゃねぇか!!嬉しかったけども!!
いかんいかん。これは今後街中で使うのは注意した方がいいかもしれん。てか、市民には使ってはいかんなこれは。
「まぁ、今日は最後に一回だけ……」
俺が訪れたのは警備隊の詰所本部。
時間的にイエヤスとサヨは帰ってるだろう。ちなみに、警備隊所属になった今でもイエヤスたちには家を使わせている。
いやいいんだけどね。勝手にセリューが決めちゃったけど、此方としてもうちの連中となかよくやってくれてるから。
イエヤスが下心丸出しなら絞めるけどね!
と、そろそろセリューが仕事を終える時間だ。
ここでスペクテッドの持つ五視の能力を紹介しておこう
使えるのは『遠視』『洞視』『透視』『未来視』『幻視』
流石帝具というべきか、その性能の凄さには目を見張るものがある。
今回使うのは『幻視』
ザンクは一度も俺に使用してこなかったがその能力が如何程のものか試そうというわけだ。
確かに、自分の姿が他者、それも相手が大切なものの姿が見えるとか
本音セリューへの悪戯ってのが九割だけど
まぁ、あいつならそこまで怒ることはないだろう。実際、性能テストという名目があるからな!
そして俺からすればからかうネタになる。フハハハ!! 隊長と呼ばないとどうなるか、その身でもって知るがいい!
そこまで考えていると、不意に本部の扉が開く。
その直前に俺は近くの建物に身を潜めた。出てきたのはやはりセリュー。
よし、『幻視』発動!
俺は建物から出て、自然を装って近づいていく。
自身に近づく人影にセリューも気づいたようで、此方を向いた。
そして、セリューはその顔を驚愕に……あ、あれ? なんで首かしげてんの?
「あれ? セイ君、今日は非番じゃなかったっけ?」
な、何だって……
何故バレてるんだ……?
「えっと……なぁセリュー。今、俺がどうなふうに見えてる?」
「? なに言ってるの?」
ますます訳が分からないと言ったふうに疑問の声をあげるセリュー。
あっれぇ~?もしかして、『幻視』が効いてない?
「おっかしいな……発動してなかったのか?」
「ん? よくわからないけど……あ! セイ君! 今日メインストリートで美味しそうなクレープのお店があったんだよ! 一緒に行こう!」
「キュウ!」
「え、何を……ちょ! 服伸びるからあんまり引っ張るなって!! コロ! 頭の上に乗るな!」
ほんと、何がどうなってんのやら……
ナイトレイド アジト
「今日さぁ、街歩いてたらセイだったっけ? あの警備隊長にガン見されたんだけど……」
「え? 姐さん、あの警備隊長と会ったの?」
「会ったっつーか、一方的に見られてたんだよね。もしかして、バレた?」
「おいおい、それまずいんじゃないのか? 」
レオーネの言葉に訝しげな表情を浮かべたブラート。
一方で少年ーータツミは、セイがザンクの帝具を使用しているという報告を思い出して焦り始める
「姐さん、不味い! ザンクの持ってた帝具って、表情で相手の心が見えるんだ!」
「ゲッ、それ本当かタツミ。だとしたら相当不味いぞ…」
「うへぇ~」
そうなった場合、直ぐにでもこのアジトを放棄しないと不味い。
そう考えた三人。直ぐにでもナジェンダに報告しないと。
「別に大丈夫だと思うけど?」
「あ、ラバ! そんな呑気なこと言ってる場合かよ!?」
現れたのはラバック。だが、三人とは別に本当に何にも思ってないような態度だった
「いや、今日あいつが俺に会いに来たんだけどな? 『ラバ! 金髪が、胸が、オッパイが……!! お前なら分かるよな!?』って来て早々話してくれたからよ。特徴的に姐さんのことだろ。ありゃバレてないな絶対」
にしてもあいつ羨ましいことを……!!! と一人血の涙を流すラバ。
普段、覗きをしようとして返り討ちにあっているだけにどうしようもない。
まぁ、実際のところラバのいう通りなのであったが
最後の方は……ま、お分かりのかたも多数いらっしゃるかと
そう言うことなんでしょうね