Fateで斬る   作:二修羅和尚

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十四話

「おらぁっ!!」

 

「見えてる見えてる」

 

セイの真っ向からの拳を余裕の笑みで避けるザンク。

それもそのはず。ザンクには帝具というとてつもないアドバンテージがあった。

 

帝具スペクテッド

 

五視の能力を有するこの帝具は殺人的な攻撃力はないものの相手の心を読んだり、未来の動きを予想するなど、対人戦において所有者に大きな利益をもたらしている。

 

「フェイントを狙ってからの足払い、と。分かりやすいなぁ~」

 

「無駄口うぜぇんだよ!」

 

攻撃を全て見切られ、避けられる。にも関わらず攻撃を続け拳のラッシュ、時には蹴りも放つセイ。

 

戦況は明らかにザンクが有利であった。

 

(くっそ!割り込もうにも割り込めねぇ!)

 

一方、そんな二人の戦闘を外から眺めるしかない少年、タツミ。

下手なタイミングで出て行けば寧ろ邪魔になる。

 

(てか、あの兄ちゃん、口の割に不利になってんじゃねえか!)

 

帝具持ちのザンク相手に、あれだけ戦えているのを見るに、強いのはわかる。

ただ、言ったからにはもうちょっと頑張ってほしい

 

(アカメはまだ来そうにないし…いや、俺が探しに行くべきなのか?)

 

現在自分の上司であるアカメとはぐれそのままザンクの罠に引っ掛かってしまった訳なんだが……とそもそもの原因自分じゃねぇかと頭を抱えるタツミ。

 

そんなタツミを無視して戦況は動いていく

 

「コノッ…!!」

 

「無駄無駄ぁ~」

 

手甲を剣で弾かれ、反撃の一閃をなんとか手甲で防ぐ。

セイは立て直しのため、一度大振りの蹴りを放ち、ザンクが距離を取ったところで、自信も後ろに跳躍した。

 

「チッ、本当に、帝具ってのは厄介だ」

 

ふぅ、と息を吐くセイ。そんなセイの様子をニヤニヤと笑みを浮かべて眺めるザンク、

 

「愉快愉快。このまま疲れたところでその首を切り落としてあげよう。こう見えて、首斬りの達人だからねぇ」

 

「抜かせ。それに、俺は本気を出してねぇぞ」

 

笑みを浮かべるセイ。しかし、それは誰がどう見てもただの強がりだ。

事実、あの拳のラッシュはザンクやタツミからみてもかなりのものだったし、本人も手を抜いていたとは思えない。

 

「強がりはダメだぞ?それに、お前の攻撃は俺には通じないんだなぁこれが」

 

自身の額の帝具に軽く触れたザンク。

対人戦で大きな力を発揮するスペクテッド

それはザンクの絶対の自信に繋がっていた。

 

 

「そうでもないんだわこれが。先に言っておいてやる。あんまり俺相手に常識を考えない方がいいぜ?」

 

 

そう言って、セイは軽く腕を振った

 

ザンクの目にもその行為はごく自然な、何気ないものに見えたその瞬間

 

ゾクリ、と

 

言葉にできない悪寒が走った

 

「ッ!?」

 

ほとんど本能に従ってザンクは横に飛ぶ。

突然の行動に、後方から見ていたタツミは首をかしげる。が、その顔はすぐに驚愕に変わった。

 

ザンクが元々立っていた後方。そこにあった一本の電灯が半ばほどから切り落とされたのだった。

先端のガラスが地に落ちて砕ける。

 

「き、貴様、いったい何をッ!?」

 

「へぇ、今の避けるんだな。帝具……いや、あれは本人か?」

 

突然のことで動揺が隠しきれていないザンクの口調が崩れているが、セイは気にした様子もなく今のザンクの動きについて考える。

 

先程まで、帝具があるとはいえ、身体的スペックが英霊並みのセイと渡り合っていたのだ。それくらいはできても可笑しくはない。

 

ただ、言わせてもらうなら先程までのセイは自身の身体的スペック任せの力押し戦法。

 

「首斬りザンク。改めて名乗ろう。帝都警備隊所属、代理隊長。そしてーー」

 

 

 

「魔術師、セイだ。ここからは魔術師としての俺が相手をしてやろう」

 

 

もちろん、顔面に一発は確定だがな、と笑みを浮かべたセイ。

 

ザンクはそんなセイを得たいの知れないものを見る目で見るしかなかった

 

 




ちょっと、セイのキャラが安定していない。
久しぶりだからかな

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