引退した博麗の巫女と問題児たちが異世界から来るそうですよ? 作:hakusai
十六夜は苛立たしげに言う。
「で、呼び出されたはいいけどなんで誰もいねぇんだよ。この状況だと、招待状に書かれていた箱庭とかいうものの説明をする人間が現れるもんじゃねぇのか?」
「そうね。なんの説明もないままでは動きようがないもの。」
「………。この状況に対して落ち着き過ぎているのもどうかと思うけど。」
(全くです。)
「慌て過ぎるよりましじゃない。」
影に隠れている人――いや、ウサギは、もん問題児が落ち着き過ぎていて、出るタイミングを失っていた。
ふと、十六夜がため息交じりに呟く。
「―――仕方がねぇな。こうなったら、そこに隠れている奴にでも話を聞くか?」
隠れていた黒ウサギは心臓を掴まれたように跳び跳ねた。
四人の視線が黒ウサギに集まる。
「なんだ、貴方も気づいてたの?」
「当然。かくれんぼじゃ負けなしだぜ?そっちのお前らも気づいてたんだろ?」
「風上に立たれたら嫌でもわかる。」
「あれを隠れていると言うのかしら?」
「……へぇ。面白いなお前ら」
軽薄そうに笑う十六夜の目は笑っていない。
四人は理不尽な召集を受けた腹いせに(霊夢はわかっていたが)殺気の籠もった冷ややかな視線を黒うさぎにむける。
黒ウサギもやや怯んだ。
「や、やだなぁ御四人様。そんな狼みたいに怖い顔で見られると黒ウサギは死んじゃいますよ?ええ、ええ、古来より孤独と狼はウサギの天敵でございます。そんな黒ウサギの脆弱な心臓に免じてここは一つ穏便に御話を聞いて頂けたら嬉しいで御座いますよ?」
「断る」
「却下」
「お断りします」
「聞いたらウサギ鍋にしてもいい?」
「あっは、取りつくシマもないですね♪って最後の方はなにを言ってくれちゃってるのですか!?ダメです!断固拒否です!」
そういってバンザーイ、と降参のポーズをとる黒ウサギ。
(肝っ玉は及第点。この状況でNOと言える勝ち気は買いです。まぁ、扱いにくいのは難点ですけども。)
黒ウサギがそういって四人を値踏みしていると、
「えい」
「フギャ!」
耀が黒ウサギの耳を力いっぱい引っ張った。
「ちょ、ちょっとお待ちを!触るまでなら黙って受け入れますが、まさか初対面で遠慮無用に黒ウサギの素敵耳を引き抜きに掛かるとは、どういう了見ですか!?」
「好奇心の為せる業」
「自由にも程があります!」
「へぇ?このウサ耳って本物なのか?」
今度は十六夜が掴んで引っ張る。
「………。じゃあ私も」
「面白そうだから私も」
「ちょ、ちょっと待――――――!」
更に二人に耳を引っ張られ、黒ウサギは言葉にならない悲鳴を上げた。
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「あ、あり得ない。あり得ないのですよ。まさか話を聞いてもらうために小一時間も消費してしまうとは。学級崩壊とはきっとこのような状況を言うに違いないのデス」
「いいからさっさと進めろ」
黒ウサギは半ば本気の涙を浮かべながら話を始めた。
話が長いので要約すると
・ここは箱庭という所である。
・ここでは、ギフトゲームというものをする。
・ギフトゲームとは、修羅神仏などから与えられた恩恵で競うゲームである。
・ここにいる者はコミュニティに属さなければならない。
・ギフトゲームの勝者は主催者から賞品を貰える。
・ギフトゲームに負けると参加のためのチップは主催者にわたる。
・チップは様々である。
・ギフトゲームはなんでもありである。
………と、まぁ、要約出来ていない気もするが、こんな感じである。
では、霊夢たちの方に視点を戻そう。
「―――待てよ。まだ俺が質問してないだろ。」
いままで静聴していた十六夜が威圧的な声を上げる。
その顔にさっきまでの軽薄な笑みはない。
「………どういった質問です?ルールですか?ゲームそのものですか?」
「そんなものはどうでもいい。腹の底からどうでもいいぜ、黒ウサギ。ここでオマエに向かってルールを問いただしたところで何かが変わるわけじゃねぇんだ。世界のルールを変えようとするのは革命家の仕事であって、プレイヤーの仕事じゃねぇ。俺が聞きたいのは………たった一つ、手紙に書いてあったことだけだ」
「この世界は………面白いか?」
他の三人も無言で返答を待つ。全員にとってこれは一番重要な事だろう。
「―――YES。ギフトゲームは人を超えた者たちだけが参加できる神魔の遊戯。箱庭の世界は外界より格段に面白いと、黒ウサギは保障いたします♪」
霊夢さんは幻想郷から来てるので外界と違う気もしますが、面白くなければ帰るだけなので構わないのです。
やっぱり計画的に文は書くべきなのですかね?思い付きだけなので、矛盾とか発生しそうで怖いです。
次回から霊夢さんが暴れだすと思います。