引退した博麗の巫女と問題児たちが異世界から来るそうですよ? 作:hakusai
ここは人里から少し離れた場所にあるボロ屋。
「暇ねぇ…」
そう言って女性は縁側で白い息をはいた
「霊香の修行も終わったし、掃除もさっきしたし、やることないわねぇ…」
女性は赤いTシャツにパーカー、下はジーンズという、一見普通の格好であったが、とても特徴的な紅白の大きなリボンで髪をとめていた。
彼女の名前は博麗霊夢。二代前の博麗の巫女だ。
二代前といっても、その姿は若々しいままで、初対面では大学生と間違えられてしまうくらいだ。
なぜこんなに見た目が若いのかというと、彼女はいつの間にか仙人になっていたようで、現在は不老となっているからだ。残念ながら不死ではないので、あまりにも大きな怪我をすると死んでしまうが。
余談だが、親友の魔理沙も不老になったらしい。
「魔理沙のところにでも遊びに行こうかしら……ん?」
暇を持て余している霊夢の目の前に、突然どこからか手紙が降ってきた。
(・・・空間転移の類の術がかけられているわね)
手紙にかけられた術をひと目で見破った霊夢は、おもむろに立ち上がると、
「ちょっと遊びに行ってこようかしら。」
という呟きを残して、何処かへと消えた。
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「紫ー入るわよー」
霊夢は幻想郷の賢者である八雲紫の元へと来ていた
「珍しいわね。そっちから来るなんて。」
「ちょっとお願いがあってね。」
「ふぅん。で?お願いってなに?」
「幻想郷の外に遊びに行きたいのよ。」
そう言って霊夢は、さっき空から降ってきた手紙を紫に見せた。
「霊夢宛の手紙ねぇ…しかも、幻想郷の外からの。」
「だめ…かな?」
霊夢がお願いすると、紫は少しの間考えるようにして、
「仕方ないわね。手紙の差出人のところに行くことを許可するわ。但し、何かあったら戻ってくること。これを守れるなら行っていいわ。」
「わかったわ。でも、幻想郷の外なんでしょう?戻ってこられるかしら。」
「それなら心配ないわ。これを持っていってもらうから。」
そういって紫は、霊夢に紅白の陰陽玉を渡した。
「これは…?」
「この陰陽玉に霊力を込めれば、私と通話できるわ。連絡手段兼座標捜索道具よ。」
「なるほどね。これなら心配ないわね。」
「たとえ繋がらなかったとしても、私が全力で探しだすから、心配しなくていいわ。」
「至れり尽くせりね。とてもありがたいわ。」
「それだけあなたが大切ってことよ。本当は外に出したくないもの。でも、あなたには是非外を経験してもらいたかったからね。それに面白い土産話も聞けそうだし。」
「ありがとう…紫。たくさんお土産持ってきてやるから、期待しときなさい。」
「それは楽しみね。期待しておくわよ。」
紫が続ける。
「それと、幻想郷のことをあまり外では話さないでね。色々と都合が悪いから。能力もあまり使いすぎないように。郷に入れば郷に従えというし、目立つことはしすぎないようにしてね。」
「わかってるわよ。」
「あと、一番大事なのは、全力を極力出さないこと。あなたの全力は、私たちでは敵わないくらいだからね。危険視されることも考えられるからね。」
「全力を出さなきゃ死ぬときは?」
「おもいっきりやりなさい。」
「さすが紫。わかってるじゃない。」
「何年一緒にいると思ってんのよ。まぁ、あなたより強い人なんているわけがないんだけどね。」
「分からないわよ?たくさんいるかもしれない。」
「少なくともたくさんはいないと思うわ。」
そんなこんなで少々雑談をして…
「じゃあ、行ってきます。」
「行ってらっしゃい。霊夢。」
霊夢は手紙の封を切った。手紙には、こう書いてあった。
――『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。
その才能を試すことを望むのならば、
己の家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨て、
我らの“箱庭”に来られたし』―――
(少年少女って年でもないけどね…それに、捨てるつもりもないし。)
その手紙を読んだ霊夢はそう思い苦笑いした。
その直後、霊夢の視界が急変した。
さっきまでいた場所とはうって変わり、上空4000mからの景色と、自分同様に自由落下する少年たちの姿が見えた。
「「「「ど……何処だここ!?」」」」
―――それが問題児3人との出会いであった。
はじめて書いた文ですので、おかしなところもあるかと思います。
マナー違反などしていたら、教えてくださると幸いです。