54話の直後って感じ。
真夏の日差しが強い日
ラビットハウスの4人は、夏らしく浴衣に着替えてる。
ココアはピンク、チノは水色、リゼは紫の可愛らしい浴衣を着ている。俺は黒。
ウンザリするほど暑い日は、夏らしい格好で冷たいものを飲むに限る。
ほら、ラビットハウスにも冷やしコーヒーを求めて来たお客さんが……
「………浴衣? 甘兎庵と間違えました……」
「間違ってないよ!」
………やっぱり浴衣はダメだったか。
☆
その後も甘兎庵と勘違いするお客さんが多発したので、結局いつもの格好に着替えました。
「浴衣は甘兎庵に買収されたと思われちゃうかぁ」
「それがなきゃ完璧だったのになぁ浴衣」
俺の眼福的にも。
「ティッピーは反対してました」
「ココアが千夜から借りてきたんだろ」
「でも夏になる度お客さんに『その服暑くない?』 って聞かれてきたよ⁉︎やんわりと!」
太リボンに長袖のシャツ、厚手のスカートとベストに、トドメと言わんばかりの黒タイツとブーツ。
暑くないかって?いいや、普通に暑いな。
俺の着るバーテンダーの服も、長袖のシャツに黒のリボンと厚手のベスト、女子組ほどじゃないが暑い。同じ格好で涼しい顔を保つタカヒロさんはすごい。
「リゼちゃんは何回言われた⁉︎」
「今年はまだ2回だ!」
「私 4回!」
「ケイトは何回だ⁉︎」
「7回。 何故か浴衣に着替えてから言われた」
「浴衣のほうが黒色率高いからだろ」
「その発想はなかった!」
俺のは参考にならないけど、やっぱり側から見ても暑そうらしい。夏はまだ続くし、この格好のままだとあと5倍は聞かれるな。
「わしは……23回……」
「ティッピーの優勝!」
優勝者のティッピーにはうちわを扇いであげよう。最悪死ぬし。
「上着とリボンを取ってみよう」
「最初からこうすればよかったですね」
「ちょっとかわいくないなー……」
「熱中症になるわくにゃいかんだろ。……みんな同じような格好だし、俺はアリだな」
スカートとズボンの違いはあるが、4人とも同じ感じの格好になった。
……女子3人は色違いの格好で、俺だけ別の格好なのが少し寂しかったりもする。それでスカート履くのは論外だが。
「……ケイトと、同じ格好………」
「顔を赤くしないでくれ……」
俺まで顔真っ赤で恥ずか死んでしまう。
ま、まぁこれなら良いクールビズになるはず…
「ココア達いなかったねー」
「ピンク水色紫黒じゃなかったよ〜」
「色で判断されてる!」
ダメだ、イメージカラーがなくてもラビットハウスと認識されない!(マヤメグ視点)
……しかし、これじゃクールビズができない。
どうすればいいか皆で悩んでると、ココアから案が出た。
「なければ作ればいいんだよ!ラビットハウスらしい夏制服!チノちゃんのお母さんのデザインに近いものを!」
なるほど。今の印象を崩さず、かつ夏でも暑くない制服……たぶんこれが一番いい案だな。
「私たちが作る……」
「今こそ4人の力を合わせるとき!」
「「「「涼しくするぞー‼︎」」」」
「いつものラビットハウ……なんかこの喫茶店あつくるしい!」
迷惑かけたマヤとメグには冷やしコーヒーを奢った。
そして4人はラビットハウスらしい制服を作るために、材料を買うことにした。
☆
翌日
「ココアさん夏バテです」
「早くも燃え尽きたか」
「まだ何も買ってないんだけど」
ココアは最初から疲れてたが、揃ったことだし買いに行くか。
「ジュース買ってきたぞ」
「ぴゃっ!」
「……ケイトさん、最初はどこに行きましょう」
「そうさな………バーゲンしてる店が近いし、まずはそこに行くか」
「半袖シャツと薄手のスカート、ズボンは既製品でいいかな」
「ベストは作り直すので生地が必要ですね」
「よし、それじゃあ…ぴゃっ!」
ココアがさっきリゼにやられたように、冷たい缶ジュースを首に付けた。
ツインテと身体が跳ね女の子らしい可愛い声が出る。
「( ̄ー ̄)bグッ!」
「お前絶対元気だろ!ケイトも何やってんだ!」
気付いた時には、俺は良い顔でグッジョブしてた。
「調子悪いなら背負ってやるから乗れ!」
「やだそんなっチノちゃんの前で!」
割と辛そうなココアのために、リゼが背負おうとする。
俺が名乗り出ようと思ったが、同年代の女子を背負うのはなんかダメな気がする。ココアは一回背負ったけど。
「だめだよー恥ずかしいよー」
「って乗るのか。世話のかかるやつだなー」
言葉とは裏腹にアッサリ乗るココア。こういう光景を見ると、2人が仲の良い姉妹に見える。
……アレ?チノちゃんに手招きをして………あ、ココアの上に乗った。
「おっ重…!あついっ2人も背負えるかー‼︎」
そりゃそうだ、2人だと下手したら100kgはあるわけだし。
(真面目な話、中高生女子の体重は平均50kg前後)
まぁさすがにココアだけ背負ってバーゲンに向かったが、真夏のクソ暑い日なだけあり、途中でリゼもバテてしまった。
「リゼさんがバテてしまいました」
「私を背負ってくれたばかりに…!」
「しゃあない、俺が背負うから、ほら」
「い、いいのか⁉︎」
「そりゃなあ。置いてくなんてヤダし」
「じゃ、じゃあお言葉に甘えて……」
ちょっと恥ずかしがりながらも、素直に俺の背中に乗ってくれた。
背中に感じる柔らかい物、指を押し返す弾力、肌は疲労で熱を帯びている。
姉さんともココアとも違う、心を揺さぶるような感覚。
……正直舐めていた。というか多分これが正常な反応だ。リゼに出会うまでが鈍感過ぎたんだ。
「そういえば、ケイトに背負ってもらうのは初めてだな」
「だな、リゼはいつもしっかりしてるし」
「……その、たまにはいいな。こういうの」
「スゴくいいけど、思ったよか恥ずい。リゼは恥ずかしくないのか?」
「………バカ」
俺の顔が赤いのは、真夏の暑さとは関係ない。俺に身体を預けるリゼの肌はさっきより熱を帯び、俺と同じ心境だと容易に察した。
『そういう関係』らしい距離をなかなか掴めない。
でも、恥ずかしいけど、なんとなく幸せな気分だ。
2月中に出すとか言ったのに、本当に本当にスミマセンm(_ _)m
前の更新以降、色々ありまして……
・予定外の受験再開
・大学への進学手続き
・卒業式(高校3年なので)
・クラス皆んなでお疲れ様会
・モンハンの発売&即購入
・キノの旅再アニメ化やったぜ
・計58日で人理修復
後半ほど理由がクソなのは気のせいです。