長くなったので、前編後編に分けます。
話数稼ぎ?……アーッ、聞こえないなー!
忙しいんや。うん、忙しい。m(_ _)m
とある日の放課後
「リゼ先輩の蹂躙走行よー!」
「私も蹴散らしてー!」
バスケ部の助っ人をしてるリゼが、男顔負けの勢いで攻めている。
観戦スペースでは、ぎゅうぎゅうになるまで入った女子たちの黄色い声援が止まない。おかげで耳が割れそうだ。
反対側にいるシャロも、人と柵に挟まれていて大変そうだ。
あっ、3ポイントシュート決まった。
☆
翌日
今度はテニス部の助っ人をしてるらしい。
もちろん見る以外の選択肢はない。
「リゼ先輩の核ミサイルスマッシュ炸裂よ!」
「先輩の爆風感じるー!」
テニスコートに来ると、ちょうどリゼが試合をしていた。
リゼの運動神経もすごいが、黄色い声援はさらに凄まじい。
人も多いので、シャロもジャンプしながら観戦している。
一応リゼに一緒にやろうと誘われてたが、男は流石にゲームバランスが崩壊するから俺は参加していない。
でも、観客だと試合が見づらいし、せめてマネージャーとしてもっと近くで観戦させてもらおっかな。
ジャンプのしすぎでバテたシャロを見ながら、そんな事を俺は考えた。
☆
さらに翌日
「シャロ?確かにいたけど、それがどったんだ?」
「いや、あんまり熱心に見ていたから気になって…」
ラビットハウスで、昨日一昨日のシャロが気になったリゼの話を聞いていた。
「それは絶対!シャロちゃんも部活で青春の汗を流したかったんだよ!」
「えっ…あっそうね!」
ココアの解釈に、客の千夜が一瞬言い淀んだ。
(千夜、たぶんリゼを見たかったからだよな?俺と同じで)
(最後のはともかく、絶対リゼちゃんを見てたわね)
やっぱりそうか。
バラすわけにはいかないから小声で話したけど、第三者としてはもうちょい察してほしい。
「やっぱりか…バイトばっかりだったもんな…」
「私も部活入ってみたかったなー」
ココアの言葉に、チノちゃんの顔がかすかに歪む。
確かに、学校の方針で居候先の手伝いをすることになってる。だからって、それでチノちゃんが負い目を感じる必要はないのではないか。
そんな事を言おうとしたが…
「ラビットハウスで部活動を始めては?」
「そっかぁ!」
「仕事してください」
青山さんの提案で笑顔(遊ぶ気)が湧いたココアを前に、チノちゃんの顔には哀愁さえ漂っていた。
まぁ、負い目よりはマシか。
☆
またさらに以下略
リゼとシャロ、オマケの俺が集まり、これから部活の助っ人をする。
今日は文科系の部活もあるから、男の俺も参加できる。
「そういえば先輩、今日はポニテなんですね」
「みんな凛々しい方がらしいって言うから」
助っ人のときのリゼは基本ポニテだ。
髪型の違うリゼもありだな。
「それに、部員を蹴散らす荒れ狂う黒馬と対峙するみたいで気合が入るって」
「練習ですよね?」
「荒れ狂う黒馬……ハッ!黒王号か!」
「それはやめろ‼︎」
ポニテにする理由にリゼはあまり納得してない顔だったが、眼福だし問題ない。
「いくぞシャロ!」
俺の投げたボールが、見事に空へ打ち上げられる。
「はいっ先輩!」
シャロが必死にボールに食らいつく。
しかしボールはさらに遠くへ行き……
「いくぞ シャロ〜♪」
探偵の衣装を着たリゼが、何故かバットを持ったまま劇に臨む。
「はい 先輩ー♪」
ワトソ……某助手らしい衣装のシャロも、何故かグローブを着けたままだ。
「そういえば部長さん、俺の役は?」
「あっそうでした。 これを持ってください」
「………血塗れのナイフ?」
「特売というのは、特別なあなただけに売るという意味で……」
「いけるかシャロ⁉︎」
「奴ら はき違えてます先輩」
意味不明な解釈をしているお嬢様たち。
そんな彼女らを影から見つめる二人の探偵と俺…
「ケイト、何スマホを見ているんだ?」
「グー◯ル大先生」
「ていうか詰め込みすぎー!私が管理します!」
「悪いなシャロ!」
馬に乗った二人は馬に怖がることなく、会話をする余裕さえある
「動くなよ!絶対動くなよ!」
「乗り手が怖がると、馬にも伝わって余計危なく……」
「ちょっ待って動かないで!高くて怖いから!」
「……疲れた」
「なんだ、もう根を上げるのか」
「いやだって予定詰め込みすぎなんだよ!」
すでに俺らはソフトボール部・演劇部・庶民研究部・乗馬部と色々な部活の助っ人をした。男の俺も体育会系の部活にだって参加した。
これでもリゼと出会う前よかだいぶ鍛えられたが、慣れないこの量はキツイ。会社だったらブラック認定不可避だ。
「ケイト先輩、馬が高くて震えてましたよね」
「うっせえ高い所が苦手なんだよ!」
「降りた後も生まれたての子鹿みたいだったな」
ぶっちゃけ乗馬部が1番キツかった。高いの怖いし。
「そういえば、部活巡りしてる私とリゼ先輩を見て、部活の子達から『ある人』みたいって言われるんですよ」
「リゼとシャロが?」
「はい。何でも神出鬼没!過去に多くの部活を適当なアドバイスで勝利に導いたという……その名は‘‘ミス・エメラルド”!」
何だろう。勝利に導いたってのはスゴイけど、適当なアドバイスって所で急に胡散臭くなった。
「ついでにその人の情報も集めてみませんか?」
「うん シャロが楽しめるならいいよ」
「? はいっ!」
「何だか、リゼがシャロの姉に見えたな」
「そうか?」
「リゼ先輩が……姉…」
シャロの顔が赤い。
普段は普通に友達って感じだけど、どことなくお姉さん的な雰囲気を感じた。
とにかく、三人で次の部活へと向かう。
高い所がない部活であることを願って…。
「「それはお前だけだ(です)」」
「あれ口に出てた⁉︎」
何かを切実に願う顔が出てました。
昨日メガネデビューしました。
後編やったら、次はケイトのメガネ回書こうかなーって思ってます。
その時は、ケイト君には近視になってもらいましょう。
ケイト「解せぬ」