ご注文はリゼでしょうか?   作:シドー@カス虫

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ごちうさ五巻、来週発売ですね。
五巻のおかげで夏期講習に屈しない気力が湧きました。


45話 リゼたちとやってきたモカさん

本日はココアの姉さんが来る日。

ココアは緊張で固まってるが、ラテアートが失敗しないよう何度も練習をした。準備万端だ。

 

……時間になってもこないんだけどね。

 

「ココアの姉さんだし、ポンコt ……そそっかしいから迷子になったとかじゃね?」

 

「ココアの話を聞く限りそんな事はないと思うが…」

 

まぁ時間になってもこないんじゃ、迷子になったと考えるのが妥当だな。

ココアの姉さんは機会が苦手なので、携帯を持ってない。おかげで連絡を取る事もできない。

 

「私 お姉ちゃん探してくる!」

 

「あっおい!」

 

「言っちゃったか……」

 

姉さんが心配になったココアは、仕事を放り出して探しに行ってしまった。

 

「ココアの奴、仕事を放り出して…」

 

「姉さんが心配ならしゃあないだろ。俺もココアの立場なら探しに行くし」

 

「それもそうか。なら、戻るまではココアの分の仕事もするか」

 

にしても、最初は道に迷いまくってたココアが、あんなに頼もしくなるなんてな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『かわいいうさぎ見つけた!』

 

前言撤回

 

 

 

 

 

 

 

「いらっしゃいま……せ」

 

ココアからメールが届いた5分後、ラビットハウスに怪しい女性がきた。

サングラスとマスクをして素顔を隠し、トランクケースを持ってる。

 

「ご、ご注文は…」

 

「じゃあこの''ココア特製厚切りトースト”で」

 

怪しい女性は、格好とは裏腹にごく普通に注文してきた。

 

「あの風貌…スパイか運び屋か?」

 

「ここで取り引きやって、最悪交渉決裂からの戦闘……リゼ、武器貸してくれ」

 

「コンバットナイフでいいか?」

 

「やめてください二人とも!芸能人とか花粉症とかって考えないんですか!」

 

戦闘準備しようとしたら、チノちゃんに叱られてしまった。高校生二人が中学生に叱られる……悲しいかな。

 

 

なんて真面目にバカやってると、いきなり怪しい女性が大声を出した。

 

「このパン!もちもちが足りない!」

 

女性が勢いよく立ち上がると、拍子にケースが開いた。中身は謎の白い粉だけだ。

 

「って白い粉⁉︎」

 

「やっぱり運び屋だったじゃないか!」

 

「この小麦粉で本当のパンの味を教えてあげる!」

 

「Qui êtes-vous ⁉︎(お前は誰だ⁉︎)」

 

「慌てすぎだケイト!あと誰だ!」

 

「私です!」

 

「「「本当に誰⁉︎」」」

 

ココアの姉さん 保登モカさんでした。

 

 

 

 

 

 

「モカさん、このパンおいしすぎて涙が…」

 

「俺が今まで食べたパンはなんだったんだ…」

 

「さすが姉妹」

 

「三人の話は聞いてるよ、写真も見たよ♪」

 

モカさんが取り出した写真は、俺をジャイアントスイングして失敗したリゼや、ブレたチノちゃん&ティッピーのような、いわゆる面白写真がほとんどだった。

ちなみに写真の俺は、すぐ後に顔に擦り傷を負った。あれは痛かった。顔だけじゃなく全身。

 

「「「ロクなのがない!」」」

 

「みんなかわいい…♡」

 

「「「どこが⁉︎」」」

 

微妙にズレてる感性に、ココアとの血の繋がりを俺たちは感じた。

 

「さて!妹が帰ってくるまでお手伝いしようかな」

 

「お、お客さんにそんなことっ!」

 

「お姉ちゃんに まかせなさい♪」

 

今までココアの微妙な姉っぽさを見てきたからだろうか。モカさんから、後光が見えるほどの頼れる姉オーラを感じ取った。

そして俺たち三人の思考は完璧に一致した。

 

『いつものココア(さん)が 茶番のようだ』

 

 

 

 

「中学生でお仕事なんてすごいねー」

 

「マスターの孫として当然です!」

 

当然と言いつつも、どこか誇らしげなチノちゃん。

 

「ケイトくんはカッコイイねー」

 

「あ、ありがとうございます…」

 

ならなんでチノちゃんと同じように頭撫でんだろ。

あと一瞬殺気を感じたのは多分気のせいか。

 

「リゼちゃんもかわいいねー」

 

「高3ですが…」

 

「私から見たらかわいいの!真っ赤になるのもかわいいなぁ♡かわいいかわいい♡」

 

モカさんにかわいいと言われながら撫でられ、リゼの顔はすっかり真っ赤だ。超かわいい。

……いいなぁ、モカさん。

 

「ち 近寄るな!」

 

「つかまえた♪」

 

「脅しが効かない⁉︎」

 

リゼは銃で脅したが、それも気にせずモカさんはリゼに抱きついた。

……本当にいいなぁ。

 

「ケイトくんもリゼちゃんもふもふしない?」

 

「しません!」

 

「えー遠慮しなくていいんだよ」

 

「………いい、リゼ?」

 

「ダメだ‼︎」

 

「(´・ω・`)」

 

まぁ駄目元だったけどね。

 

「満足満足♪」

 

「わっ私がもふもふされるなんて……」

 

「リゼ、カム」

 

「くるか‼︎」

 

両手を広げてcomeしても、リゼが来ることはなかった(そりゃそうだ)。

 

 

 

 

 

モカさんが仕事を手伝い始めて少し経つと、やっとココアが戻ってきた。

 

ただし茶色の帽子とコート、サングラスにマスクとちょっと?グレたスタイルで。

 

「おかえりー」

 

「ちゃちゃっと仕事戻れよー」

 

「あ、うさぎかわいかったです」

 

「あれ?」

 

格好にツッコまないからか不思議そうにしてる。

気にするだけメンドイし。

 

「ココア⁉︎その変装は…ダサい‼︎」

 

おい さっきグラサンマスクできた客。

 

「とにかく……久しぶりココア。元気そうでよかった♪」

 

「おっ…おねぇちゃーん‼︎」

 

ココアはモカさんに抱きついた。一年ぶりの再会なんだ、嬉しいに決まってる。

みんな(窓の向こうに千夜とシャロがいた)で感動の再会を見てると、急にココアは何かに気付いたように抱きつくのを止めた。

 

「みみみみんなの前で恥ずかしいよ!しっかり者の姉で通ってるんだから!」

 

それはない

 

 

 

 

 

ずいぶん長かった気がするが、やっとココアのラテアートをモカさんに披露した。

 

「すごい…!お客さんのために練習したんだね」

 

「ココアさんの成長の証です」

 

ココアの成長に、モカさんも思わず目尻に涙を浮かべてる。

 

「それか日向ぼっこしてるかどっちかだったもんな」

 

「仕事の方はなかなか上手くいかないしな」

 

「ココアーーーー!!?」

 

うっかりこぼした俺とリゼの問題発言に、モカさんも絶叫するしかありませんでした。

 





自分は三兄弟の長男なので、兄か姉は羨ましいです。

青山さんみたいな姉が欲しい……!

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