ご注文はリゼでしょうか?   作:シドー@カス虫

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43話 ケイトとチマメ隊

 

「お待たせー」

 

「ワリィ、待たせた」

 

 

アレがあった30分後、予定通り進級祝いにお茶しに集まった。

泣いた跡を誤魔化せるか心配だったけど、ココアが卒業式に感動して泣いてたから特に問題はなかった。その感受性が羨ましい。

ココアたちに会ったらしくチノ、マヤ、メグちゃんたちもいたし、せっかくだし誘うか。人多い方が楽しいだろうし。

 

 

「3人もお茶して行くか?」

 

「ラビットハウスからも卒業するの?」

 

「違うよ‼︎」

 

マヤの発言はたまに肝を冷やす。もちろんラビットハウスから卒業する気はない。

 

とにかく、チマメ隊(この呼び方ワリと好き)を加えた8人でお茶することになった。

……そういや男俺しかいないな。まぁ学校も似た比率だし慣れてるけど。

 

 

 

 

 

 

 

「現在混んでいまして、離れた席に座ってもらいますが大丈夫でしょうか?」

 

喫茶店に行くと、微妙に混んでいた。全員座れはするが、4人ずつに離れた席になってしまうらしい。

高校中学組に分かれるのはいいとして、高校組から1人中学組に混じる案で話はまとまった。

 

 

「「「「「じゃんけんぽん!」」」」」

 

「ストレート負け…。まぁ、俺いくわ」

 

「3人の子守りはちゃんとできるのか?」

 

「俺たちを何だと思ってんだリゼ」

 

「私の妹を取らないでね!」

 

「取らねぇしココアのじゃねぇから」

 

だったら最初からココアが行けよ。進学祝いだからギリギリ高校組に残るって決めてたけど。

 

 

 

 

 

「私もアニキたちのように大人っぽくなりたいなー」

 

「大人っぽい…ですか?(チラッ)」

 

「チノちゃん、何で俺見て首傾げんの?」

 

「気にしないでください」

 

 

チノちゃんの俺に対する印象を改める必要があるらしい。

 

 

「さっきのアニキのように、後輩にお茶していこーぜって誘うのカッコイイよな!」

 

「私もナチュラルに誘えるかなー?

 

きっ君かわいいね〜 一緒にお茶していかない?」

 

「「「怪あやしいナンパだ(です)」」」

 

「そうだ、アニキも今のやってみて!」

 

「何で警察に睨まれそうなことやんなきゃいけねぇんだよ⁉︎」

 

「面白そうじゃん!」

 

「マジかよ」

 

 

結局俺は断れず、リゼに今のナンパをすることになった。知らん奴にやったら捕まりそうだし。

……リゼの親父さんいないよな?

 

 

「ん、どうしたんだケイト?」

 

「いや〜かわいいねリゼ。俺と2人でお茶していかない?」

 

「いっいきなりなんだお前は‼︎」

 

「いやマヤにナンパしてって頼まれてな。だから関節技はやめて!

てかリゼも俺と同じで顔真っ赤(ボキッ)ァアアアァアァアアアアアアアアアアアア

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ、なんとかはまった」

 

「アニキの顔 傑作だったな!」

 

「せめて反面教師として受けとれよ」

 

 

当たって砕けた(外された)俺がはめ直すと、何故かスタンドを持った店員がやってきた。

 

 

「こちらアフタヌーンティーセットです」

 

「えっ?頼んでませんけど」

 

「あちらのお客様からです」

 

『ぐっ☆』byココア

 

 

いつからここはバーになった。

大方姉として行動した結果だろう。

 

まぁせっかくだし食べるか。

 

 

「ありがとココアー!いっただきまー…」

 

「待って!これって食べるのに順番があるって聞いたことがあるよ」

 

「マジで⁉︎つまりこれを優雅に食べれなきゃ…」

 

「大人のレディーになれない」

 

「シャロさんたちを真似れば…」

 

「ホットドック食べてるな」

 

「私たちにはこんなよくわからないものを!」

 

 

ちなみに正しい順番は

 

下段のサンドイッチ

真ん中のスコーン

上段のペストリー(ケーキ)だ

 

まぁ絶対遵守じゃないし、楽しむのが1番だけどね。

教えるのもいいけど、自分で考えるのも大切だしもう少し様子を見るか。

 

同じ物が来たココアたちは、食べる前に会話を楽しんでた。相対性理論だとか般若心経って聞こえたけど、たぶん気のせいだろう。

 

「よくわからないけど、食べる前におしゃべりを楽しむらしいね」

 

「大人っぽい会話…えーっとえーっと」

 

「この前初めてうちのアニキをパシリに使ったよ」

 

「それは大人じゃねぇよ」

 

「こっ今度ラビットハウスのバータイムにお邪魔しちゃおっかな」

 

「よっ夜更かししちゃおっかな」

 

「お姉ちゃんは許しませんよー‼︎」

 

「「「「聞かれてる⁉︎」」」」

 

たまにココアが怖く感じる。

 

 

「大人……アニキって彼女いないの?」

 

「いねぇよ」

 

「じゃあ告白されたことはありますか?」

 

「……………あるよ」

 

「マジかよ超大人じゃん‼︎」

 

なかなかどうして鋭いっつうか……。

ここでその話にきたか。

 

「大人かはともかく、告白されてもいい事ばっかとは限らねぇぞ。告白断ったときの罪悪感とかかなりヤバイし」

 

「……すっごい大人ですねー」

 

「うちのアニキも見習って欲しいよ」

 

「若い頃を思い出すおじいちゃんの顔です」

 

おじいちゃんみたいな顔って……。まだ1時間前の事なのに。

 

「まあ誤魔化したりよりはいいんじゃね?」

 

「未練が残るのもあまりねー」

 

「ケイトさんの意思を言ったなら、それが正解だと思います」

 

「………そっか」

 

ちっちゃいとはいえ女の子だし、この手の話は男の俺よか聡いな。

今までより少しだけ、3人がおっきく見えるな〜。

 

 

「あっリゼがどっか行った!」

 

「ついていかなきゃ!」

 

「まっ待ってください!」

 

カルガモ親子のように後ろを歩く3人は、やっぱりまだちっちゃく見えた。

 

さて、1人は寂しいしついてくか。

 

 

 

 

「こういうのは楽しく食べればいいんだよ。マナーなんて互いが楽しむためのものなんだから」

 

「教官の教え、心にしみるよ……!」

 

何故チマメ隊は敬礼してんだよ。

ヒエラルキー俺が1番下なのか。

 

 

 

 

 

 

「あっ戻ってきた」

 

「席くっつけてもらったんだ」

 

5人で戻ると、高校組と中学+α組の席がくっつけられてた。

 

「初めからこうしてみんなで食べればよかったわね」

 

「まぁこれからみんなで楽しめばいいだろ」

 

 

 

 

「妹たちが遠い……」

 

「席くっついてるんだから凹むなよ」

 

厳正なくじ引きの結果チマメ隊が端っこで、ココアが反対側と妹たちから1番遠い席になった。

ちなみに俺はリゼの正面。

 

 

「そういえばケイト、何かいい事あったのか?」

 

「ん?そんな顔してたか?」

 

「なんていうか、胸のつかえが取れた顔だな」

 

「……まぁ、その通りだな」

 

「前は、向けそうか?」

 

「あぁ、ちゃんと歩ける」

 

たぶん、アレで正しかったんだと思う。俺の本気の意思だったし、嘘を言うわけにもいかない。

喜びも後悔も全部背負って、歩き続けるしかないんだよな。目を逸らし、歩くのを止めるのが、1番恐れるべき事なんだと思う。

 

 

だから、今は今を楽しもう。

 

 





もうすぐごちうさ5巻の発売……!
発売日に買わねば!

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