ご注文はリゼでしょうか?   作:シドー@カス虫

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この話だけはどうしてもやりたかった第3弾。

1弾はお泊り。
2弾はその次


36話 ケイトの気持ち

学校もバイトもない休日。

 

俺は当たり前だけど、姉さんと家にいた。

俺はダラダラTVを見てて、姉さんはウサギのアミを撫でてる。

 

 

「少年ってさ〜、リゼちゃんとどんな関係?」

 

 

「なんだよ藪からスティックに」

 

 

俺も姉さんも互いに顔を向けるどころか、TVもナデナデも止めずに会話を始める。

顔を合わせるまでもなく会話するのは、むしろ仲の良い証拠だ。

 

 

「リゼは大切な親友、そんだけだ」

 

 

「ふぅ〜〜〜〜ん」

 

納得のいかないって感じの反応だな。

マジで親友って名前の関係だし、一体どう答えろってんだよ。

 

 

「じゃあ〜〜、彼女はいないの?」

 

 

「いねぇよ。友達だって学校じゃリゼぐらいだし」

 

 

学校には特待生の男子は俺だけだし、クラスのみんなも俺とリゼには何故かアンタッチャブルだし。

『二人はワンセットでほっとくのがルールですし』なんて笑顔でO野さんに言われたし。意味わかんねえよイジメかよ。

 

 

「あー二人じゃそうなるよねー」

 

 

なんで納得すんだよ。うんうんって頷いてる姿が後ろ見なくても目に浮かぶよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……じゃあ、リゼちゃんと付き合っちゃえば?」

 

 

「ブフォッ⁈ ゲホッゲホッ‼︎」

 

 

いいいいきなり何言ってんだ姉さんは⁈思わずブフォッってなっただろ‼︎

俺が咳き込んでるのも御構い無しに姉さんは話を続ける。

 

 

「リゼちゃんスッゴイかわいいし、仲良いし、絶対学生時代に付き合わなかったこと後悔しちゃうでしょ!青春に戻りたいって思っちゃうでしょ!」

 

姉さんはまるで過去の自分を戒めるかってぐらい真剣だ。

ってか、このままじゃ姉さんが俺とリゼをくっつけそうだ。

 

 

 

 

 

 

「…リゼが俺と付き合うわけないだろ。

 

リゼのように軍人でもない、何か特別な事ができるわけでもない。

 

……ただそこにいることしかできない俺を、だれがすきになるってんだよ」

 

 

 

 

自分でも寂しいことを言ってるのはわかる。

 

でも、なんの取り柄もなく、友達の作り方もわからない俺じゃ、そこまで大切な人間になんてなれるとは思えない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……それが、なんだってのよ」

 

「…ハ?」

 

 

 

「なんであんたはそう自分を低く見るのよ!もっと自信を持ちなさいよ!

 

それに 人を好きになるのに理屈なんてないでしょ‼︎

 

 

大切な人間になるんじゃなくて

 

大切な人間であろうとしなさいな‼︎」

 

 

姉さんは 本当に強いな。

 

バカみたいに綺麗事言って、かといって現実を追い求めて…

他人のために自分の想いを本気で伝えて、曲げようがないぐらいまっすぐで…

 

すごく カッコイイ姉さんだよ。

 

俺には こんなカッコイイ人間にはなれない。

 

 

 

 

 

 

「それに、 少年はリゼちゃんのことをどう思ってんのかなぁ?」

 

 

 

「俺? 俺………は…………っ?」

 

 

あれ、 なんで……言葉に詰まるんだ?

 

 

わからない

 

 

……俺には 俺がわからない

 

 

 

俺は結局、最後の質問に対して、答えを出す事ができなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

昨日の話をリゼにできるわけもなく、一つだけリゼに質問をした。

 

『ただそこにいることしかできない俺が、何か出来ると思うか?』

 

 

正直、なんでこんなバカなこと聞いたのかって一瞬後悔した。

でも……

 

 

『ケイトは何度も私の目をまっすぐ見て、本気で向き合ってくれた。誰でもできるわけじゃないことを、お前は充分できてるじゃないか!

 

それに私は、ケイトがそばにいてくれて……

 

 

…その

 

 

 

 

……… スゴく嬉しいぞ (ボソッ) 』

 

 

 

 

…これは なんてことはない

 

勝手に落ち込んで 勝手に救われて…

 

バカな俺のバカみたいなお話だ。

 

 

 

 




もう少し経ったら『小説家になろう』で投稿始めます。

その時はツイッターにリンク貼るんで、気が向いたら読んでみてくださいm(_ _)m


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