今日も今日とてラビットハウスでバイト。
いつも通り仕事してたら、チノちゃんから見慣れない紙束を渡された。どうやらラビットハウスのチラシっぽい。
「ケイトさん、チラシ配りをお願いしてもらってもいいでしょうか?」
「ん?えぇよ」
断る理由もないし受け取る。
にしても分厚いな。ちょっとした辞書ぐらいある。
「ありがとうございます。少し多く作ってしまったので、リゼさんと協力して配ってください」
「別にえぇけど、2人抜けて大丈夫?」
「今日は比較的客も少ないので大丈夫です。それに2人で配るのはリゼさんの提案です」
あ そうなんだ。
まぁ人手は多いに越したことはないし。
「それじゃ早速行くぞケイト」
「へいへい。わーったからおいてくな」
俺をおいてきそうな勢いで店を出るリゼを追いかける。
あと半分持ってくれるとありがたい。
「それじゃ配るか」
「おk」
適当に人がいる場所で早速分かれてチラシを配る。
チラシ配りは初めてだけどなんとかなるだろう。
「喫茶店ラビットハウスをよろしくお願いしまーす」
「あらどうも♪」
「喫茶店ラビットハウスハウスをよろしく(以下略)」
「へぇ、可愛い名前ですね」
「喫茶店ラビット(以下略)」
「……ん」
「(以下略)」
「ありがとうおじちゃん!」
「まだ高校生だ」
色々な人にチラシを配って30分、3割ほどチラシを配ったがいかんせんやる気が出ない。同じことばっか言ってると機械みたいで性に合わない。
……リゼはどんぐらい配ったかな。ちょいと様子見するか。
「リゼ、チラシ配りは順調か?」
「あぁ、こっちは大丈夫だ。だいたい半分は配った」
「えっマジで?」
リゼの手元を見ると確かにチラシは半分ぐらい減っている。30分で半分って早すぎだろ…
「しゃべる暇があるならもっと配ってろ」
「待て待て、せっかくだし配ってるとこ参考にさせてくれ」
「かまわないが私で参考になるのか?」
「…………」
「おい、なんだその反応は」
「冗談冗談。なるから見せてくれ」
リゼのやり方を参考に見せてもらうと、フルールでバイトしてた時の笑顔や姿勢をしていた。
……なるほど、可愛いから俺よか受け取ってくれるのか。こりゃ参考にならねぇわ。
「フルール・ド・ラパンをよろしくお願いしまーす♪」
……無意識にフルールの宣伝になっちゃったかー。さすがに止めないと客が減りかねない。
「ついフルールの宣伝をしてしまうとは……不甲斐ない」
「気にすんな」
可愛いもの見れたからプラマイで言えばプラスだ。
「ど……どい……っ」
「ん?なんか聞き覚えある声」
「あっちからだ」
気になって2人で声の出どころに向かうと……
「どいてくださいお願いします‼︎」
…うさぎに土下座してるシャロがいた。通りがかりの人も変人を見る目で見ちゃってる。
「ほら」
「リリリリゼ先輩⁈ついでにケイト先輩も‼︎」
「オマケかよ」
しかもデジャブ。
まぁとりあえずリゼがうさぎを追い払ったので、シャロも正気に戻った。チラシの上にうさぎ乗っちゃってたんだね。
「店の制服で外にいるなんて珍しいですね」
「ココアが企画したパン祭りのチラシ配り担当に任命されたんだ」
「そうでしたか…………2人で(チラッ)」
何故俺を睨む。
「で、どうするリゼ。さすがに他店と一緒に配るのはアレだし」
「そうだな。私たちは別の場所にでも……」
「あら、桐間さんと先輩方だわ」
「面白い格好をなさっているわ」
チラシ配りを再開しようと思ったら、女の子2人がやってきた。たぶんシャロのクラスメイトだろう、うちん学校の制服だし。
「桐間さんも今度開くお茶会ご一緒しない?」
「ま、またいつか……」
シャロはやんわりと断る。バイトが忙しいからかな。
「先輩方もよろしかったら」
「俺?俺はいいよ。みんなに馴染めなさそうだし」
お嬢様じゃないし、女の子ですらないし。
「ま、誘ってくれてありがとね」
「いえいえ。天々座先輩もよろしかったら」
「それならクレープやケーキのレーションを持ってこう。サバゲーやりながら食べると楽しいな」
「サバゲ?」
ブレないなぁリゼ。お茶会でその考えに至る人なんて他にいないだろ。
「お嬢様ばかりの中、先輩のそういう所すごく安心します」
「?」
まぁ、ありのままの自分でいるのは大切だよな。レリゴーは無しで。
「あっちで配ってくる」
「いてらー」
「……なんでケイト先輩は残るんですか」
「なんとなく」
移動するのが面倒だし。
シャロに少し距離を置かれながらチラシを配ってると、なんだか見覚えのある人がシャロん所にきた。
いつかに会った小説家の青山さんだ。
「あの…このお店はいかがわしいお店なのでしょうか?」
「普通の健全な喫茶店です‼︎」
「なるほど……耳をつけた少女たちを拝みながらお茶をする…。こういった趣向もあるんですね」
「拝⁈」
微妙にズレた会話をしている。暇だし挨拶ぐらいするか(チラシ配れ)
「こんにちは青山さん」
「あらケイトさん。ケイトさんもチラシを配ってるのですか?
「この子とは違う店ですけど」
「近日伺いますのでお二人とも何卒よしなに」
「ちょっ太ももに向かって話さないでください‼︎挨拶する体勢じゃない‼︎」
何故かシャロの太ももを見ながら喋る青山さん。
どこまでもズレた感じがする人だった…
「先輩も太もも見ないでください!」
「いやいやついノリで『ガスッ‼︎』
頭を踏まれ、鼻血が出ちまった。
ちなみに残念ながらパンツは見えなかった。ちくせう。
朝納豆食って歯磨き忘れたのに
『とってもキレイですね♪』
なんて歯科検診で言われて心が痛い(7日の実話)
ケイト「みんなは歯を磨こう」
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