決してサボりではない
昼休み
「リゼ、飯食おうぜ」
「ケ、ケイト⁈」
あ、教室から逃げた。
みんなでお泊りから今日で3日。リゼに避けられてる気がする。
話しかけようとすると逃げるし、飯誘ってもどっかいっちゃう。
しかも……
『ラビットハウス』
「今日もリゼ来てないのか?」
「はい」
そう、ラビットハウスにも来てないのだ。
部活の助っ人で休むことはあったが、3日連続で休むのは初めてらしい(チノちゃん談)
「どうしたのかなぁリゼちゃん?」
「学校には普通に来てたんだけどなぁ」
なんか心配だな。
「そういえばケイトさんはリゼさんと同じ学校でしたね」
「あぁ。しかも同じクラス」
「では、明日リゼさんから事情を聞いてきてください」
「俺が?」
「はい。ケイトさんが適任かと」
俺が適任なのか?
まぁいいか。明日の放課後にでも聞こう。
…確かに悩み事があるとしたら、側にいてやった方がいいしな。
☆
次の日の放課後
「リゼ、時間あるか?」
何も言わず逃げだそうとするリゼ。だが手を掴んで逃がさない。
「待ってくれリゼ、ちょいと俺と付き合ってくれ」
「…付き合う⁈い、いきなりなんだケイト//」
とある公園のベンチ
俺とリゼは並んで座った
「……(こんなことだろうとは思ってた)」
「なんか言ったか?」
「なんでもない!」
何故怒る。
いや、そんなことよりも…
「リゼ、最近なんかあったのか?ラビットハウスにも来ないし」
「そ、それは……その…なんでもない」
リゼはそう言うが、視線が泳いでいて明らかに嘘を言ってる。やっぱり悩み事があるらしい。
「……リゼ!」
俺は鼻と鼻がくっつきそうなぐらい顔を近づけ、リゼと目を合わせる。
「な、何をしてるんだ//」
「何かあるなら素直に話してほしい。俺は話を聞くし手伝えることがあるなら手伝う」
お節介と言うならそれでもいい。
「俺はリゼのことを真っ直ぐ見る。だから、側にいる俺のことも見てほしい」
これが俺の愚直なまでの本心だ。
「か、顔が近い//」
「……ワリィ//」
ガラにもなく熱くなっちまった。お泊りのときぶりだ(4日前)。
「と、とにかくまずは相談してくれ。頼りないかもだけど少しは力になるぞ」
「……わかった」
☆
「私たちと同じ学校の…お、お前が知らない奴だ!お前とは全く関係ないある奴なんだが…」
ふんふん
「名前は言いたくない!けど、まだ少ししか過ごしてないのに、なんていうか、こう胸の奥が……言葉にするのが難しいけど、苦しくて、でも悪くない気分で…」
……ん?
「そいつといると恥ずかしくて、でも温かいんだ。最近はできるだけ恥ずかしさを誤魔化そうとすぐ家に帰ってたんだが…」
………
「自分の気持ちが、よくわからないんだ!」
……oh
俺は先程の言葉を後悔している。いやあれは嘘偽りないガチの本心だ。
でも、これは流石に想定外だ。軽率だった。正直に答えるべきか…
いや、リゼは今悩んでいるんだ。言わなきゃたぶんもっと後悔する。
「リゼ、たぶんそれは……
恋だ。
しかも様子的に初恋だ」
「はっ⁈こ、恋⁈」
リゼは思わず声を裏返らせて、顔が真っ赤になった。
「え、えと…その……私は…」
「それともそいつのことは嫌いか?」
「き、嫌いじゃないぞ‼︎」
「だろ」
「自分の気持ちには正直でいいんだ。誰かを好きになる、いいことじゃねぇか」
「……私は、好きになってもいいのか?私は全然可愛くないし、ココアのようにふわふわでも、チノのようにクールでもない。千夜のようにお淑やかでもなければ、シャロのように気品もない。こんな私が……」
「……プ、アッハッハッハッハ!」
「何故笑う⁈」
「ワリィ。でも、リゼはもっと自信を持て。相手が迷惑だとか思うわけねぇよ。リゼにはリゼの魅力があるし、文句なしに可愛いからな」
「私が、可愛い…//」
「あぁ、可愛いよ。だからその気持ちを大切にしな。じゃないときっと後悔するぞ」
「…ありがとな、ケイト」
「礼にはおよばねぇよ」
「…私は、この気持ちを大切にするよ。まだ恥ずかしくて無理だけど、いつか必ず伝えるよ」
「まぁ、焦らずじっくりとな」
「…じゃあなケイト、また明日」
「じゃあな。明日はラビットハウス来いよ」
「……いつか、必ず伝えるからな。私の言葉で」
人は皆、他人の気持ちを完全には理解できない
だから精一杯の想いを乗せて、言葉を紡がなくちゃいけない
後悔しないために……
ケイト「詩人か」
シドー「なってはみたい」