ご注文はリゼでしょうか?   作:シドー@カス虫

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今回は俺にとって1つの節目




14話 リゼへの不器用な優しさ

結局体を洗うだけで出て、チノちゃんの部屋に集まった。

ちなみにみんなはチノちゃんのパジャマ。俺はタカヒロさんが昔使ってたジャージを借りた。

 

「なんか一気に賑やかになったね♪」

 

「こんな機会だからみんなの心に秘めてる事を聞きたいんだけどー」

 

心に秘めてる……好きな人の暴露大会でもやるのかな。俺恋したことないしどうしよ。

 

「とびっきりの怪談を教えて♪」

 

千夜、恋をしたような瞳で言うな。

まぁ暴露大会よかマシか。

 

「怪談ならうちの店にもありますよ」

 

「「そうだったのか⁈」」

 

知らんかった。明日から働けなくなったらどうしよ。

 

「リゼさんとココアさんとケイトさんはここで働いていますけど、落ち着いて聞いてください」

 

結構マジメな顔をしてる。

ヤバイなんか緊張してきた。

 

「この喫茶店は夜になると……」

 

「なると……」

 

「店内を白い物体がふわふわとさまようんです!」

 

「「「………」」」

 

白い物体。それって……

 

(ティッピーだよなリゼ?)

 

(たぶん)

 

(……一生懸命怖がらせようとしてるけど)

 

(夢を壊せないな)

 

まだ幼気な女の子の可愛らしい勘違いのようだ。

 

「では次はリゼさんの番です」

 

「もう終わり!?じゃ、じゃあ小さい頃うちの使用人から聞いた話なんだけど」

 

「使用人!?」

 

リゼの家について追求したいが話は続く。

 

「仕事を終えて帰ろうとすると……ゆっくりと茂みの中から何かが地面を這って近づいてきたんだ。使用人はあまりの恐怖に逃げ出した…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「犯人はホフク前進の練習をしていた私だ」

 

「バラしちゃだめじゃん!!」

 

ま、まぁ盛り上がったし結果オーライかな。

 

「次は私ね。とっておきの話があるの。切り裂きラビットっていう実話なんだけど……」

 

千夜が話し始めるとタイミング良く雷が鳴った。しかも部屋が暗くなり更に雰囲気が出てきた。

 

「わ!?」

 

「て、停電!?」

 

「バーの方大丈夫かな!?」

 

「みんな落ち着け」

 

「そうです、落ち着いてください。こんな時のために……」

 

するとチノちゃんはロウソクを取り出して火を点けた。

 

「盛り上がってきちゃった……♡」

 

千夜のテンションが更に上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日はもう寝ましょう」

 

「ぜ……絶対取り憑かれる……」

 

「南無阿弥陀南無阿弥陀南無阿弥陀……」

 

凄く怖い怪談も終わりみんな寝る準備を始める。

 

「じゃあ皆さんごゆっくり…」

 

と言って別の部屋に行こうとするが

 

「ケイトさんもここで寝るんですよ?」

 

おっとこれは予想外

 

「……いやダメだろ」

 

5:1の部屋で寝るとか危ないだろ。

 

「みんなだってダメだよな?」

 

「何がダメなの?」

 

「わ、私は構わないが……」

 

「私も別にいいわよ」

 

「どうせ先輩に度胸なんてないでしょうし」

 

まさかのOKもらいました。まぁ度胸はないけどさぁ。

 

あれ、なんで俺から一緒に寝たいって言ったぽくなってんだ?まぁいいやどうでも。

 

「えへへーみんなといると楽しいね!そわそわして寝れるかなー」

 

俺の場合は理性との戦いで寝れるか不安だがな。

 

「早く寝ないと明日起きれませんよ」

 

「んじゃ、おやすみ」

 

 

 

 

 

 

 

 

30分後

 

(((……あれ?もしかして私だけ寝れてない!?)))

 

と、思ったリゼ、シャロ、チノちゃんだった。

 

俺?5分で寝れました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真夜中

 

「……トイレトイレ」

 

俺は目を覚ましてトイレに向かってる。

真夜中なんで真っ暗だ。

 

「怖いな。マジで幽霊出てこないよな……」

 

なんてぼやいてると…

 

「ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ‼︎じゃなくてリゼ⁈おま何してんだよ⁈」

 

そこには幽霊、じゃなくてリゼがいた。体育座りで震えてる。

 

「ロ…ロウソクの火が消えて動けなくなった……わけじゃないぞ」

 

強がんなよ。

 

 

 

3分後 トイレからでて

 

「……怖い」

 

「立たなきゃ朝まで怖いぞ」

 

リゼがなかなか動かない。待つ義理もないが、震えてるのを見過ごすのはなんかヤダ。

 

「……ライターはないのか?」

 

「あいにくリゼが使って切れた」

 

使えたら俺も点けて来てるわ。

 

「……ヤダ。怖い。先に行ってていい……」

 

このままじゃ日が暮れる。じゃなくて日が昇る。どうすれば……

 

よし

 

 

 

 

 

ギュッ

 

俺はリゼを軽めにギュッとした。

 

「な// 何をしてるんだケイト⁈」

 

そのままの体勢で言葉を紡ぐ。

 

「別に1人で膝抱えてなくてもいいぜ、リゼ。怖いなら側にいてやるから。だから、もう少し俺に素直に甘えたって構わないんだぞ」

 

もう日が昇ったって構わない。置いてくぐらいなら側にいることにする。それが俺の選択だ。

 

「ケイト……//」

 

不器用な言葉だけど、少しは安心できたかな。

 

「……一緒に、戻ってほしい//」

 

リゼの方から軽くギュッとしてきた。てか戻るのか。

 

「…了解」

 

……なんか色々考えた俺がバカみたいだな。

 

 

 

 

 

 

 

「ふわぁ〜。……朝か」

 

起きた。途中起きたのに何故か1番みたいだ。

…あれ?動けない。

夜中のことを思い出しながら横を見ると……

 

「……ん、ケイ…ト♡」

 

……リゼが幸せそうな顔で寝てた。ギュッてしてて胸が当たってる。

確かあの後、まだ怖いから一緒に寝たいって言ってきて、眠いから二つ返事でOKして……。

 

 

まぁいいか。リゼも安心できてるみたいだし。

じゃあ動けないし二度寝するか。

 

 

 

 

 

 

 

 

少しあと、起きたリゼが恥ずかしがり俺を殴り三度寝したのは秘密だ。





ケイト「次回は俺のプロフィールです」

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