結局体を洗うだけで出て、チノちゃんの部屋に集まった。
ちなみにみんなはチノちゃんのパジャマ。俺はタカヒロさんが昔使ってたジャージを借りた。
「なんか一気に賑やかになったね♪」
「こんな機会だからみんなの心に秘めてる事を聞きたいんだけどー」
心に秘めてる……好きな人の暴露大会でもやるのかな。俺恋したことないしどうしよ。
「とびっきりの怪談を教えて♪」
千夜、恋をしたような瞳で言うな。
まぁ暴露大会よかマシか。
「怪談ならうちの店にもありますよ」
「「そうだったのか⁈」」
知らんかった。明日から働けなくなったらどうしよ。
「リゼさんとココアさんとケイトさんはここで働いていますけど、落ち着いて聞いてください」
結構マジメな顔をしてる。
ヤバイなんか緊張してきた。
「この喫茶店は夜になると……」
「なると……」
「店内を白い物体がふわふわとさまようんです!」
「「「………」」」
白い物体。それって……
(ティッピーだよなリゼ?)
(たぶん)
(……一生懸命怖がらせようとしてるけど)
(夢を壊せないな)
まだ幼気な女の子の可愛らしい勘違いのようだ。
「では次はリゼさんの番です」
「もう終わり!?じゃ、じゃあ小さい頃うちの使用人から聞いた話なんだけど」
「使用人!?」
リゼの家について追求したいが話は続く。
「仕事を終えて帰ろうとすると……ゆっくりと茂みの中から何かが地面を這って近づいてきたんだ。使用人はあまりの恐怖に逃げ出した…」
「犯人はホフク前進の練習をしていた私だ」
「バラしちゃだめじゃん!!」
ま、まぁ盛り上がったし結果オーライかな。
「次は私ね。とっておきの話があるの。切り裂きラビットっていう実話なんだけど……」
千夜が話し始めるとタイミング良く雷が鳴った。しかも部屋が暗くなり更に雰囲気が出てきた。
「わ!?」
「て、停電!?」
「バーの方大丈夫かな!?」
「みんな落ち着け」
「そうです、落ち着いてください。こんな時のために……」
するとチノちゃんはロウソクを取り出して火を点けた。
「盛り上がってきちゃった……♡」
千夜のテンションが更に上がった。
「今日はもう寝ましょう」
「ぜ……絶対取り憑かれる……」
「南無阿弥陀南無阿弥陀南無阿弥陀……」
凄く怖い怪談も終わりみんな寝る準備を始める。
「じゃあ皆さんごゆっくり…」
と言って別の部屋に行こうとするが
「ケイトさんもここで寝るんですよ?」
おっとこれは予想外
「……いやダメだろ」
5:1の部屋で寝るとか危ないだろ。
「みんなだってダメだよな?」
「何がダメなの?」
「わ、私は構わないが……」
「私も別にいいわよ」
「どうせ先輩に度胸なんてないでしょうし」
まさかのOKもらいました。まぁ度胸はないけどさぁ。
あれ、なんで俺から一緒に寝たいって言ったぽくなってんだ?まぁいいやどうでも。
「えへへーみんなといると楽しいね!そわそわして寝れるかなー」
俺の場合は理性との戦いで寝れるか不安だがな。
「早く寝ないと明日起きれませんよ」
「んじゃ、おやすみ」
30分後
(((……あれ?もしかして私だけ寝れてない!?)))
と、思ったリゼ、シャロ、チノちゃんだった。
俺?5分で寝れました。
☆
真夜中
「……トイレトイレ」
俺は目を覚ましてトイレに向かってる。
真夜中なんで真っ暗だ。
「怖いな。マジで幽霊出てこないよな……」
なんてぼやいてると…
「ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ‼︎じゃなくてリゼ⁈おま何してんだよ⁈」
そこには幽霊、じゃなくてリゼがいた。体育座りで震えてる。
「ロ…ロウソクの火が消えて動けなくなった……わけじゃないぞ」
強がんなよ。
3分後 トイレからでて
「……怖い」
「立たなきゃ朝まで怖いぞ」
リゼがなかなか動かない。待つ義理もないが、震えてるのを見過ごすのはなんかヤダ。
「……ライターはないのか?」
「あいにくリゼが使って切れた」
使えたら俺も点けて来てるわ。
「……ヤダ。怖い。先に行ってていい……」
このままじゃ日が暮れる。じゃなくて日が昇る。どうすれば……
よし
ギュッ
俺はリゼを軽めにギュッとした。
「な// 何をしてるんだケイト⁈」
そのままの体勢で言葉を紡ぐ。
「別に1人で膝抱えてなくてもいいぜ、リゼ。怖いなら側にいてやるから。だから、もう少し俺に素直に甘えたって構わないんだぞ」
もう日が昇ったって構わない。置いてくぐらいなら側にいることにする。それが俺の選択だ。
「ケイト……//」
不器用な言葉だけど、少しは安心できたかな。
「……一緒に、戻ってほしい//」
リゼの方から軽くギュッとしてきた。てか戻るのか。
「…了解」
……なんか色々考えた俺がバカみたいだな。
「ふわぁ〜。……朝か」
起きた。途中起きたのに何故か1番みたいだ。
…あれ?動けない。
夜中のことを思い出しながら横を見ると……
「……ん、ケイ…ト♡」
……リゼが幸せそうな顔で寝てた。ギュッてしてて胸が当たってる。
確かあの後、まだ怖いから一緒に寝たいって言ってきて、眠いから二つ返事でOKして……。
まぁいいか。リゼも安心できてるみたいだし。
じゃあ動けないし二度寝するか。
少しあと、起きたリゼが恥ずかしがり俺を殴り三度寝したのは秘密だ。
ケイト「次回は俺のプロフィールです」