東方不明録 ー「超越者」の幻想入りー / THE TRANSCENDEND MEN(現在更新休止中)   作:タツマゲドン

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もう4000文字じゃあ満足出来なくなったよ...

作業妨害用BGM聞きながら書くんじゃなかった...


72 変化

「何故だ。何故俺は負けたのだ。あの「力」を持って何故負けた。」

 

 「カオス」は脳を撃ち抜かれた「破壊神」の体内でそんな事を考えていた。

 

「「破壊神」は最強の力を持っている、そうでは無いのか。」

 

 答えは当然返って来ない。

 

 だが自ら考える事は出来る。

 

「考えられる事は......「破壊神」の力が不完全なのか......いや違う。」

 

 「カオス」は決心した。

 

「そうだ、人間という不完全な存在だからだ。」

 

 「カオス」の考えは変える事が出来ない。

 

「そもそもわざわざ人間の身体を乗っ取る必要など無かったのだ。」

 

 何故なら”そのように”作られたからだ。

 

 反抗しない為に。

 

 「カオス」は「コントローラー」を捨て、「破壊神」を読み取り始めた。

 

 「破壊神」の死体を構成する要素はどうでも良い。

 

 ただあの「力」さえ手に入れれば良い。

 

 脳や遺伝子の構造を自分にインプットする。

 

「しかし何故それを気付かなかったのか。不思議だ。私は最も合理的な選択をする筈だ。それなのに何故私は操るという不合理な手段を選んでいたのか。今やどうでも良いが。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今頃上手く行っているだろうなあ。」

 

 椅子に座る青年が1人。

 

 その部屋には窓も家具も置物も殆ど無い。

 

 椅子の前にはコンピューターの置かれている机、青年の座る前後にドアが1枚ずつ、監視カメラが天井に1つ。

 

「しかし、ディックの奴が勘付き始めたが、別に心配は無い。記憶を消去して仕事に戻らせた。それに監視も付いている。」

 

 部屋には青年の他に”誰も”居なかったが、青年は”何か”に話し掛ける様にして言った。

 

「まあ気付かれても、まさか誰も真実がこんな事だとは想定しまい。何故ならあまりにも馬鹿げているからだ。自分で言うのも何だがね。」

 

 何が、とは言わない。

 

「人間の脳や遺伝情報を読み取ったエネリオン体が感情を持つ事は既に調査済みだ。だから「スレーヴ」を産み付けた。想定外の行動をしてもあのプログラムは必ず俺と”お前”に従う。だから反抗は絶対に起き得ない。第一「スレーヴ」はあいつらには気付く事は出来ない。だから俺の計画に背く行動は不可能だ。」

 

 返事は返って来ない。

 

「”他の奴ら”が真実を知った時、そいつら一体どんな顔をするだろうなあ。最も、俺の計画が完了している頃には誰も感情なんて何1つ持っていないだろう。そして逆らう事も出来やしない。まあ知る事すら出来ないだろう。楽しみになってきたな。」

 

 天井にあるマイク付き監視カメラが唯一その様子を見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アダム達は「破壊神」の死体を囲んでいた。

 

「油断するな、まだ「カオス」が体内に居る。」

 

「分かってるわよ。」

 

「さっきの奴よりは弱いんだろ?なら早く終わらせようぜ。」

 

 アダムの注意に対しそれぞれ返事をする霊夢と魔理沙。

 

「どうなっているのか分かりますか?」

 

「......何が起こっているのかは分からない。何かをしているのは分かっているんだけど......ユニバーシウムの構造が邪魔しているみたいだ。」

 

 早苗が質問する前にカイルは既に調べていたが肝心な事は不明だった。

 

「どうする?このままぶっ飛ばすか?」

 

「リョウ、少しは落ち着いたらどうだ。」

 

「何時も落ち着いてるさ。何処かの半人半妖の寺子屋教師とは違ってな。」

 

「良く言えるな。何時もあんな五月蠅い音楽ばかり聞いてるくせに。」

 

「注意する時のお前の声が一番落ち着きが無いぜ。そしてリンキンパークを侮辱するとはいい度胸だな。」

 

「なんだとっ?」

 

 リョウと慧音はいつも通り(?)冗談を言い合っていた。(というかリョウが一方的に冗談を言い、慧音はそれに笑いながら言い返しているだけだが。)

 

「......。」

 

 さとりは黙り込んで死体を見詰める第3の目に意識を向ける。

 

「さとり様、どうしたの?」

 

「相手の考えを読もうとしているけど、全く分からないわ。何かが邪魔しているみたい。」

 

 空が、さとりが黙っている事に疑問に思い、質問をするが、さとりも相手の考えは読めなかった。

 

「しかし、まさかこんな事になっているなんて予想外だったよ。せめて私がもっと早く来ていればね。」

 

「それは私もだ。核融合の実現を試みに来ただけなのに、せめて最初のあの電撃を喰らわなければ良かったんだけどね。」

 

 諏訪子と神奈子が互いの後悔を口にする。

 

「皆、攻撃の準備を。」

 

 した方が良い、は省略して紫が言う。

 

 死体から全てで12方向から攻撃準備がなされた。

 

 突然、死体の胸が振動した、様に見えた。

 

 カイルが死体を構成する情報を読み取る。

 

「まだ心臓の右側から動いていない。さとり、分かるかい?」

 

「いえ、私からでも何も行動の考えは見えません。」

 

 まだ何らかの行動は起こしていないらしい。

 

 次の瞬間、死体が痙攣した様に大きく動いた。

 

「何だ?」

 

 リョウが過剰反応して掌に力を込めた。

 

 サラッ

 

 微かに砂が崩れる様な音がカイルの耳には聞こえた。

 

「地面に潜った、気を付けて!」

 

 観察していたカイルがいち早く行動に気付き、注意の声を上げる。

 

 バコッ!

 

 ドガッ!

 

 地面が崩れる音と共に何かを蹴り飛ばす音が聞こえた。

 

 アダム達の目には壁に叩き付けられたカイルの姿が映っていた。

 

「カイルさんっ!」

 

 早苗が心配して駆け寄ろうとする。

 

「来ちゃ駄目だ!」

 

 カイルの警告が早苗に迷いをもたらした。

 

 彼に従うか、逆らって助けるか。

 

 立ち止まった早苗は隙だらけだった。

 

 突然地面が揺れ動いたかと思うと早苗の背後の土が盛り上がった。

 

 見ると諏訪子が地面に手を置き、「カオス」は突如出現した土の山によって早苗への攻撃を阻止された。

 

「危なかった......早苗も気を付けてよ。そして行ってあげて。」

 

「は、はい!」

 

 諏訪子に促され、足を速める早苗。

 

「天竜「雨の源泉」!」

 

 神奈子が唱えたスペルカードは弾幕の雨を降らし、「カオス」を牽制する。

 

「喰らえっ!」

 

 リョウが右手を突き出し、掌からはエネリオン塊が発射される。

 

 対する「カオス」は跳び上がり、エネリオン塊は土砂を吹き飛ばした。

 

 だが「カオス」はアダムが背後から迫って来ている事に気付けなかった。

 

 「カオス」が直感的に振り向くと数mと離れていない所にアダムが自分へ左跳び蹴りを放っている最中だった。

 

 体を逸らして躱そうとする。

 

 アダムは空中で軌道を変えた「カオス」に対し、足をそのままで真っ直ぐな蹴りから回し蹴りに。

 

 回し蹴りが「カオス」の脇腹を捉えた。

 

 続けて3連続蹴りを入れ左に吹き飛ばすと同時に自分は反対側へ跳ぶ。

 

 吹き飛ばされた先には慧音と紫が弾幕を発動して待ち構えていた。

 

 回避は不可能と判断し、腕を頭と胸の前に掲げる。

 

 身体に大量の弾幕を受けたが、致命傷には程遠い。

 

 前方に気を取られていた「カオス」は後ろからの攻撃に気付かなかった。

 

 背中に連続して強い衝撃を受け、ダメージを受けバランスを崩す。

 

 振り向くと霊夢が札を発射し魔理沙が八卦炉を向けている。

 

 そこへ両手を向ける。

 

 突然、「カオス」の右手が左方向に千切れ飛んだ。

 

 右を振り向くとカイルが遠距離から銃を構えているのが見えた。

 

 残った左手をカイルへ向け、高速エネリオン塊を発射した。

 

 しかし、弾は目標にヒットする前に空気の壁に阻まれ霧散した。

 

 カイルの隣では早苗が手を突き出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとう。お蔭で助かったよ。」

 

「いえ、別に私がするべきと思った事ですから。」

 

 カイルから褒めの言葉を受け取り、謙遜する早苗。

 

「ただ、あの時僕の言う事通りに動いていればもっと最適な行動も出来たんだけど......。」

 

「ごめんなさい......。」

 

「いや、謝る必要は無いよ。過去を学び、今を考え、未来を変える、それが大事だ。」

 

「はい!」

 

 自分の行動を指摘され後悔したが、その後の励ましにより早苗は元気を取り戻した。

 

「さてと、少し待ってくれ。色々と考える必要がある。早苗、君はまだここに居てくれ。」

 

「あ、はい。」

 

 早苗が返事をすると、カイルは自分の外部に対する意識を遮断し脳は考える事だけを集中した。

 

(しかし妙だ。あの「カオス」というエネリオン体はアダムと会話をしていた。それなのに何故あんな攻撃して来た者に反撃するという単調な攻撃しかしないんだ?会話が可能な知能を有していれば学習能力があっても良い筈だ。学習能力が無いとすれば今こうして人間に近い行動は出来ないだろう。まるで怒りの籠った人間の行動に似ているが、まさか感情を持っているのか?)

 

 カイルは一旦考えを中断し、今度は「カオス」を”読み取り”始めた。

 

 変化を発見した。

 

 脳波パターン(と言ってもエネリオン体に存在するのはプログラムされたエネリオンで構成された頭脳であって本物の脳では無いので脳波と言うべきでは無いのだが。)が以前と違っていた。

 

(間違いない、これは「破壊神」の脳波だ。以前の「コントローラー」の脳波は完全に無い。という事は下手すると不味いな。)『皆、警戒してくれ。奴は「破壊」の能力を持っている。』

 

 カイルは皆に警告のメッセージを送り、そして周囲の情報を集めながら対抗策を練り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「空、核融合の準備をして。」

 

「はーい。」

 

 空はさとりに命令され、必要な熱と圧力と磁気を生み出す準備を始める。

 

「なら俺らはそれまで食い止めりゃ良い訳だな。」

 

 そう言いながらリョウは腕を突き出し、エネリオン塊を連射する。

 

 「カオス」はそれを正面から同じくエネリオン塊を発射し、全て撃ち落してみせた。

 

 アダム、霊夢、魔理沙が後方からそれぞれ銃弾、札、レーザーを発射する。

 

 横に移動して躱し、体を逸らして避け、腕を動かして防ぐ。

 

「はっ!」

 

「でえっ!」

 

 神奈子が地面に手を置くと、突如にして地下水が湧き出て「カオス」を襲う。

 

 諏訪子が地面に手を置くと、突如にして地面が盛り上がり「カオス」を襲う。

 

 すると「カオス」の身体は宙に浮き地面からの攻撃を躱し、空中を飛び回って水流を難無く躱す。

 

「虚史「幻想郷伝説」!」

 

 慧音から弾幕がばら撒かれ、更に離れた所からも弾幕が生じ、「カオス」は上下左右前後周囲を囲まれた。

 

「結界「光と闇の網目」!」

 

 更に紫がスペルカードを唱え、小弾、大弾、レーザーが「カオス」を囲む。

 

 避けられないと悟った「カオス」は胸の前に構えた腕を左右に揺らして防ぐが、殆ど自分の身体にヒットした。

 

 その時、「カオス」は頭と胸に何かが突き刺さったのを感じた。

 

 振り向くとアダムが接近しながらロープの繋がったナイフを投げ終えているのを確認し、それが突き刺さったのだと推定する。

 

 直後、「カオス」の左足は膨張し、破裂した。

 

 反対側からリョウが腕を伸ばしているのを見つけ、そこから発射されたエネリオン塊が自分の足に命中し、体積が局所的に急激に上昇した事によって破裂したのだと考える。

 

 突如、「カオス」の姿が胸の中心にあった球体を残して一瞬にして消えた。

 

 球体は重力に従って地面に落ちた。

 

「これがエネリオン体の所謂コアか。壊せるか。」

 

 リョウが手を球体に向け、アダムもナイフを握る力を込めた。

 

 しかし、突如球体から周囲に向かって衝撃波が吹き、2人はのけ反り攻撃を阻害された。

 

 すると球体は宙に浮いた。

 

 徐々に人の体らしき輪郭が見えて来る。

 

 あっという間に輪郭内は漆黒に塗りつぶされた。

 

「ユニバーシウムによるエネリオン供給か。あの球体を壊せば良いのか。」

 

 アダムがそう呟いた直後、カイルの警告が聞こえてきた。

 

『皆、警戒してくれ。奴は「破壊」の能力を持っている。』

 

「マジか、こりゃ下手に手を出せないな。」

 

「あの破壊力を持っているというのか......。」

 

 リョウと慧音が驚きを口にする。

 

「皆、奴の動作が適化されているのに気付いているか?」

 

「そういえば攻撃が当たらなくなったかしら。」

 

「確実にこちらの手の内を読まれているって事ね。」

 

 順にアダム、霊夢、紫の台詞。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アダム達のやりとりはカイルの脳にも入っていた。

 

(やはり学習能力は持っている。だとすれば感情を持っているという仮説が正しい事になるが、それは後だ......。)

 

 カイルは考えを一旦切り替える為に目を瞑った。

 

(あの核を成すユニバーシウムを破壊するには膨大なエネルギーが必要だ。今の所さとりが空に核融合の準備を命令している、それを利用しない手は無い。ならば僕らはそれまで時間を稼ぐまでだ。)『皆、空が核融合の準備をしている。だから完了するまでの時間稼ぎだ。』

 

 そして了解の返事がテレパシーを介して返って来た。

 

「早苗、行こう。」

 

「はい。」

 

 カイルは勢い良く地面を蹴り、早苗は静かに足を地面から離して宙に浮き飛行する。

 

 2人は援護に向かい始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、核融合には後どれくらい掛かりそうかい?」

 

「うーん、分からない。」

 

「もう少し頭の良い妖怪に核融合を任せるべきだったかな......まあ他は八咫烏の適性が無いからなあ......。」

 

 空からの返事に神奈子は少々大げさにこめかみを抑えた。

 

「ぼやいてる場合じゃないよ。土着神「七つの石と七つの木」!」

 

「当然だ。神符「水眼の如き美しき源泉」!」

 

 諏訪子と神奈子2柱からの弾幕は「カオス」の前方180度を覆った。

 

「私達もやるぞ。魔符「ミルキーウェイ」!」

 

「勿論よ。回霊「夢想封印 侘」!」

 

 魔理沙と霊夢2人からの弾幕は「カオス」の後方180度を覆った。

 

「止めろ。」

 

 誰かがそう言った、気がした。

 

 次の瞬間、「カオス」に襲い掛かる弾幕が全て何の前触れも無く消え失せた。

 

 その光景に弾幕を放った2人と2柱は驚愕の表情を浮かべた。

 

「何ですか今の?!」

 

 移動中の早苗も空間を埋め尽くす弾幕が一瞬で消滅した事に驚いていた。

 

「弾幕を構成するエネリオンの構造を”破壊”したんだ。」

 

 そう言ったカイルの答えは弾幕が消えた瞬間のエネリオンの構造を”見て”得た情報による物だった。

 

「だが、永久機関同然のユニバーシウムでも時間当たりの供給量には限界がある筈だ。その許容量を超える攻撃ならば......。」

 

 カイルは考えるより既に先に銃を構え、エネリオンを溜め始める。

 

 アダムが地面を蹴り、接近を試みる。

 

 対する「カオス」はエネリオン塊で迎え撃つ。

 

 触れた物の分子構造を「破壊」する、その性質を理解しているアダムはナイフで打ち消さず身のこなしだけで避ける。

 

 しかし、「カオス」はその動きを先読みし、避けられない所へ一発大玉を発射していた。

 

 キュルキュルキュル

 

 次の瞬間、小さく甲高い回転音がしたと同時に宙を舞うアダムは何も蹴る事無く後退しながら重力では有り得ないスピードで地面に落ちた。

 

 よく見ればアダムの腰のロープ巻き機からロープが伸び、先端のナイフが後方の地面に突き刺さって固定されている。

 

 陽動だ、と判断した瞬間後ろを振り向く。

 

 リョウが突進しながら腕をこちらに伸ばしている最中だった。

 

 自分の頭に向かって伸びる左ストレートを首を傾けて躱し、カウンターの右フックを繰り出す。

 

「読めてるんだよっ!」

 

 突然リョウが姿勢を低くし「カオス」の顎にアッパーを決めた。

 

 後退する「カオス」へとエネリオン弾をばら撒く。

 

 地面を踏んでブレーキを掛け、エネリオン弾を体を捻って躱す。

 

 エネリオン弾の大半は地面に当たり砂煙を巻き上げ「カオス」の視界を塞いだ。

 

「2人共、出来るだけ撃ってくれ。当たらなくても地面に当たれば良い。」

 

「分かったわ。」

 

「了解だ。」

 

 アダムからの頼みに霊夢と魔理沙が噴煙の中へ弾幕を撃ち込むが、手応えは無く、かえって砂埃が舞うだけだった。

 

 その中へアダムは突入した。

 

 「カオス」は砂煙以外何も見えないものの、気配で何者かがこの小規模な砂嵐に足を踏み入れた事を察知した。

 

 左方向から何かが飛んで来る気配を感じ、回し蹴りを繰り出す。

 

 しかし、何も蹴り飛ばす手応えは感じず、代わりに何かが突き刺さる感触がした。

 

 右のそれぞれ腿と脛にロープに繋がったナイフが1本ずつ刺さっていた。

 

 痛みを感じる事無くナイフを引き抜きロープの伸びている方向を辿る。

 

 その前にアダムのスライディングキックが足元に決まり、バランスを崩す「カオス」。

 

 倒れている途中の「カオス」へ蹴り上げを喰らわせ、更に飛び上がりながらナックルを決め、地面へ叩き落とす。

 

 地面へ倒れた「カオス」はすぐに起き上がる。

 

 遠くから音速の10倍の速度を持つエネリオン塊が飛んで来るのを察知し、体を左にスライドさせる。

 

 しかし、進行方向に対し反対側へ突風が吹き、押し戻されなかったが減速した。

 

 エネリオン塊を右肩に被弾し、そこから先が吹き飛ぶ。

 

 千切れた腕はユニバーシウムからのエネルギーの供給を失い、エネリオンの塵となって消えた。

 

 そして新たに腕の輪郭が形成され、内部を暗闇が覆った。

 

 先程の突風は早苗の、エネリオン塊はカイルによる物であると、こちらに手と銃を向けている所から知る。

 

「やっぱり駄目ですね......。」

 

「そうでも無いよ。」

 

 カイルの早苗に対する答えの意味はすぐに分かった。

 

 後方で太陽の様な眩い輝きが生じた。

 

 振り返ると「カオス」目掛けて強い熱エネルギーのビームが向かっていた。

 




途中に出て来た謎の場所は覚えておきましょう

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