東方不明録 ー「超越者」の幻想入りー / THE TRANSCENDEND MEN(現在更新休止中) 作:タツマゲドン
しかし内容はSF要素が強くなってる模様
カイルは光や音を遮られても、エネリオンやインフォーミオンの構造情報を知る事が出来る為、空間内の物質の情報を知る事が出来る。
また、エネリオンはその他エネルギーを構成する素粒子の為、カイルは空間の温度分布も知る事が出来る。
その為、少し離れた所で戦っていた2人の内1人の構造情報が熱によって爆散した事を知った。
(トレバーが消えた?トレバーの防御力を遥かに上回るエネルギーはどうやって......周囲の空気の熱が低いな......。)
『レーザーが来ます!地下からも間欠泉が湧き出るみたいです!』
カイルの思考はさとりの警告によって中断された。
伸びるレーザーの軌道に沿って体を捻り、湧き上がる間欠泉に対し体を横にスライドさせる。
(......レックスやサムに伝わるテレパシーが暗号化されている……そうか分かった、あの男が「コントローラー」か!強力な情報処理能力とエネリオン量を持ち他人を操るという能力を持つ。しかし何故「コントローラー」をこの世界に送り込んだのか......まさかあの隣の男が目的か?だが今は集中しなきゃ。)
カイルが銃を向けた先は「コントローラー」である男、引き金を引き連射する。
しかし、銃弾は水の壁に阻まれ消滅した。
すると勇儀が前に大きく跳躍したかと思うと、水の壁を拳で突き破り、「コントローラー」へと殴り掛かる。
『勇儀さん、レーザーが来ます!』
それに向かってサムが右手を向け、そのサムへ早苗と慧音が弾幕を放つ。
勇儀はさとりから受けた警告によって咄嗟に飛び退き、サムは早苗と慧音からの弾幕を避ける。
突如電撃が走ったかと思うと萃香が目の前に手を翳す。
密度を高くされた空気塊は電気抵抗を増し、電撃を防いだ。
カイルがサムに向かって銃弾を放ち、早苗がそれを援護しようと弾幕をばら撒く。
対するサムはレーザーで攻撃をかき消しながら2人へと攻撃する。
「猫符「怨霊猫乱歩」!」
燐が唱えたスペルカードによって髑髏型の怨霊が現れサムに向かって弾幕をばら撒く。
それに対し水の壁が出現し弾幕は一発も当たらなかった。
(見た所レックス以外は接近戦は無理らしいな。あの未だに動かない男を除けばどうにかなるかも知れない。)『サムを相手する。援護してくれ。』
カイルが銃にエネリオンを溜めながら地面を駆け出した。
水の壁に向かって発射された銃弾は穴を穿ち、カイルがそこへ飛び込む。
サムの放つエネリオンが光を屈折する方向を予測し、地面を転がって躱す。
そこへレックスが風を纏いながら突撃する。
レックスの振り下ろしナックルは勇儀のアッパーに打ち消された。
圧縮空気が勇儀を吹き飛ばし、背後から萃香が跳び蹴りでレックスを吹き飛ばした。
萃香は咄嗟に霧状になり、そこへレーザーが通り抜ける。
早苗からサムに向かって突風が吹き付けるがレックスによって押し戻される。
そこへ燐が火の玉を連射したが、レックスの流体制御という能力によりプラズマである炎はレックスに操られ、跳ね返される。
『慧音さん、レックスは今2人の攻撃を凌ぐのに意識を使っている。今だ。』
『ああ、分かった。』「始符「エフェメラリティ137」!」
慧音が弾幕を放ち、レックスが回避動作を取る。
しかし、それだけで早苗の放つ突風を押し返せなくなり、燐の発射する火球も跳ね返せず押し止めるだけに留まった。
カイルが走りながら銃を乱射し、サムがレーザーで攻撃を繰り出しながら銃弾を消滅させる。
カイルは現在を周囲状況を知る事で未来を予測する事が出来るが、攻撃の距離が縮まる程脳の命令が追い付かなくなる。
10mの距離ならサムが屈折させるレーザーの軌道を読み躱す事は出来るが、それ以上接近すれば予測は可能なものの体の動作が追い付かない。
しかし、その弱点は”今の彼ら”には通じない。
『方向......軌道......。』
さとりが読み取った思考を直接送信する事で相手が行動するよりも早く動ける今では5mの距離でも躱せる。
横からの稲妻もさとりの能力によって既に知っている為、容易に回避する事が出来た。
(しかし妙だな。何故「コントローラー」はあんな消極的な攻撃なんだ?何かに脳の処理を使っているのか?......あの動かない男に何かをしているのか?)
カイルは思考を一瞬巡らせたが、すぐに目の前のサムに意識を向けた。
『不味い!光の束がまとめて来ます!』
さとりから送られて来た情報ではレーザーが体全体を覆う程方範囲の攻撃をする。
仕方なく体を斜め後ろにスライドし、レーザーに防がれない軌道で銃弾を発射する。
電光が走り、銃弾は防がれた。
電撃は周囲に広がり、大量のレーザーが空間を埋め尽くす。
体を回転させ回避動作を取るが完璧では無く所々に焼かれた痕が出来上がった。
銃弾で応戦するが全く届かない。
そんなカイルを援護する為さとりは切り札を使った。
「想起「テリブルスーヴニール」!」
彼女のスペルカードは使用する相手のトラウマを具現化する。
「コントローラー」には何故か通じなかったが、サムに対してはその効果を発揮した。
サムの弟、それはリョウによって爆散したレオである。
サムは彼から「出来損ない」と呼ばれていた。
彼は努力した。
レオに戦いを挑んだ事もあった。
しかし、彼はどうしても弟を超える事が出来なかった。
それ程の力をレオは持っていたが、何より彼の「波を操る」という能力自体がレオの「波と粒子双方を操る」という能力に及ばなかった。
弟の圧倒的なまでの力を見せつけられた彼はもはや弟を超えたいという願望すら抱かなくなった。
サムは”現在”ルーラーから「TSLCモード」という役割を与えられているが、実際の所彼はレオに不備がある場合の予備としての役割である。
さとりの唱えたスペルカードはサムを挫折させた力を再現した。
彼の操る「波」はその力によって跳ね返され、戦術的太陽光レーザー発射砲、言い換えればタクティカルソーラーレーザーキャノン、その頭文字を取った「TSLC」は”本来発揮する筈”の威力を彼自身がその身に受けた。
即死では無かったが体中が焼ける様に痛い。
そこへカイルが引き金を引き、サムは頭を打ち抜かれその命を終えた。
途端、地上から降り注ぐ光の柱が消えた。
さとりが嫌悪と罪悪感にその死体を見て思わず目を逸らした。
離れているさとりを「コントローラー」が発見し、観察する様に凝視する。
その様子と「コントローラー」からさとりへ思念波が送られるのをカイルが見ていた。
(そうか、人を操る仕組みが分かった。奴は相手の負の感情によって精神が不安定になったのを利用しているのか。)「こっちだ!」
音速の10倍で秒間20発という速度で発射された銃弾はルーラーの気を引いた。
『勇儀さんと萃香さんはそのままレックスを引き付けておいてくれ。さとりは勇儀と萃香の援護を頼む。それから早苗、燐、慧音さん、僕は次に「コントローラー」を相手するので手伝ってくれ。』
それぞれから聞こえて来る了解の意志。
(「コントローラー」の厄介な所は電子流を放ち、その範囲を自在に変える。1点集中も360度拡散も可能だ。だが全方向への拡散ならば電子の密度が減る筈だ。)
カイルが正面に、早苗が右に、慧音が左に、燐が後ろに、それぞれ回り込み、銃弾や弾幕を撒き散らす。
しかし攻撃は届く前に電子流によって霧散する。
(これで足りない?いや、そうだ。)『早苗、風を起こしてくれ。』
『えっ?はい!』「奇跡「神の風」!」
一瞬疑問を感じたが、早苗はカイルの頼みを信じ、スペルカードを発動した早苗。
「コントローラー」を吹き飛ばす突風が発生した。
自らも電子の風をぶつけ対抗するが、不導体で静電気を帯びにくくしかも循環する、つまり電磁力に影響されにくい、空気を相手するには不十分だった。
威力はある程度消されても「コントローラー」を怯ませる結果となった。
『燐、僕が突進するから僕に纏わせるように出来る限り火球を発射してくれ。』
『え?分かったけどどうして?』
理由が分からないまま、カイルが突進を始め、言われるがままに炎の弾幕を放つ。
炎を纏いながら突撃する様子はまるで少年漫画の様だ。
怯みから回復した「コントローラー」は向かってくるカイルへと電撃を発射した。
炎はプラズマの一種である。
プラズマとは物質が高温によって原子核と電子に電離した状態の事だ。
マイナスの電気を持つ電子は向かってくる電子流と反発し合い、電子流を跳ね返す。
プラスの電気を持つ原子核は向かってくる電子を引き付け、威力を殺す。
炎の繭に身を包んだカイルは大したダメージを受けず「コントローラー」への距離を詰めた。
左足を前に右足を後ろに、右足を左方向へ捻りながら地面を蹴り、その捻りを腰、肩、腕へと伝え、右腕を伸ばす。
カイルの体重の乗ったストレートが「コントローラー」の顔面に炸裂し、転ばせた。
『一斉攻撃だ!』
カイルがストレートを決めて反対側へ移動し、早苗、慧音、燐からの弾幕が「コントローラー」へと振り撒かれる。
「コントローラー」は電撃を放つ暇も無く攻撃を受け続ける。
そこへカイルが引き金を引いた。
エネリオンを2秒間溜めた銃からは約10000000J、TNT換算で2.38kg分のエネルギーが放出された。
銃弾は標的の頭蓋骨を破り、脳組織を破壊し、反対側の頭蓋骨も破り、余ったエネルギーが外へ放出された。
カイル以外の3人がホッとし、気を抜く。
「倒したんですよね......。」
しかし、それに答えたカイルは以前よりも深刻そうな顔をしていた。
「終わって無い。おかしいんだ。司令官を潰された筈なのにレックスがまだ動いている。」
「えっ?」
後方を見ると確かにレックスがまだ勇儀と萃香と戦闘中だった。
「確かに「コントローラー」からレックス達に命令の思念が常に送られていた。つまり僕達を攻撃する理由が無くなった筈だ。防衛本能による攻撃であっても命令が解かれ周囲状況を確認するタイムラグがあっても良い筈だ。それに「コントローラー」の傍に立っていたあの男もまだ動いていない。命令が解かれたなら自由に動き回っても良い筈だ......プログラムによる命令か、だがそれでは司令官の意味が無い......それとも......。」
カイルは仮説を立てる途中、その答えを知った。
微弱だが何処からかレックスと大柄な男に命令信号が送られていた。
その発信源はこちらに近づいていた。
そしてカイルは驚愕した。
「......有り得ない!どういう事だ?!」
「どうしたんですか?カイルさん!」
早苗が心配そうに声を掛けるが、彼の意識はその”現象”に向けられていた。
カイルはそこらの病院が備える測定装置よりも正確に生物が持つ脳波を感知する事が出来る。
生きている生物は誰でも脳波を持ち、それは人間も例外で無く、そして脳波パターンは生物、更に個体ごとに違う。
クローンだとしても器官・組織・細胞・分子の複雑な配置や性格、環境、果ては腸内細菌にも僅かな誤差がある為、脳波パターンは僅かにだが違いがある。
それは生物の皆が同じ原因で死なない為の「全滅を防ぐ」という生存本能の為である。
つまり同じ脳波パターンを持つ人間は双子やクローンであっても2人として居ない、筈だ。
しかし、信号の発信源からは「コントローラー」と全く同じ波形の脳波を感じるのだ。
“それ”が遂に姿を現した。
2m近い身長、光を全く反射しない体色、赤い目、「コントローラー」に似る要素など微塵も無い。
しかし脳波の違いは全く無い。
カイルは我に返った。
何故なら”それ”を追い掛ける者達の存在を知ったからだ。
丁度アダム達が姿を現した。
「どこまでも逃げて行って、しつこいわね。」
「全く、何処へ向かってるんだ?」
霊夢と魔理沙がぼやく。
「向こうはこれ以上逃げられない。だが油断するな。わざわざ行き止まりへ行くのは理由があるからだ。」
アダムが2人へ忠告する。
“それ”が大柄な男と向き合った。
“それ”から放たれるのは命令の信号。
カイルはそれを構成する物質を”視た”。
体の中心に球体があり、それを”人型のエネリオン”が覆っている。
(この球体は......ユニバーシウムか......そうか、「エネリオン体」だ!通りで脳波パターンが同じな訳だ。)
「エネリオン体」とはエネリオンによる力場によって構成された”擬似的な生物”だ。
それには変身する生物を構成するインフォーミオンの構造をエネリオンにプログラムする必要がある。
また、プログラムを書き込むためのエネリオン源も必要である。
ところでカイルは中心の球体がユニバーシウムである事を知った。
ユニバーシウムは空間内に存在しているエネリオンを吸着する性質があり、またエネリオン体を作り出し維持するのにエネリオンを消費し、その失われた分のエネリオンを吸収する。
これがユニバーシウムを利用した擬似的な永久機関である。
更にエネリオンは宇宙を構成するダークマターと同様に宇宙空間が広がっても密度が保たれるという性質を持ち、質量・エネルギー保存の法則が当てはまらない。
要するにエネリオンは幾ら使っても尽きる事が無い。
そしてユニバーシウムにプログラムを書き込めば指定の通りにエネリオンを変化させる。
このユニバーシウムの球体に記載されているのは「コントローラー」の脳の情報と強靭な肉体。
つまり見た目が全く違っても脳波パターンが同じである。
そして脳の情報が同じであれば、
「......奴も他人を操る能力がある......。」
その時だった。
「ウガアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!」
大柄な男が動き出した。
その咆哮にはその場に居た黒い男以外の全員が思わず振り向き、動揺した。
奴には途轍もなく強大な”力”がある、黒い男以外のこの場に居た者達は皆そう思い、未知的な恐怖に心を覆われた。
最近ワールドトリガーの二次創作小説書き始めました
興味があったら是非(どうせまた投げ出すとか言わない、良いね?)
実際の所は相乗効果でUAを増やす作戦