東方不明録 ー「超越者」の幻想入りー / THE TRANSCENDEND MEN(現在更新休止中)   作:タツマゲドン

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46 疑問

「だが貴様が俺に勝てると思うな。」

 

「普通ではそうだ。」

 

 ガミジンのカミソリを躱しながら自分のナイフもガミジンへ突き出していく。

 

 ガミジンへ2連蹴り、下段回し蹴り、蹴り上げ、連続斬りを繰り出していくが、全く当たらない。

 

「一つ訊きたい事がある。」

 

「何だ?」

 

「僕とマルクの関係を教えて欲しい。そちらの仲間に居ただろう。」

 

「マルク、以前送ったディックシリーズの事か。やはり倒したのは貴様だったのか。」(アンダーソンとディックが何かの関係?)

 

「答えてくれ。」

 

「......悪いが俺は知らん。何故そんな事を聞こうと思った?」

 

「奴は僕を異様に憎んでいる様だった。」

 

(一体どういう事だ?ディックシリーズもクローンであり、その上アンダーソンとは何の接触も関係も無かった筈だ。まさか俺達が知らない事があると言うのか?)「......まあどうでも良い。早く片付けてやろう。」

 

 アダムへ上段回し蹴り、スライディング、連続突きを繰り出していくが、全く当たらない。

 

 アダムがガミジンの蹴りを腕で受け止め、ガミジンがアダムの斬撃を繰り出す腕を掴む。

 

 アダムの繰り出す膝蹴りをもう片方の足で受け止め、ガミジンの繰り出す斬撃をもう片方のナイフで受け止める。

 

 互いに相手を突き離し、地面を蹴り、互いに相手へとナイフを突き出す。

 

 アダムのナイフはガミジンの左胸を、ガミジンのカミソリはアダムの頬を掠った。

 

 次の瞬間、2人の放った蹴りがぶつかり合い、互いに後方に吹き飛ばされる。

 

(明らかにスピードが上がっている。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 トレバーは足を急がせていた。

 

(恐ろしい何かが俺の目指す先にある......俺は行かなければならない。)

 

 パワーをフル活用して音速を超える速さで森林を抜けていく。

 

 そして、”それ”を見つけた。

 

 身長195cmで黒髪の全身に鎧を纏った男。

 

 男は戦っている少女の内の1人へとパンチを繰り出している最中だった。

 

(間に合え。)

 

 男のパンチを籠手をはめた腕で受け止め、男へ蹴りを繰り出す。

 

 蹴りを腕でブロックされるが、後ろへ吹き飛ばし、距離を取る。

 

「え?」

 

 パンチを喰らおうとしていた少女は何が起こったのか良く分かっていなかった様だった。

 

「俺はトレバー=イマム。リョウに話を聞いていると思う。奴を倒しに来た。」

 

「え?ああ、どうも。私は博麗霊夢。」

 

「助けが来てくれたは良いが、アイツとんでもない力だぜ。私は霧雨魔理沙だ。」

 

「アリス・マーガトロイドよ。せめてあの鎧だけでも如何にかすれば良いのだけれど。」

 

「お前達は離れた所から援護してくれ。」

 

 と言った矢先、男へと駆け込む。

 

 ジャブ数発、肘打ち、裏拳、2連蹴り、手刀、フック、回し蹴り、と仕掛けていくが、全て躱される。

 

 トレバーが男の腕を掴み、背負い投げを繰り出す。

 

 しかし、難無く着地され、トレバー自身が投げ飛ばされる。

 

 男が吹き飛んだトレバーへ駆け込む。

 

 男の繰り出すストレートを受け止め、男の顔面へカウンターの蹴りを決める。

 

 よろけた男へ下段回し蹴りを繰り出しヒットさせるが、男はバランスを崩した様子は無かった。

 

 続けてしゃがんだ状態からサマーソルトキックを繰り出すが、難無くガードされる。

 

 男はトレバーへ1発ストレートを決め、後頭部を鷲掴みにし、膝蹴りを腹に決める。

 

 怯んだトレバーを持ち上げ、地面に叩きつけようとする。

 

 男の投げ技は霊夢の放った弾幕が男の背中に命中した事で阻止された。

 

 トレバーを放し、霊夢の方を睨むが、後方から迫って来た魔理沙の弾幕が注意を逸らす。

 

 魔理沙の放った弾幕を避けると、空中から何体もの人形が男に向かって弾幕を放つ。

 

 アリスの操る人形達を銃弾の嵐で撃退したが、トレバーの繰り出すストレートを後頭部に受けた。

 

 怯んだ男の首を足で挟み、地面へ叩きつける。

 

 トレバーの思念は籠手に格納されている刃を展開させ、倒れた男に向かって刃を突き出す。

 

 男が頭を守ろうと腕を翳した為、刃は男の腕の鎧に当たる。

 

 トレバーは咄嗟の判断で鎧の継ぎ目に刃を突き刺し、動かす。

 

 男がトレバーを押し飛ばすが、右腕の鎧の部分が外れた。

 

「やったわね、この調子でいけば攻撃は通る様になるわ。」

 

「......だと良いが......。」

 

 トレバーは何か怯えている様に言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺は神を犬の様に散歩させる 恐れの無い話術で

 

 世界大戦は燃える為に戻って来る パリからのボールドウィンの様に

 

 炉から出た鉄の様に 俺は土地も無く生まれて来た

 

 そうさ、母国の息子だ ザパタの銃から生まれた

 

 シャンティーの中や 街の跡地を歩く

 

 同じ様に飢えで死ぬ者達は埋められる 違うのは苗字だけだ

 

 ハゲワシは何もかも残していく 鎖だけを残し

 

 地球儀の1点を選べ そうさ、何処も景色は同じ

 

 銀行に協会、神話に霊柩車 モールにローン、死産の子

 

 未亡人にブタ、オウム 抑えられる反乱者達

 

 白いフードを被った裁判官 注射器に血管

 

 暴動は聞こえない者のライムとなる

 

「歌を歌いながら来るなんて余裕があるみたいだね。確かレイジ・アゲインストだろ。僕の兄さんが好きだったけな。その歌詞をわざわざ聞かせるって事は僕達を完全に嫌っているって事だろ?」

 

「ほう、お前の兄とやらとは気が合いそうだな。俺は「灼熱」だ。まあ俺達みたいな反乱者達にはピッタリだろ?」

 

「「灼熱」、それは凄い。でも僕には勝てない。」

 

「2人共、後は俺に任せろ。ここから離れてくれ。」

 

「え?でも......。」

 

「貴方の事だから何か策があるという訳ね。でも奴は接近できないし、弾幕、光、毒ガス、熱の類は全く効かないわよ。」

 

 ちなみに永遠亭のメンバーの内まともに動けるのは鈴仙と永琳だけだ。

 

「奴の事は知っている。「ウォール」だ。防御に関しちゃ最強だってな。物質、光、音、熱、エネリオン、何でも防ぐ。」

 

「良く知っているね。でもどうやって僕に勝つ?」

 

「早く行け。」

 

 そう言われ、鈴仙はてゐを、永琳は輝夜を背負い、去って行った。

 

「お前の弱点は1つ。」

 

 リョウが右拳に力を込める。

 

 脚を曲げ、勢い良く地面を蹴り、突進する。

 

 レオはリョウへと手を向ける。

 

 次の瞬間、リョウは固い壁にぶつかった感覚を覚えた。

 

 それでもリョウは足を動かて前に進もうとし、レオも負けじと手に更に力を込める。

 

 そして、リョウは周囲の気温をエネリオンに変換して自分に集める。

 

 周囲の空気が冷却された事によって体積が下がり、それを補おうと離れた所からの空気が吹いて来る。

 

「自分が操れる以上のエネルギーは防げない。」

 

 そう言うと同時に右手を広げ、レオに向かって伸ばす。

 

 自身のエネリオンに周囲の熱を加算した分の熱エネルギーがレオを襲う。

 

「どうやってこれ程のエネルギーが?!」

 

「俺はこの力を今まで隠して来た。」

 

 リョウはもう片方の左手も伸ばし、更に大量の熱エネルギーを放つ。

 

 レオは最大限自分のエネリオンを活用して熱を防いでいたが、余りにも膨大な熱には勝てなかった。

 

 レオの身体は10000度を超える熱によって気化し、もはや生物が居たという痕跡すら無くなった。

 

「ハア......奴が目覚めなければ良いが......。」

 

 リョウの右手は更に震えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「前よりも強くなっていますね。」

 

「藍と橙はやられたし、攻撃はまるで通じないし。」

 

「それにしてもあの恰好が不気味よね。しかし、どうして西行妖を狙っているのかしら?」

 

 黒い男は答える事も無く西行妖へと突き進んで行く。

 

「符の参「果てしなく昔の死地」!」

 

「結界「光と闇の網目」!」

 

 男の行く手を弾幕が遮るが、当たる事は無い。

 

 手からエネリオン塊を放出して打ち消し、素早い動きで躱す。

 

「桜花剣「閃々散華」!」

 

 弾幕を掻い潜りながら男へと剣を振りだす。

 

 妖夢の剣に対して自分の腕を振りかざす。

 

 ガキーン!

 

 鈍い金属音と同時に剣は弾かれ、妖夢はのけ反る。

 

「この剣で斬れない?!」

 

 次の瞬間、妖夢の腹には膝蹴りが決まっていた。

 

 怯んだ妖夢をもう1発蹴り上げ、跳び上がる。

 

 上空から両腕を叩きつけ、更に妖夢の頭を鷲掴みにし、地面へ叩きつける。

 

「妖夢!」

 

「幽々子、変だと思わない?」

 

「え?何が?」

 

「奴は以前電撃攻撃を行っていたのにそれが変身してから全くしていない。」

 

「そう言えばそうね。」

 

「それに奴から感じるエネルギーの質が変化したのよ。まるで別人になったと言うべきか......そしてその質が何かと藍や橙、つまりは式神の物と似ているのよ。それでもまるで生物らしさを感じない......。」

 

 妖夢を手放した男は幽々子の方へと跳び上がり、左手でエネリオン弾を連射しながら右手に力を込める。

 

 迫り来る弾丸を避けつつ男のジャンプの軌道上から離れる。

 

 すると、男が不意に加速した。

 

 地面を蹴らず、何らかの噴射剤も噴射させずに。

 

 幽々子は慌てて男へと弾幕を撒き散らすが、既に男との距離は5mを切っていた。

 

 空中で体を滑らせるように弾幕を避け、距離を縮め、幽々子へ力を込めたパンチを決める。

 

 男は更に空中で加速し、幽々子の吹き飛んだ方向へと先回りした。

 

 男の膝蹴りが幽々子へ決まり、吹き飛ぶ勢いが消えた幽々子へ更にパンチを決める。

 

 吹き飛んだ幽々子を掴み、地面へ勢い良く叩きつける。

 

「空を飛んだ?!」

 

 幽々子を手放し、紫へと飛び上がる。

 

「魍魎「二重黒死蝶」!」

 

 紫から赤と青の蝶々弾が放たれたのに対し、男からはエネリオン弾が放たれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「ウォール」から生存信号が途絶えました!」

 

「馬鹿な!もう半数がやられたというのか?!」

 

「もう1段階作戦はあるとはいえ、幻想郷にはこれ程戦力があるとは……それとも反乱軍の送った人員が余程の強さか。」

 

「ところでディック中佐、ポール中尉殿はどちらにおられますか?」

 

「ポール?そういえば居ない......。」(そう言えば最近変な動きを見せるし、昔から何か怪しい所がある......。)

 

 ディック中佐は幻想郷で起こっている予想外の事態を置いといて考え出した。

 

「......すまんが少し休んで良いか?この頃気分が余り優れなくてな。」

 

「え?ああ、我々は別に構いませんよ。」

 

「そうか、では失礼する......。」

 

 ディック中佐は部下達にそう言うと通信指令室から出て、すぐさまある場所へと向かった。

 

 少し時間が掛かる所だが、慣れている為どうという事は無い。

 

 目的の場所に着き、部屋のドアにある電子キーの暗証番号を入力し、電子音が鳴ると同時に鍵が開き、部屋に入る。

 

 その部屋はディック中佐が普段使っている研究室であり、普段ここではディック中佐以外にもポールやその他数人の研究員が働いている。

 

 ちなみに今は幻想郷への侵攻作戦によって全員ここには居ない。

 

「さて、ポールが何を企んでいるのかを暴くとしよう......。」

 




歌詞:Calm Like a Bomb/Rage Against the Machine

リョウ君の戦闘シーン、アッサリ過ぎたと後悔しています...

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