東方不明録 ー「超越者」の幻想入りー / THE TRANSCENDEND MEN(現在更新休止中)   作:タツマゲドン

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SFって難しい...


43 人形

 右のナイフでガミジンのカミソリを受け止め、左のナイフで腹を狙う。

 

 突き出したカミソリを引き寄せ、アダムの斬り裂きの軌道を逸らし、再び突き出す。

 

 ガミジンから突き出されたカミソリを体ごと避け、足元にナイフを薙ぐ。

 

 アダムのナイフを後ろに下がって避け、ミドルキックを繰り出す。

 

 ガミジンの蹴りを跳び上がって避け、頭へ回し蹴りを繰り出す

 

 アダムの蹴りをしゃがんで避け、その状態から跳び上がりながらサマーソルトキックを繰り出す。

 

 体を捻ってガミジンの蹴りを躱し、地面を転がって着地する。

 

 そして、アダムの蹴り上げとガミジンの降下踵落としが衝突し合う。

 

 パワーでガミジンが勝り、アダムの蹴りもろとも地面に叩きつけた。

 

 蹴りの反動で跳び上がり、怯んだアダムに向かって降下キックを繰り出す。

 

 地面に手を着いて素早く起き上がったアダムは跳び上がり、ガミジンの放った蹴りを避け、自らも蹴りを放つ。

 

 アダムが頭に向かって繰り出した蹴りを掴み、裏拳を突き出す。

 

 ガミジンから突き出された裏拳を受け止め、もう一本の足で蹴りを繰り出す。

 

 アダムから放たれた蹴りをもう一本の手で掴み、投げ飛ばす。

 

 投げ飛ばされたが難無く着地したアダムへ追撃にとマグナム型の銃を向けた。

 

 弾速は音速の7倍、連射速度は1秒に10発。

 

 連射能力に欠けるが威力は高い。

 

 対するアダムも愛用の銃「シルバーファルコン」を2丁とも向ける。

 

 弾速は音速の5倍、連射速度は1秒に25発、それが2丁。

 

 通常ならば数量でアダムが圧倒する。

 

 しかし、ガミジンはもう片手にカミソリを握り、銃弾を防ぐ。

 

 一方でアダムは両手が塞がっている為、銃弾を体ごと避けるか銃弾で打ち消すか。

 

 前者は確実だがエネルギー消費が激しい。

 

 後者はエネルギー消費は比較的少ないが銃弾を銃弾に当てるという精密射撃が必要になる。

 

 アダムはこの両方を併用して出来るだけエネルギー消費を抑えるが、ガミジンはそれ以上に無駄が無い。

 

 アダムは左の銃をしまい、代わりに愛用のナイフ「シルバーウルフ」を持ち、銃弾を弾いていく。

 

 しかし、そうすることでガミジンは避けやすくなり、攻撃が更に当たらなくなる。

 

 そこでアダムは右の銃もしまい、右手にもナイフを握る。

 

 両手のナイフで銃弾を弾きながら前へ進んでいく。

 

 ガミジンも銃をしまい、アダムの方向へと進んでいく。

 

 頭部を狙ったアダムの突きをカミソリで逸らしながらアダムへ突きを繰り出す。

 

 左のナイフで突きを躱し、右のナイフでガミジンの腹へ薙ぐ。

 

 ガミジンのカミソリがアダムのナイフを捉え、アダムへ左手を突き出す。

 

 アダムは右手でガミジンの左手を受け止め、二人はそのまま対峙する。

 

「アンダーソン、お前は俺に勝てない、そう思っているだろう?」

 

「そうだ。」

 

「なら、何故俺に攻撃する。やられると分かっているんだろう?」

 

「それは僕が知っているデータ上での事だ。僕はそれ以外の何かを感じる。」

 

「人形の貴様がか?詰まらん冗談を言うな。」

 

「人形......どういう意味だ?」

 

「そう言えば貴様は知らないんだったな。いいだろう、折角だから冥途の土産にでも聞かせてやろう。」

 

 ガミジンがアダムを突き離し、カミソリで次々と突きや斬り裂きを繰り出していく。

 

 対するアダムは2本のナイフを使っているものの、反撃する暇が無い程余裕が無かった。

 

(まだ完全に慣れていない二刀流とはいえ、これ程圧倒されるとは、恐ろしいスピードだ。更にあんなカミソリで攻撃を受け止めるパワーも凄い。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ズドッ!

 

「椛!」

 

 ドガッ!

 

「はたて!」

 

 椛とはたてがサムからの攻撃を受け続けた結果気絶し、残りは早苗と文の2人のみとなった。

 

「これで分かったよ。羽の生えた人間は耐久力に劣るってね。」

 

 何も無い空間からサムの余裕に満ちた声が聞こえてくる。

 

「貴方、天狗を馬鹿にしないでもらえますか?!人間とは違う高貴な妖怪なのですよ!」

 

「じゃあ天狗はその人間に負けてるって事だ。もっとも、そんな事言ったらそちらの味方の人間に失礼だろ?」

 

「......。」

 

「貴方、もしや地球管理組織のトランセンデンド・マンですね。」

 

 早苗が言う。

 

「そうさ。まあそれを知った所でどうにかなる様な事じゃないからな。まさかそれを知って俺を倒せると思ったか?」

 

 2人とも沈黙する。

 

「......ならば、はあっ!」

 

 文が全身に気合を込めると、強風が文達から周囲に向かって吹き出した。

 

「へぇ~。でも決定力に欠けるね。」

 

 突然サムが文の背後に現れた。

 

「文さん、後ろ!」

 

 早苗がサムに向かって手を突きだし、文が後ろを向こうとする。

 

 サムが文の腕を掴み、早苗へ投げ飛ばす。

 

 投げ飛ばされた文が早苗に衝突し、続けてサムの連続攻撃が2人を襲う。

 

 踵落としで地面に叩きつけ、2人の目の前から消えた。

 

「こんな所で昼寝か?随分呑気な奴らだな。」

 

「な、何を......。」

 

(......どうすれば......そうだ!)

 

 早苗が目を瞑り、3秒後、勢い良く目を見開いた。

 

 衝撃波が早苗たちから周囲に向かって吹き出した。

 

「おおっ?!」

 

 早苗は1か所だけ虚空に衝撃波が吹いて複雑な気流が発生しているのを確認した。

 

「そこです!」

 

 早苗がお祓い棒を突き出し、弾幕を放つ。

 

 しかし、手応えが無かった。

 

「今のは中々だったぞ。でもそれでは俺を倒せない。」(何だ?今のは。アイツ、まさかレックスに匹敵する程のエネリオンを持っているのかも知れん......まあ今の所は力の使い方を良く分かっていないらしいがな。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 紅魔館では激しい爆音や激突音が地下から聞こえていた。

 

「幻幽「ジャック・ザ......」

 

「彩符「彩光......」

 

「火&土符「ラーヴァク......」

 

「神術「吸血鬼......」

 

「禁弾「カタディオプ......」

 

 レックスはスペルカード詠唱に対し、上に手を向けた。

 

 衝撃波が天井に吹き付け、天井を剥がし、あらゆる瓦礫を落としていく。

 

 結果、5人は瓦礫を避ける羽目になり、全てのスペルカードは発動せず終わった。

 

 美鈴が飛び上がり、レックスへ蹴りを仕掛ける。

 

 蹴りを体ごと横に避け、美鈴へパンチを決め、吹き飛ばす。

 

 咲夜が時を止め、レックスの目の前に来るとナイフを手に持ち、レックスの眼前に向け、時を戻す。

 

 その瞬間、咲夜は胸が苦しくなったのを感じ、咳き込む。

 

「気体の密度が高い故に酸素も多くなる。酸素は本来生物にとっては有害な気体だ。肺水腫は死に至る事もあるから気を付けるんだな。」

 

 咲夜が残った気力でレックスから離れる。

 

「ゴホッゴホッ!......まさか接近出来ないなんて......それに時が止まった状態で攻撃できないのを見抜くとは......。」

 

「神槍「スピア・ザ・グングニル」!」

 

 レミリアがスペルカードを唱えると手に槍を握り、レックスへ突き出す。

 

 レックスがパチュリーを引っ張る様に手を引いた。

 

 するとパチュリーの背後から衝撃波が吹き、レミリアの突進する軌道上に吹き飛んだ。

 

「パチェ!」

 

 槍を引き戻し、パチュリーに当たらない様にしたが、次の瞬間、パチュリーはレックスの膝蹴りを腹に受けた。

 

 再び槍を突き出そうとするが、それよりも速くレックスの手刀がレミリアの後頭部に直撃した。

 

「これだから人情というのは......今のはお前の友人に当たらない様にしていれば俺に当たったんだぞ。」

 

「禁弾「スターボウブレイク」!」

 

 レックスへ太く強力なレーザーが襲う。

 

 しかし、スペルカードが発動する以前にレックスの手はフランの方向を向いていた。

 

 フランの足元から衝撃波が吹き、結果、レーザーの軌道は上に逸れた。

 

 天井に大穴が空き、レックスはそこから出て行った。

 

「......まさか作戦がバレていたというの?小悪魔が危ないわ......。」

 

 まだ膝蹴りのダメージを回復していないパチュリーが弱々しく、言った。

 

「日光は苦手だから早く終わらせたい所だけど、そうも行かないわね。咲夜はあの調子だし、パチェもかなりきついみたいだし、美鈴は気絶......フラン、手伝ってくれる。」

 

「良いよ。」

 

 スカーレット姉妹はレックスの通った跡を追った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 鈴仙達4人掛かりで四方八方から放つ弾幕はレオに全くダメージを与える事は無い。

 

「質量攻撃は全く効かない......この不思議な力の正体だけでも分かれば少しは何とかなるかも知れないわね......鈴仙、あのレオという少年に当たる太陽光の波長を出来るだけ短くしてみて。」

 

「え?分かりましたけど?」

 

 鈴仙が疑問を抱えたまま永琳に言われた通りに太陽光の波長を短くした。

 

 光や電磁波は波長が短くなる程周波数が高まり、強いエネルギーを持つ。

 

 レオに降り注ぐ太陽光は可視光線から紫外線、そしてX線に変化した。

 

「むっ?」

 

 レオは一瞬戸惑うも、太陽の方向を見るなり、再び何とも無い顔をした。

 

「......電磁波も効かないのね。つまり粒子も波も効かないとなると......。」

 

「永琳、熱はどう?」

 

「輝夜、熱も波の性質を持っているのよ。」

 

「それじゃあ......。」

 

「あの少年が操れる以上のエネルギーを持った攻撃をするしか無いわね。」

 

「フフフ、心配するなよ。一瞬で殺すなんてしないよ。じっくり苦しめるからさ。」

 

 再び4人がエネリオンの塊を受けるなり、吹き飛ばされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「霊符「夢想封印 集」!」

 

「星符「エスケープベロシティ」!」

 

「白符「白亜の露西亜人形」!」

 

 3人がそれぞれ放った弾幕が男を囲う様に襲い掛かる。

 

 しかし、男は大柄な体を途轍もない速さで動かし、更に1秒間に200発の勢いでエネリオンの弾丸を放っていく。

 

「でえい!」

 

 魔理沙が箒に乗り、男へと突進しながら弾幕を放つ。

 

 前方から迫る弾幕を物ともせずに躱し、魔理沙に肘打ちを決め、地面に倒す。

 

 アリスが人形達を男の後方180度に配置させ、弾幕を放とうとする。

 

 男が背後の人形達に気付いていたかの様に振り向き、大量の銃弾を人形達に浴びせる。

 

 霊夢が男の周囲に結界を張り、更に弾幕を配置する。

 

 男が跳び上がり、結界を破り、霊夢を掴む。

 

「試験中「ゴリアテ人形」!」

 

 アリスがスペルカードを唱えると1体の人形が巨大化し、手に持つカミソリまで巨大化した。

 

 ゴリアテ人形が男へと襲い掛かる。

 

 掴んでいる霊夢を蹴飛ばし、反動でゴリアテ人形へ突進する。

 

 ゴリアテ人形の突きを体を逸らせて躱し、横から踵落としを決め、地面に叩きつける。

 

「今だ!彗星「ブレイジングスター」!」

 

 魔理沙が極太のレーザーを発射しながら男へ突撃していき、更には周囲へ光弾をばら撒く。

 

 男は躱そうともせず、腕を胸の前に構え、攻撃をガードした。

 

 魔理沙が男に衝突し、爆発が起こる。

 

 魔理沙が爆炎の中から出て来た。

 

「2人共、大丈夫か?」

 

「大丈夫だけど、まだ生きているわよ。」

 

 霊夢が質問に答えると同時に重要な事を伝える。

 

「あんな攻撃を受けてまだ平気だなんて......。」

 

 爆炎の中から男が出て来た。

 

 男が着ていたローブはすっかりボロボロになり、外れた。

 

 その代わり、男の体表はライダースーツの様な伸縮素材のスーツと何らかの金属らしき物で出来た鎧に覆われていた。

 

「どおりであんなにピンピンいている訳だな。」

 

「あの鎧をどうにかして外さなきゃね。そうすれば攻撃が通るかも知れないわ。」

 


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