東方不明録 ー「超越者」の幻想入りー / THE TRANSCENDEND MEN(現在更新休止中) 作:タツマゲドン
といっても日常系は苦手なんですが...
30 花見に行こう
永夜異変から数日後。
「準備は良い?」
「ああ、頼む。」
霊夢が弾幕の嵐を放出する。
対するアダムは銃を2本腰から取り出す。
1つの銃が1秒で25発、2つ合わせて1秒で50発のペースで銃弾を吐き出し、弾幕を打ち消していく。
右手の銃は元から自分の物だったが、左手の銃は数日前までマルクの物だった。
それと同様に、腰にも自分の物とマルクの物のナイフが2つある。
現在アダムは二刀流に慣れる為の修行をしている最中だった。
また、管理軍が侵入して来た時に対応する、という目的もある。
銃弾による防御では捌き切れなくなったアダムは銃を仕舞い、ナイフを2本引き抜く。
洗練された動きで2本のナイフを有効に扱い、弾幕を防御する。
やがて弾幕の嵐が止み、ナイフを鞘に入れた。
「私には剣術はあまり分からないけど、中々いいんじゃない?」
「だいぶ慣れてきた所だ。しかし、二刀流は有効に扱える様になるまでが難しいものだ。動きを間違えれば自分に当たってしまうからな。」
そして、丁度いつもの様に魔理沙が箒に乗ってやって来た。
「よう、今日も来たぜ。ところで2人とも、今日起きた事なんだが、南の花畑の方で全ての季節の花が一晩で咲いたって知ってるか?」
「へぇー、ちょっと気になるわね。見てみようかしら。」
「幻想郷は相変わらず非常識的な事ばかり起こるものだな。もう慣れているが。もっとも、此処では常識なんだろうが。」
「そんな事無いぜ、少なくとも私は全ての季節の花が咲くなんて聞いた事も無いんだ。それより早く見に行こうぜ。また箒に乗っていけよ。」
「ああ。毎回悪いな。」
「別に気にする事じゃあないだろ。ほら早く。」
3人は早速目的地へと飛び上がって行った。(といってもアダムは箒に乗っているだけだが。)
リョウの2階の自室では90年代ロックと思われる音楽が大音量で流れていると共にリョウがその曲を歌っていた。
CDプレイヤーの曲名表示部分には「Rock Is Dead」と書かれていた。
エイリアンのガキを背負ったバカなサル共
少年用アンフェタミン
淑女の為の十字架
標本にされた生気を失った抜け殻
世界的広がりとクモの巣の広がり
お前は生き物全てを売り渡す
より安らかな死の為に
そして、曲はサビの部分まで来た。
「Rock!!! Is deader than dead!!! Shock!!! Is all in your head!!! Your......」
リョウは自身の名前は日本風であるが、完璧な、慣れている様な発音で、音も外さずに歌っていたのだが......
「リョウ、うるさいぞ!近所迷惑だ!」
タイミングが良いのか悪いのか1階から慧音の声が聞こえてきた。
「何だと?お前マリリン・マンソンの良さが分かってないだろ!」
「全く......飽きない奴だな。」
「お前こそいつも俺に構いやがって。俺の事好きなのか?」
「その言葉聞き飽きたぞ。」
これはいつも通りでリョウも慧音も周りの人々もすっかり慣れている。
「さて......これから何しよう......。」
ふと、リョウはある事を思い出した。
「......確かこの前の奴らの武器があったな......あれ分解して何か作ろうかな......とりあえず材料無いし、霖之助んとこでも行くか。」
アダム達はその全ての季節の花が咲いているという里から南へ行った所へ来ていた。
「本当に全ての季節の花が咲いているのか。」
「だろ。綺麗だよな。」
「でも、どうしてこんな事になってるの?私は異変かと思うんだけど。」
「さあ、私には分からんが。まあ悪い事が起きている訳じゃないし。でも不思議だよな。」
「通常花というのは一定の条件が揃って咲く。それは種類によって違う。その条件が一度に揃う事など有り得ない。それは全ての生物が皆一斉に滅びない為だ。」
「よ、良く分からん......。」
突然、アダムが銃を2つ取り出し、後ろを振り向く。
銃を向け引き金を引く。
合計150発の銃弾が発射された。
霊夢と魔理沙が遅れて振り向く。
「い、一体何?」
「何が起こったんだ?」
「見ろ、あれだ。」
霊夢達はアダムの視線を辿り、そこに少女が一人倒れているのを見つけた。
「先程こちらに対して弾幕を放ったんだ。注意する必要があるな。」
「よ、容赦無いな......。」
「リリーホワイトね。春を告げる妖精なのだけど、異変で活性化してるのかしら。」
「分からん。詳しく調べてみよう。大して危険は無いと思うが、気を付けろ。」
アダムは跳び上がり、何処かへと行った。
「どうする?あたし達も何か調べてみるか?」
「そうね、少なくともただ事では無いわ。手分けして何か手がかりを探してみましょう。」
霊夢と魔理沙も別々の方向へ飛んで行った。
自分達に脅威が迫っていると知らずに。
さっきまでアダム達が居た場所に一人の女性が来ていた。
「誰かしら、この花畑を荒らしたのは。」
女性は先程アダムが倒したリリーホワイトと、その周辺にある倒された花を見て言った。
そして、その声には怒りが混じっていた。
「霖之助、居るかー?」
「何時でもいるさ。珍しいなリョウ、何の用だい?」
リョウは香霖堂へ来ていた。
「何か無い?」
「何かって何だよ。」
「とにかく何か。そうだな、機械的な物とか。」
「機械類ならそこに置いてある筈だよ。」
霖之助はゴミの山としか思えない様に置かれてある機械達を指差した。
「サンキュー、つってもごちゃごちゃし過ぎだろ。」
「これでも分類分けはしてるんだ。」
「そんな都合の良い事がある訳......おっ!」
リョウは棒状のハンドルらしき物を見つけ、引っ張る。
機械の山が崩れると同時に、それは姿を現した。
無駄という無駄をそぎ落としたフォルム、黒と緑が基調の引き締まる様に見えるカラー、前後に2つの車輪、人が2人分乗れる位のシート、フロント部のバグガードと大きなヘッドライト、半分むき出しになっている機関部。
左右両側に「Ninja」の文字のあるそれはリョウにとって都合の良い物だった。
全長が2m近くもあるバイクだ。
しかし、エンジンで走る自走車両にはある筈だが、これには無いものがあった。
「すげぇ......カワサキの「Ninja EX-R」じゃないか!半世紀も前のレア物がこんな所にあったとは。ガソリンでは無く電気だから......一応うちに太陽光パネルはあるが、大した出力は出ないし......もっと高出力の太陽光パネルがあれば良いが、そんな都合の良い物がある訳......」
そう、電気を利用する為マフラーが無いのだ。
「確かあった筈だ。」
「イ”エ”ェ”ア”ァ”!変な声出ちまった!こんな奇跡があったとは!」
「まあ落ち着いてリョウ、そんなに凄い物なのかい?」
「当たり前だろ!それいくら?!言い値で買ってやる。」
「と言っても、バイクに太陽光パネルなんて此処で使う人なんて居ないもんな......何か損する気分だが、2つともタダで良いよ。」
「エ”ェ”ーイ”!!!!!」
「......良かったね......。」
「あ、そうだ。」
「......。」
霖之助はリョウの急な冷め方に拍子抜けした。
「実は飛行マシーンを作ろうと思っていてな、それに使える様な物無いか?」
「飛行マシーン......分からない......。」
「まあそんな都合の良い話がいつもある訳じゃあ......」
リョウは偶然にもある物を掴んでいた。
機械の山からそれを引き抜いた。
「あったよ......お前どんだけだよ......。」
「そんな事言われても......。」
リョウは大型のリュックサック大のジェットパックらしき物を持っていた。
そのケーブルには手袋やブーツ、ヘルメットらしき物も繋がっている。
「これ、昔にどっかのバカがアイアンマン作ろうとした時の試作品そのものじゃねぇか!これ貰っても良いか?」
「良いけど......」
「エ”ェ”ーイ”!!!!!」
リョウは両手を上に挙げたまま大ジャンプし、天井を突き抜けた。
「......屋根修理してくれよ......。」
「......オッケー......すまん、はしゃぎ過ぎた......。」
一方、幻想郷の上空にて。
「最近はどうも詰まんなくて退屈ね......そうだ、良い事思いついたわ。」
とある少女が腰に収めてある剣を引き抜いた。
柄の部分は多少の装飾があるだけだが、刀身の部分は緋色に輝いていた。
「これで異変を起こして面白くしようかしら。準備にチョット時間が要るけど。」
その声の100%は楽しみで構成されていた。
歌詞:Rock Is Dead/Marilyn Manson
高校生ですがマリリン・マンソン大好きです
前書き・後書きも気がゆるくなりそう