東方不明録 ー「超越者」の幻想入りー / THE TRANSCENDEND MEN(現在更新休止中) 作:タツマゲドン
森全体にリョウと萃香が互いに出す攻撃の衝撃音が響いていた。
萃香がストレートを突き出す。
リョウがそれを受け止め、こちらもストレートを繰り出す。
萃香もそれを受け止め、暫く対峙し合った。
そして、萃香が角の生えた頭で頭突きを繰り出す。
リョウは間一髪の所で体を逸らして避け、同時に萃香を後ろへ投げ飛ばした。
「おい!角は反則だろ!」
それに対して萃香は何も言わず、地面に着地するとリョウへ向かって突進した。
「やあ!」
ガシッ、と音がした。
リョウが萃香の角を掴み、そのまま地面に叩きつけた。
隙を逃さず、蹴り上げ、ボディブロー4発、裏拳、蹴り上げ、踵落としを決め、吹き飛ばす。
「角を掴むのも反則!これ結構痛いんだからな!」
起き上がった萃香が言った。
萃香がリョウへ駆け込み、拳と蹴りのラッシュを掛ける。
リョウはそれを次々と避けていき、負けじと自らも攻撃の嵐を掛ける。
リョウのストレートが萃香の顔面にクリーンヒットした。
萃香もリョウの顔面目掛けてストレートを繰り出していたのだが、腕が短い為攻撃が届かず、結果として自分だけが攻撃を喰らった。
吹き飛ばされた萃香は背中から地面へ落ちる形で倒れた。
隙を与えない様にスペルカードを唱える。
「萃鬼「天手力男投げ」!」
萃香が両手を上に突き出すと、そこに巨大な岩が出現した。
「だあっ!」
萃香が岩を投げ飛ばした。
リョウが銃を構え、1秒で4発のペースで銃弾を発射する。
岩はリョウに当たる事なく粉々に砕かれた。
「鬼符「ミッシングパワー」!」
萃香が両手を上に突き出すと、両手が巨大化した。
「......ゴッドハンドじゃねーんだよ......。」
萃香がその黒ずんだ巨大な手を振り回し、リョウに当てようとする。
リョウは上手く体を捻り、攻撃を避けていく。
萃香が跳び上がり、振り下ろしパンチを掛ける。
リョウも跳び上がり、巨大な拳に向かって蹴りを放つ。
空中でパンチとキックがぶつかり合った。
萃香は上空へ僅かに吹き飛ばされただけだが、リョウは勢い良く地面へ吹き飛ばされた。
なんとか着地を決めたリョウは萃香へと跳び上がり、そしてアッパー、両足蹴り上げ、足を掴んで地面へ投げ飛ばし、萃香が地面へ叩きつけられた直後、リョウの降下キックを決めた。
リョウはある程度距離を取り、次の攻撃に備える。
「鬼神「ミッシングパープルパワー」!」
今度は萃香自身が巨大化した。
「......お前はピッコロか......。」
巨大化した萃香の拳や蹴りが次々にリョウを襲う。
リョウが萃香の踏みつけを避け、背後に回る。
跳び上がり、丁度膝の裏目掛けて両足蹴りを放った。
萃香がバランスを崩し、倒れそうになる。
リョウはまた跳び上がり、バランスを崩した萃香目掛けて降下キックを決めた。
萃香は更にバランスを崩し、とうとう地面に倒れた。
「デカ過ぎると不便な事もあるぜ。おりゃっ。」
リョウが萃香の目に軽く萃香の目に指を当てた。(軽く、と言っても本人の感覚だが。)
「ぎゃあああああ!!!!!」
萃香が元の大きさに戻る。
「何するんだコノヤロー!」
「自分から弱点をむき出しにするような奴に言われたくねーな。」
「鬼気「濛々迷霧」!」
萃香が黒い霧状になり、同時に大量の弾幕を放った。
リョウが銃を取り出し、1秒に100発のペースで弾幕を撃ち落していく。
撃ち落せなかった弾幕は体を捻って避けていく。
リョウの背後で黒い霧が集まった。
霧が萃香に変わり、萃香がパンチを放つ。
リョウはギリギリで躱し、萃香に蹴りを掛ける。
蹴りは両手で掴まれ、萃香が一本背負いを繰り出した。
自身が回る事によって地面に倒れるのを防ぎ、着地するとそのまま萃香に巴投げを決めた。
地面に着く前に萃香が霧へ変化したと同時に大量の弾幕がばら撒かれる。
リョウが銃を構え、弾幕を撃ち落していく。
リョウの頭上で霧が集まり、萃香へと変化した。
萃香の振り下ろしナックルがリョウのアッパーカットと正面衝突し合った。
リョウは地面に立っていた為吹き飛ばされなかったが、萃香は空中にいた為空中に吹き飛んだ。
リョウが空かさずサマーソルトキックを決める。
空中へ更に吹き飛ばされた萃香は再び霧となり、同時に大量の弾幕を放つ。
リョウはまた銃弾で弾幕を打ち消していく。
リョウの目の前で霧が集まり、そこに萃香が出現した。
萃香のラリアットをしゃがんで避けたリョウは萃香を掴み、バックドロップを決めた。
リョウが少し距離を置き、萃香も立ち上がる。
「あんた凄いじゃん!こんな人間と戦ったのは生まれて初めてだよ!」
「驚いたのはこっちだ。これだけ攻撃を喰らったってのに、まだピンピンしているとはな。」
同時に冥界でも激闘が繰り広げられていた。
アダムが男の攻撃を受け止めていく。
一方で咲夜が遠方からアダムに当たらない軌道で男に向かってナイフを投げていく。
男は大柄な体に見合わない素早い動きで二人の攻撃を避けていく。
だが遠方の咲夜から投げられたナイフが男の左腕と右脇腹を掠った。
更にアダムがストレート、フック、アッパー、左回し蹴り、右側面蹴り、左裏拳を決め、吹き飛ばした。
吹き飛ばされた男は空中で体勢を整え、着地してアダムに襲い掛かる。
「メイド秘技「操りドール」!」
しかし、男の目の前に散りばめられた大量のナイフに行く手を阻まれた。
男は一旦後ろへ下がり、迫り来るナイフを避けて行った。
ナイフを全部避け切った所でようやく頭上に蹴りの体勢の少年がいる事に気が付いた。
アダムの降下キックは男の小手に防がれた。
男の立っていた石畳の地面が陥没し、アダムは後方へ大きく跳び上がる。
「メイド秘技「殺人ドール」!」
一瞬で男の上下左右前後360度にナイフが出現した。
それを男は避けようともせず、その場に立っていただけだった。
【トランセンダー循環開始】
大量のナイフが男にヒットする。
が、突き刺さらなかった。
直後、男の背後からアダムの跳び膝蹴りが決まった。
が、男が吹き飛ぶ事は無かった。
男がアダムの足を掴み、地面へ叩きつける。
そして、男がアダムを殴りつける。
一発では無く、何発、何十発も。
咲夜がアダムに当たらない軌道でナイフを数本投げる。
全てのナイフが男の肉体に弾かれた。
男がナイフを3本拾い上げる。
グサッ
「うがあああああ!」
1本をアダムに突き刺す。
1本を咲夜に向かって投げた。
(速すぎる!)
咲夜は音速の3倍で投げられたナイフを時を止めずに避けた。
咲夜の時を止めるのに掛かる僅かな時間が、ナイフが自分に当たるのに掛かる時間に比べて遅すぎたからだ。
男が咲夜へと駆け込みながら最後のナイフを投げる。
咲夜はこれも時を止めずに避けた。
直後、男の駆け込みストレートが咲夜にクリーンヒットする。
吹き飛ばされた咲夜は地面に倒れ、そのまま気絶した。
男はアダムの方へ歩き寄り、少年に向けて止めを刺すべく、拳を高々と挙げた。
「......う~ん......いてててて......。」
妖夢が目を覚ました。
「確かあの時に負けて......はっ!幽々子様は......。」
ガバッと起き上がり、辺りを見回す。
少し離れた所で先程自分が戦った少年と見知らぬ男が戦っていた。
別の場所ではメイド服を着た女性が倒れている。
そして、自分の主である幽々子が西行妖の前で倒れていた。
更に西行妖の枝が何本も切り落とされていた。
「一体誰がこんな真似を......。」
恐らく今戦っている少年か男のどちらかだろう、と妖夢は思った。
(あの人は私たちの異変を邪魔しに来たのだけど......あの人は悪い人じゃない!)
男が少年に止めを刺すべく少年の方へ歩き寄り、拳を高々と挙げたのが見えた。
「やあ!」
妖夢は男の方へ駆け込みながら刀を二本抜いた。