魔法少女リリカルなのは~Amantes Amentes~ 改訂版   作:鏡圭一改め鏡正

13 / 23
かなり遅くなりましたが、あけましておめでとうございます!

今年こそは改定前の物語より内容を進めていこうと思っています。

今月にDiesのマンガが電撃マオウで連載されるらしいので、とても楽しみです! それでは、今年最初の投稿です!


第十三話

 「貴方の持っているジュエルシードをこっちに渡してください」

 

 背後で斧を突きつけている金髪の少女。フェイトにジュエルシードと呼ばれる物を渡せと言われたラインハルトは、ジュエルシードのことについて分からないからか、命の危険に晒されている状態で首を傾げた。

 ラインハルトは少し考え、1つの答えに至る。それはラインハルトが持っている宝石の様な石がフェイトの言っているジュエルシードなのではないかということだ。

 

 「この石は君の物なのかい?」

 

 僕は少女にその石を見せると、ラインハルトの思っていた通りに、フェイトの表情が一瞬変わった。ラインハルトは自分の持っている物がジュエルシードだということを理解した。

 

 「……いいえ。ですが、私にはジュエルシードが必要なんです!」

 

 「そうか。……だったらこの石は交番に届けなければいけないな。僕は見知らぬ人に所有物でない物を渡すほどお人好しじゃないからね」

 

 ラインハルトはフェイトにジュエルシードを渡さないと言ってからすぐに背後にいたフェイトから距離を取る為に走り出す。

 

 「そうですか。……なら力ずくになりますが、ジュエルシードを頂きます! (本当は傷つけないでジュエルシードを獲得したかったけど。……ごめんなさい。怪我させないように気をつけるから)」

 

 フェイトが斧をかまえた瞬間、ラインハルトは嫌な予感を感じ、咄嗟に仰け反るように下避けると、ラインハルトの髪の毛が数本切れたのが見えた。

 正直、かなりギリギリだった。もし今の斧の斬撃を避けていなかったら、上半身と下半身が両断されて死んでいたかもしれないとラインハルトは思いゾッとし、今の斬撃が見えなかったことから恐らく今のようなマグレはもう起こらないだろうと思った。

 実はフェイトの武器の『バルディッシュ』には非殺傷設定が設定されている。これにより絶対という保障は無いが、人間の手や足が切れない様になっている。

 

 「……もう一度だけ言います。ジュエルシードを渡してください」

 

 「悪いけど、この石を君には渡さない(なんて悲しい瞳をしているんだ彼女は?)」

 

 「……そうですか」

 

 フェイトは再び一瞬でラインハルトの前に現れた。その時、フェイトは小声で『ごめんなさい』と呟いて斬りかかった。

 

 「(ああ、僕はここで死ぬのか? ……いやだ、僕はまだ死にたくない!!)」

 

 ラインハルトが目の前に襲い掛かる死の恐怖から死にたくないと強く思ったその瞬間だった。

 あと少しでフェイトの斬撃がラインハルトの首に直撃する直前だった。ラインハルトの目の前に黄金の槍が現れ、フェイトの斬撃を受け止めていたのだ。

 フェイトはラインハルトの前に現れた槍を危険だと感じ、ラインハルトから距離を取り、他にジュエルシード奪還を狙っている者がいるか警戒をする。

 

 「なんなんだこの槍は?」

 

 ラインハルトはいきなり目の前に現れた黄金の槍を不思議そうであり、どこか懐かしそうな感覚に疑問を覚えながら黄金の槍を手にすると、ラインハルトの服装が映画で見た第二次世界大戦のドイツ軍の様な軍服に変わり、髪も短髪から獣の鬣の様に長くなっていた。

 青い目から一変し、黄金に輝く瞳で目の前にある槍を眺めるラインハルトは突然、既知感をを感じ始める。

 目の前にいる少女やこの海鳴市に住んでいる人については既知感を感じないが、藤井蓮を始めとした十数名のことと目の前にある槍のことについては既知感を感じ始めていた。

 ただ、目の前にある槍は自らが扱っていた槍に比べると性能がかなり落ちてしまったことに不満はあったが、再び使うことができることに愛しさを感じていた。

 

 「Yetzirah(形成)

 

 「聖約・運命の神槍(ロンギヌスランゼ・テスタメント)

 

 ラインハルトが愛おしそうに自らの愛槍の名前を言った瞬間、聖約・運命の神槍(ロンギヌス)の輝きが増した。ロンギヌスとは、キリスト教が偶像崇拝しているイエス・キリストを殺したとされる神殺しの槍として有名だ。

 そしてこれはラインハルトの中に宿る『神格』である『ラインハルト』の因子がこの世界で覚醒した瞬間でもあった。

 

 「私はラインハルト・ハイドリヒという。Fraulein. 卿の名前を教えてほしい」

 

 「……フェイト・テスタロッサです」

 

 フェイトと呼ばれる少女は顔を赤くしながら名前を言った。

 

 「Fate……運命か。なるほど、確かに卿のようなかわいらしい女性に出会えたことが運命ともいえる」

 

 我ながら臭いセリフだったとラインハルトは苦笑いすると、フェイトはさっき以上に顔を赤くしていた。

 これは母親と使い魔としか話したことがないフェイトにとって初めて家族以外と話す他人であり初めて見る異性でもあるからか、今が戦闘中だということを忘れてしまい慌てている状態だった。

 「さあ全力で来るがいいフェイト! 私がお前の総てを愛してやろう」

 

 ラインハルトの一言により正気に戻ったフェイトはバルデッシュを構えて斬撃を繰り出そうとした瞬間だった。突然戦場になった商店街で空腹を知らせる腹の音が鳴りだした。

 不思議に思ったラインハルトはフェイトの顔を見ると、フェイトは腹の音が鳴ってしまったことで恥ずかしくなったからか、顔を真っ赤にして俯いてしまった。

 

 「……今日はこれまでだ。空腹の相手に勝負を挑むような無粋な真似はせん」

 

 ラインハルトは聖約・運命の神槍を下ろしながらフェイトを眺めていると、普通の人では見つけることが出来ない鞭で叩かれた跡を見つけた。

 それだけではなく、さらにフェイトの体も栄養失調で9歳位の平均体重よりも少し痩せ過ぎているような感じだった。

 

 「卿に一つ聞きたい。卿は何時も何を食べているのだ?」

 

 「……イトです」

 

 「ん? すまないがもう一度言ってくれ?」

 

 「冷凍食品とカロリークリエイトです」

 

 カロリークリエイト。その単語を聞いた瞬間、ラインハルトの中にある何かがプツリと切れた。

 

 「フェイト。卿はもう少し自分の体を大事にしたまえ」

 

 「え?」

 

 「ジュエルシードと呼ばれる宝石を探す為に1~2日にカロリークリエイトを食すのは問題ない。だが、卿の体を見る限りでは殆ど毎日その生活を続けているのであろう?」

 

 ラインハルトの問いにフェイトは頷いた。ラインハルトは聖約・運命の神槍を解除し、元の制服姿と容姿になり、聖約・運命の神槍が槍の様なネックレスに変わったのを確認した。

 

 「僕の家に案内するから着いて来て。それから、フェイトはしっかりした食事をしたほうがいいよ」

 

 何時の間にか周囲に商店街の人がいることやフェイトが黒いワンピースを着ていたことにラインハルトは驚きを感じたが、今は家に帰り、料理を作ることを優先したラインハルトは料理を終えた後、今の状況についてフェイトに聞くことにした。

 

 「あのラインハルトさん。そのデバイスはどこで手に入れたんですか? それに口調や髪の長さもさっきと違いますし」

 

 「……? デバイスについては何も知らないけど、聖約・運命の神槍についてはついさっき知ったばかりだよ」

 

 「そうですか……」

 

 「今度はこっちから聞くけど、君はどうしてジュエルシードを集めているんだい?」

 

 「そ、それは……ごめんなさい。どうしてジュエルシードを集めなければいけないのかを母さんに聞いていないんです」

 

 ラインハルトはジュエルシードに関してとフェイトが暴力を振るわれていることについてをフェイトの母親に会えば分かるかもしれないと思い、フェイトの母親と会うことを決意した。

 そして、このままフェイトを放っておけば必ず後悔することになってしまうのではないかと思っていた。

 

 

 

 「ここが僕の家だよ。さあ入って」

 

 ラインハルトの家に到着し、ラインハルトはフェイトを家の中に入れると、リビングにはフレイヤがテレビを見ていた。

 

 「おかえりラインハルト。……ラインハルト。貴方ってロリコンの気があるのかしら?」

 

 「姉さん。誤解している様だから説明するけど、彼女はあまりまともな食事をしていないみたいだから、僕が料理を食べさせようと思っただけだよ」

 

 「……そう(彼女。何か訳ありみたいね)」

 

 このままだとフレイヤどころか、友人達にロリコン扱いされそうだったラインハルトは、この後1時間位かけて説得したからか、なんとかロリコン扱いされなくなり、3人で楽しく食事をすることになった。

 ちなみに、リスみたいにラインハルトの食事を食べていたフェイトを見たラインハルトはフェイトのことがかわいいと思いながら食事をしていた。

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。