魔法少女リリカルなのは~Amantes Amentes~ 改訂版   作:鏡圭一改め鏡正

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今回は原作では蓮の自滅因子だった司狼が参戦します。……正直、司狼の設定をチートにし過ぎた感がありますが、アドバイスがあったらよろしくお願いします!

司狼の母親は篁唯依をイメージしてくれるとありがたいです。

感想などがありましたら遠慮なく書いてください!


第十一話

 なのはがジュエルシードに反応して家を出る5分前、蓮と蓮の肩に乗っているフェレットのユーノは神社に向かって走っていた。

 

 『蓮急いで! ジュエルシードが発動している!!』

 

 「ああ。分かってるよ! (ああクソ! 今日は早く宿題を終わらせて新作のゲームを進めようと思ったのに!)」

 

 蓮は司狼に進められたゲームをまさにプレイしようおした瞬間に、ジュエルシードの反応があった為、タイミングが悪いと思っていると、何時の間にか神社に着いていた。

 

 「(ちょっと待てよ。昨日から思ったことなんだが、どうして息切れが起きてないんだ? 家からここに来るまで約3キロはあるんだぞ。今思えば、俺が着けているペンダントが原因じゃないか?)」

 

 蓮は昨日のデバイスを発動させてからというもの、反射神経と身体能力が上がってしまい、自分の体の制御に時間がかかってしまった。

 蓮が制御している間の行動の違和感は蓮に親しい司狼たちは蓮の行動に疑問を感じているほどのものだった。

 

 「来るよ蓮!!」

 

 ユーノが言った次の瞬間だった。蓮が咄嗟に後ろに避けて右を向くと、そこには黒い2対の頭を持つ魔犬『オルトロス』がいた。

 

 「気をつけて蓮! どうやらジュエルシードが生物に宿ると生物は莫大なパワーを得るみたいだ」

 

 「ああ。そうみたいだな」

 

 蓮の左の頬には爪の後があり、頬からは血が流れていた。蓮は頬の傷を無視して意識を魔犬に集中すると、右腕からギロチンが形成された。

 

 「大丈夫かい蓮!?」

 

 「……ああ。でも、かなり強いぞあの化け物(それにあの化け物の特徴どっかで聞いたことがあるな)」

 

 蓮は幼い頃からメルクリウスに世界の神話のことについての本を読んでもらったことがある。

 そして、蓮は目の前にいる化け物がギリシャ神話に出てくる魔獣だということを思い出す。

 蓮は蓮の首を引き千切ろうと血走った目を向けてきた魔犬に対してギロチン『罪姫・正義の柱(マルグリット・ボワ・ジュスティス)』を構えた。……その時だった。

 突然、銃声が神社周辺で響き、魔犬の顔の一つが抉れたが、瞬時に魔犬の顔はジュエルシードの魔力を使って再生した。

 

 「おいおい。どうしてこんな所にギリシア神話のオルトロスがいるんだよ?」

 

 蓮の後ろから声が聞こえ、蓮は後ろを向くと、そこには赤を基準とした左腕の部分の肌を露出させた服装、左手には本来なら子供が持つべき物ではないデザートイーグルと呼ばれる銃を人差し指でクルクル回しながら、人を馬鹿にするようなニヒルな笑みを浮かべている遊佐司狼だった。

 

 「よお蓮。中々面白そうなことしてんじゃねぇか。なぁ、俺も混ぜてくれよ」

 

 「はぁ。……お前がどうしてここにいるのかについての理由は聞かない。けど、これだけは言っておく。足手纏いになるんじゃねえぞ司狼!」

 

 「おいおい蓮。誰に言ってんだ? お前の方が足手纏いになるんじゃねぇよ。……まあ、冗談は置いとくとして、事情はお前の親父さんから聞いている。なのはが来ないことにはあの化け物には勝てねぇみたいだし? それまでの間、派手に暴れようじゃねぇか!!」

 

 司狼の言葉が合図となったのか、蓮と司狼の共闘が始まった。蓮は司狼が無事でいてくれるように願いながら、オルトロスに向かって攻撃を始めた。

 

 

 

 時は放課後の午後3時頃に戻る。金髪のニヒルな笑みが似合う少年。遊佐司狼は、何時もの様に家に帰ってから両親がいるであろうリビングに行くと、

 

 「お帰り司狼。母さんが菓子を作ってるから、手洗って来いよ」

 

 「分かったよ。んなことより、そろそろ働けよ親父」

 

 司狼に話しかけてきた和服を着た20代位に見える男は司狼の親父であるジューダス・ストライフ。

 ジューダスは元俳優で、メルクリウスがカール・クラフト・藤井の名義で映画監督としてデビューした作品、『PARADISE LOST』で人気になったことでハリウッド俳優になるなどの実績を持つ名俳優だった。

 現在は、俳優で稼いだ金とラスベガスのカジノ、宝くじなどで稼いだ金でニートのような生活をしている。

 

 「残念だが、俺は働かねぇ!! 母さんと司狼がいればもう何もいらないからな。平穏が一番だ。……それに、金なんて株やFXで稼ごうと思えば稼げるんだから問題ねぇよ」

 

 このようにジューダスはダメ男の典型的な例なのだが、実際のジューダスの通帳は、億を軽く超えている金額である。ジューダスの預金を見たことがある司狼はジューダスが本当に株やFXで稼いだんだなというのが理解できた。

 元々ジューダスの家系であるストライフ家は勘がとても良く、賭け事でも外れることが殆どなかったらしい。

 

 「アナタ。ホットケーキできたわよ。それと司狼おかえりなさい」

 

 「ああ。ただいま母さん」

 

 司狼に話しかけてきた20代に見える綺麗な女性は司狼の母親である遊佐聖菜だ。

 聖菜は大和撫子の様な容姿だが、高校時代の聖菜は今のお淑やかな容姿とは180度違い、バリバリの不良で喧嘩もかなり強かったらしい。

 ジューダスと聖菜が結婚する切っ掛けとなったのは、ジューダスが17歳の時に海鳴に引っ越して来た時、聖菜が敵の暴走族に囲まれていた所をジューダスが助けたことで聖菜にライバル認識された。

 次第にジューダスと聖菜が何回も喧嘩をしていく内にお互い惹かれ合って『PARADISE LOST』でジューダスが人気俳優になった後、結婚した。

 

 「じゃあ、食べるか」

 

 ジューダスは一切れのホットケーキを一口入れると、

 

 「う……う~ま~い~ぞ~~!!」

 

 ジューダスは大声をあげて喜んでいた。司狼は自分の父親のガキっぽい所を見て呆れていた。

 

 「おいおい。近所迷惑だから大声をあげるのは止めろよ馬鹿親父。……痛っ!? 何すんだよ母さん!?」

 

 いきなり聖菜に殴られた司狼は泣きそうになりながら顔を上げると、そこには目の笑っていない笑顔を浮かべている聖菜を見てしまった。

 

 「司狼。貴方のお父さんに向かって馬鹿はダメでしょ? ほら司狼。お父さんに謝りなさい。謝らないとおやつを抜きにするわよ!」

 

 「ははは。まあいいじゃねぇか母さん。子供はこの位生意気じゃねぇと可愛げがねえよ」

 

 ジューダスの一言でなんとか場の雰囲気が元に戻った。普段はダメ親父全開のジューダスだが、ここぞという時にやる気を出すことから、司狼はジューダスのそういう部分を尊敬している部分がある。

 

 「ほら早く食わねえとホットケーキが無くなっちまうぜ?」

 

 「ああ。分かったよ」

 

 司労はジューダスたちに笑顔で見守られながらホットケーキを食べ始めた。

 これは余談だが、聖菜は翠屋のアルバイトをしており、なのはの母親である高町桃子からお菓子作りのコツを教えてもらっているおり、お菓子を作るのは得意になっていた。

 だが時々、失敗して虹色のパンやケーキを作ってしまうことがあり、主に被害を受けているのはジューダスである。

 

 ホットケーキを食べた司狼は部屋に戻って宿題を始めようと思い机に向かった時だった。

 

 「やあ遊佐司狼。君が余りに来るのが遅かったから勝手だと思うがお邪魔させてもらったよ」

 

 そこには蓮の父親で司狼の担任であるカール・クラフト・藤井(コズミック変質者)がいた。

 

 「おいおい。俺に変質者の知り合いなんていないぜ?」

 

 「おや、これは失礼した。だが、君にとって嬉しい情報を持って来たのだがね。まあいらないと言うのなら私はこのまま帰るだけだが」

 

 「まあ待てよ。アンタがここにいるってことは、蓮関係のことなんだろ? (蓮はトラブルメーカーだからつるんでいて退屈がねえからな)」

 

 「然り。現在蓮は……いやこうした方が早い。遊佐司狼一瞬の激痛だが我慢したまえ」

 

 「は?」

 

 司狼がメルクリウスの言ったことに疑問を感じたその瞬間、メルクリウスは司狼の頭に手を乗せた。

 

 「『Disce libens.(喜んで学べ)』」

 

 メルクリウスは魔術を詠唱した。詠唱が終わってすぐ、司狼に蓮が異形と戦っていること、とろは(高町なのはのアダ名)が異形を封印する方法を知っていること、ジュエルシードと呼ばれる宝石に世界を滅ぼすほどの力が宿っていることなどについての知識を頭の中に情報として送られた。

 

 「……あの野郎。俺に黙っておもしろいことしやがって」

 

 司狼は未だ無理やり知識を入れられて頭に激痛が走る中、持ち前の精神力で無理やり蓮の所に向かおうとしたがメルクリウスに止められる。

 

 「まあ待ちたまえ。君にこれを与えよう」

 

 メルクリウスはそう言ってから、ネックレスを司狼に向けて投げた。司狼はネックレスを受け取ってネックレスを見ると、十字架をモチーフにしたデザインのネックレスだった。

 

 「何だよこれ?」

 

 「唯のプレゼントだよ。これからも息子のことをよろしく頼むよ遊佐司狼……いや『ゲオルギウス』」

 

 メルクリウスは次の瞬間、司狼の部屋からまるで影のように転移をして姿を消した。

 

 「っと! そんなことよりも早く蓮の所にいかないとな。正直危なっかしいんだよアイツはよ」

 

 司狼はジューダスたちに蓮の家に遊びに行くと言って家から出た。

 

 

 

 司狼は神社に向かって自転車に乗っていると、竜馬と業が言い争っていた。

 

 「何故昨日は(オレ)の邪魔をした雑種!!」

 

 「それはこっちのセリフだ! お前が邪魔しなければあの化け物を倒せたのによぉ!」

 

 司狼は2人を無視して神社に向かおうとしたが、

 

 「待て。貴様は我が嫁の1人であるアリサを誑かしている雑種ではないか」

 

 竜馬が司狼を見つけてしまい、司狼はうげぇと言いたそうな表情になった。司狼は態度には出さないものの、目の前にいる2人の存在そのものが気に入らなかった。

 竜馬と業は司狼が小学1年の時にふと気がついたときから存在していた。司狼はエリーに頼んで竜馬と業の戸籍と学校の成績についてハッキングを頼んで調べてもらうと、竜馬と業の両親は存在しておらず、学校の成績はオール満点だということを知った。

 ただそれだけならば勉強を頑張っている孤児だと納得するだろう。しかし、2人が住んでいるのは立派な一軒家で生活も何処に金があるのか分からないのに贅沢三昧で最近のテストは平均70点とおかしな部分だらけだった。

 そして司狼はあの2人はこの世界の住人ではないという1つの仮定に辿り着いた。

 その仮定に辿り着いたのには1つの理由がある。それは司狼が幼い頃から様々な知識が頭の中に入っているからだ。

 先程のメルクリウスの魔術によって情報が頭の中に入っても人格がおかしくなったり、頭の中が混乱しなかったのもそのためだ。

 司狼の中に入ってくる知識は、勉強のことに関する情報ではなく、この世界に存在しないマンガやアニメ、ゲームに関する情報、神と呼ばれる存在が死んだ人間に対して特典という名のチートを与えていることについての情報である。

 今目の前にいる2人の内1人が異世界のゲームの登場人物に似ていること。もう1人は異世界のゲームの能力を使っていることから、司狼は2人がこの世界の住人ではないという仮定を立てた。

 元々、司狼は努力していない人間のことが嫌いだからか、大して努力していないのに神から力だけ貰い、驕った態度を取る目の前にいる転生者2人を司狼は道化のようだと哀れみを感じた。

 

 「おい! 聞いているのか雑種よ!」

 

 「何の用だよお坊ちゃま? 自分の思いのままに進まないからって、イラつくなよ。器が小さく見えるぜ?」

 

 竜馬に軽い挑発をする司狼。司狼は早く蓮たちの元へ行きたい為、竜馬が挑発に乗らないことを期待した。

 

 「貴様ァ! どうやら痛い目に遭わなければ、その減らず口を閉じぬようだな!!」

 

 「お、おい! 落ち着けよ竜馬!」

 

 「別に止めなくてもいいぜ? つかよ、精神年齢がおっさんの癖に軽い挑発に乗るなよ転生者(・・・)

 

 司狼の“転生者”という一言で竜馬と業は動きが止まった。

 司狼は動きが止まった2人に対し、ニヤリと笑いながら『ゲオルギウス』をセットアップし、『ゲオルギウス』の主な武器であるデザートイーグルを2人の頭に向けて発射すると、竜馬と業は魔力弾に当たり、何も言えないまま気絶した。

 

 「さてと、早く蓮の所に行かないとな」

 

 司狼は『ゲオルギウス』を解除して、再び神社に向けて自転車のペダルに力を入れた。

 

 

 

 「おいおい。こんなことで……へばってんじゃねえよ蓮」

 

 「それは……こっちのセリフだバカ司狼!」

 

 2人はお互いに見た目が切り傷だらけになっているが、見た目よりも傷は浅く動いて攻撃することに問題は無い。しかし、オルトロスの動きが速い為、2人は勘に頼って避けるだけで精一杯という状態で明らかに不利だった。

 そんな時だった。神社に膨大な魔力が近づいていることに気付きその方向に向くと、そこにはなのはがいた。

 

 「蓮君と司狼君! 私、やっと覚悟ができたよ!」

 

 「バカ野郎! なにやってんだ! とっとと逃げろ!!」

 

 「そうだぜ。早くしろよとろは! っ! 危ねぇ!」

 

 司狼がそう言った時だった。オルトロスはなのはに向かってなのはの体を噛み砕こうとしていた。

 だが、なのはの目の前にピンク色の魔方陣が現れて、オルトロスの攻撃を防いだ。

 

 「レイジングハート! Set Up!!」

 

 なのはがそう言うと、突然なのはの周りに光が現れて、瞬時に聖祥学園の制服みたいな服を着ていた。

 

 「ウソ!? 詠唱なしでセットアップができるなんて。……もしかしてレイジングハートはなのはを正式なマスターとして認識したの!?」

 

 ユーノがかなり驚いている所を見ると、どうやらなのはのやっているのはかなり凄いことらしい。

 

 「なあ蓮。あのクソ犬を押さえる方法が浮かびあがったから、俺があのクソ犬を押さえている間に攻撃しろ」

 

 「分かった」

 

 俺がそう言うと同時に、司狼はデザートイーグルをデタラメな撃ち方で魔弾を放ち、自分の方に攻撃をするように挑発した。

 

 「さっきからコイツの行動パターンが読めてきやがる。これ……見たことあるわ(・・・・・・・)

 

 司狼はさっきまでの行動とは異なり、今まで避けられなかった肉眼では見えないオルトロスの攻撃を避け続けながらデザートイーグルの魔弾をデタラメな角度から8連射する。

 狼が放った魔弾はそれぞれ同じところに集まり、ビリヤードのブレイクショットのように弾け、全部の魔弾がオルトロスの体に当たり、オルトロスの動きを一瞬止めることに成功する。

 

 「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

 司狼が生み出したオルトロスの隙を逃すまいと蓮は疾走し、その勢いでオルトロスの首をギロチンで刎ね、一瞬で再生できないように体も一刀両断にする。

 

 「今だ! 早く封印しろ!!」

 

 蓮がなのはに封印をするように叫ぶと、なのはは魔法陣を展開しながら、レイジングハートと呼ばれる杖をオルトロスに向かって振り下ろした。

 

 「ディバイン・バスターァァァァァァ!!」

 

 なのははレイジングハートから魔力でできたピンク色の光線をオルトロスに放つと、オルトロスは再生が追いつかないまま光線に直撃する。

 

 「ジュエルシード封印!!」

 

 そして、なのはは好機を逃さず、ジュエルシードを封印する為の詠唱をすると、オルトロスからジュエルシードが現れ、そのまま地面に落ちる。

 すると、オルトロスは姿を消し、気絶しているチワワが現れた。どうやらこのチワワがジュエルシードの媒体になったみたいだ。

 

 「おいおい。なんだよあの破壊光線は? ドラ○ン・ボー○の技かよ?」

 

 「さあな? 多分本人は否定すると思うけど」

 

 蓮と司狼はなのはの魔法に唖然としていると、なのはが蓮たちに向かって走って来た。

 

 「蓮君。私忘れてた。何事にも全力全開で頑張るってこと。これからは遊びだとは思わないから蓮君とユーノ君のお手伝いをさせてください!!」

 

 「……好きにしろ」

 

 蓮はなのはの決意に何も言えなくなってしまい、そっぽを向いてなのはに許可を出すと、なのはは笑顔になって蓮に抱きついた。

 

 「(まあ、なのはが無理をしそうになったら俺が止めればいいんだ)」

 

 蓮はなのはが無理をしないように気をつけることを決意した。蓮の表情を見た司狼はニヤニヤした顔で蓮に近づく。

 

 「とろはが良いんだったら俺も良いよな?」

 

 「ちょっと司狼君! 私全然トロくなんかないよ!?」

 

 「……まあいいけど、足手纏いになるなよ司狼」

 

 「了解」

 

 「(まあ、色々あったけど。無事に済んで良かった。……けど、本格的に父さんに鍛えてもらわないと、軽い怪我だけですまなそうだ)」

 

 蓮は新たな決意を決め、なのはと司狼の3人でそれぞれの家に着いた後に別れた。蓮が家に帰ると、蓮に傷ができていることに気づいたメルクリウスが不器用ながらも蓮の傷の手当てをした。

 


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