ハイスクールD×B×F   作:ゴンサレス斎藤

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第23話

 

 ~放課後・駒王学園~

 

 

 

 兵藤Side

 

 

 

『放課後、私の使いを出すから』

 

 

 

 その言葉を聞いた俺は、授業が終わっても教室に残っていた。いつもなら松田・元浜と一緒に遊びに行くのだが、今朝の一件で二人とも呪詛めいた視線を向けながら足早に帰ってしまった。教室に残っている生徒も、こちらを見ながら小声で話し込んでいる。こちらもどうやら同じ理由みたいだ。ただ一人、この話に参加してない人物がいた。グレモリー先輩の使いが来るまでその人物と話そうと思い、近づいていく。

 

 

 

「よぉ、東雲」

 

 

 

「どうしたんです?兵藤君」

 

 

 

「いや、なんか落ち着かなくて、少し話がしたいんだ」

 

 

 

「落ち着かない?・・・あぁ今朝の件ですね」

 

 

 

「そうなんだ。あれのせいで朝から質問攻めで、休み時間になるたびにクラス中から、教室を出れば他のクラスから、1年から3年まで男女問わず選り取り見取りだったぜ」

 

 

 

「まぁ、学園のお姉さまとまったく逆の意味での人気者の兵藤君とじゃみんな驚きますよ」

 

 

 

「うぅ・・否定できない。・・・東雲は何も聞かないのか?」

 

 

 

「誰が誰と一緒にいようがそれはその人たちの自由です。それに口を出すほど野暮なことはしませんよ。周りが何を言おうが関係なくいれば良いんですよ」

 

 

 

「・・・前々から思ってたけど、お前、いいやつだな」

 

 

 

「私はいい人ではないですよ。昔も今も・・そしてこれからも」

 

 

 

「??・・・それってどう言う『『『キャーーー』』』っと、なんだ?」

 

 

 

 東雲の言葉の意味を聞こうとしたが、廊下から黄色い歓声が起こった。廊下のほうに目を向けると、そこには学園一のイケメン王子である木場祐斗がいた。

 

 

 

「えっと、兵藤君だね?リアス・グレモリー先輩の使いで来たんだけど」

 

 

 

「・・・OK、でどうしたらいい?」

 

 

 

「僕についてきてほしいんだ」

 

 

 

 イヤー!

 

 

 

「そんな!木場君があんな奴と一緒にいるなんて!」

 

「見たくない!見たくないわー!」

 

「・・・木場君は是非とも東雲君を誘えばいいと思う(ボソッ)」

 

「「「それだ!!これで勝つる!!!」」」

 

 

 

 などとわけのわからないことを言われている。

 

 

 

「あー、分かった。じゃあな東雲、また明日」

 

 

 

「えぇ、兵藤君また明日」

 

 

 

 

 

 

 

 木場の後について歩いていくと、向かった先には校舎の裏手にある旧校舎だ。現在使用されていなく、人気がなく不気味で学園の七不思議がある場所だ。旧校舎の中に入っていくと二階に上がっていき、とある教室の前に着く。

 

 

 

『オカルト研究部』

 

 

 

「オカルト研究部!?」

 

 

 

「そうだよ、ここに部長がいるんだ」

 

 

 

 そう言い部屋に入っていく木場についていくと、部屋の中の壁、床、天井には見たことないような文字が所狭しと書かれていた。そしてそのまま部屋を見回してると目の前のソファーに女の子が一人座っていた。俺でも知っている!一年生の塔城小猫ちゃんだ!一部の男子に人気があって、学園のマスコット的な存在の子だ。

 

 

 

 シャー。

 

 

 

 部屋の奥から水の流れるような音がきこえた。

 

 

 

「部長、これを」

 

 

 

「ありがとう、朱乃」

 

 

 

 そこにはカーテン越しではあるが、女性の肢体が光の加減によって映りだしている。そしてその声は何度も聞いているリアス・グレモリー先輩の声だ。だとするとその肢体は先輩の!?俺はその光景を脳内に保存した。これでしばらくは不自由しなさそうです。

 

 

 

「・・・いやらしい顔」

 

 

 

 いやらしい顔してましたかごめんなさい。だっておれだって男だもん!

 

 

 

「ごめんなさい。昨夜いっせーの家に泊まったままでシャワーを浴びてなかったから」

 

 

 

 カーテンを開けリアス先輩が出てくると、その後ろから一緒に出てきた人物に俺はまたも驚愕した。そこにいたのは学園の二大お姉さまの一人。リアス先輩と同様男女ともに人気がある姫島朱乃先輩がいた。

 

 

 

 リアス先輩の紅い髪も美しいが、姫島先輩の黒髪ポニーテールも美しく、その佇まいも大和撫子を彷彿とさせるため、これまた人気がある理由の一つだ。

 

 

 

「あらあら。はじめまして、私、姫島朱乃と申します。お見知りおきを」

 

 

 

「は、初めまして!俺、兵藤一誠です!」

 

 

 

「うん、これで全員揃ったわね。兵藤一誠君。いえ、イッセー」

 

 

 

「は、はい!」

 

 

 

「わたしたちオカルト研究部はあなたを歓迎するわ・・・悪魔としてね」

 

 

 

「はい!・・・はい!?」

 

 

 

 

 

 ~説明中~

 

 

 

 

 

「・・・えっとつまり、夕麻ちゃんは本当はレイナーレという堕天使で、あの男も堕天使で、俺が狙われた理由が神器っていうのを持っているからだと、そういうことなんですか?」

 

 

 

「そうね。簡単に言うとそういうことになるわ」

 

 

 

 先輩たちは結構細かく説明してくれたのだが、俺の脳内では処理が追い付かず、要点だけをつなぎ合わせた回答だが、どうやら合っていたらしい。

 

 

 

「じゃああの時、夕麻ちゃん・・じゃなかった。レイナーレが俺を殺そうとしたとき助けてくれたのも先輩たちだったんですね!」

 

 

 

 その質問をした時、部屋の中の人たちは全員ポカンとした。

 

 

 

「?いいえイッセー。そのことは私たちも知らないわ。そもそも貴方と会ったのは昨日が二度目だけど、他のみんなからもそんな話は聞いてないわ」

 

 

 

「え?・・・じゃああの時は誰が・・・」

 

 

 

「そういえばあの男。変なことを口走ってたわね。『先程の奴は貴様の配下のものだったのか』って。彼は一体誰のことを言ってたのかしら?」

 

 

 

 疑問を口にするも誰もその疑問に答えられるわけもなく、ただ部屋の時計の秒針だけが、コチッ・・コチッ・・っとリズムよく聞こえるだけだった。

 

 

 

「あら、お茶が冷めてしまいましたね。ちょっと入れなおしてきますわね」

 

 

 

 そう言うと、朱乃さんは部屋の奥にある厨房へと入っていった。

 

 

 

「ふぅ、まぁこの件は保留にしましょう。その人物の正体が何者かわからないけど、こっちでも調べてみるわ。いい人材なら勧誘してみようかしら?」

 

 

 

 考え込むリアス先輩は凛々しく、それだけでも絵になるようだった。

 

 

 

「あぁ、ところでイッセー。何か他に質問はあるかしら?」

 

 

 

「えっと、この部屋で気になったことがあるんですが・・・」

 

 

 

「あら?何か変かしら?」

 

 

 

 いや、先輩。壁とか床にこれでもかっていうほどの訳わかんない文字だか数字だかがあるんですが、まぁそれでも一番気になってるのは、

 

 

 

「あの、壁にかかっている物なんですが、この部屋とは不釣り合いなんですが、あれは?」

 

 

 

 指さす方向に皆視線を向けると、その先には壁にかかった狐の仮面があった。

 

 

 

「あぁ、あれは朱乃の私物よ」

 

 

 

「え?朱乃先輩の?」

 

 

 

「えぇ、あれは朱乃がいつも持ち歩いていてね、部室に来たときはいつもあの場所に掛けてあるのよ」

 

 

 

「へぇ~そうなんですか」

 

 

 

「そして、朱乃の初恋の相手のものなのよ」

 

 

 

「・・・・・・えぇ!?」

 

 

 

 先輩の言葉に一瞬何を言っているのかわからなかったが、その意味を知った時に絶望感を感じた。

 

 

 

「あ・・朱乃・・さん・・の・・・初・・恋・・」

 

 

 

「えぇそうよ。あの仮面は朱乃が幼いころの出来事で会った子が持っていたもので、あぁやって持ち歩いていることでまたその子に会えるんじゃないかと思っているのよ」

 

 

 

「だ、誰なんですか!そんなうらやまけしからん相手はぁぁぁぁ!!」

 

 

 

「それがね、わからないのよ」

 

 

 

「??わからない?」

 

 

 

「えぇ、その子は名前も名乗らずに姿を消して、仮面も後から拾ったものだから顔もわからないのよ」

 

 

 

「・・・その男の子が自分だって名乗ったらどうします?」

 

 

 

「多分あなた、朱乃を怒らせた挙句、消し炭にされるでしょうね」

 

 

 

「そこまで重罪なことなんですか!?」

 

 

 

「その子の特徴を知っているのは朱乃だけだから一発で嘘だとわかるだろうし、あの子の思い出はあの子だけのもの。誰にもそれを否定することはできないし、心境が変わることはないものよ」

 

 

 

 それを聞いたとき、俺は会ったこともない朱乃先輩の初恋相手にそれほど想われていることにうらやましいと思ったのが半分。あとの半分は恨みともとれるような呪詛を浴びせた。

 

 

 

「さて、今日はここまでにしましょう。明日からイッセーには悪魔としての仕事をしてもらうからそのつもりでね。それと私のことは部長と呼ぶように。いいわね?」

 

 

 

 考え事をしていると、リアス先輩から明日のことについての説明を受けていたことに気づく。

 

 

 

「わかりました部長。明日から『悪魔』を教えてください!」

 

 

 

「フフフ、いい返事ね。やる気がある子は好きよ」

 

 

 

 その“好き”という言葉だけで俺の頭の中は蕩けた。よっしゃー!やってやるぜ!悪魔を。そして悪魔の説明を受けた時に聞いた!悪魔は複数の女性を自分の『眷属』にする事ができることを。その為には悪魔の階級、爵位を得なければならないが・・・。つまり自分の眷属は女性だけにすることができる!要はハーレムだ!男の夢!今ここに見たり!!

 

 

 

 こうして俺は、オカルト研究部の末席に名を連ねることになった。

 

 

 

 

 

 


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