ハイスクールD×B×F   作:ゴンサレス斎藤

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第19話

 

 

 

 ~放課後~

 

 

 

 もはや日課になっているのか、日向は部活動の助っ人として、兵藤・松田・元浜は女子の着替えの覗きに、それぞれ行動し始めた。そして颯はというと、

 

 

 

「失礼します」

 

 

 

「おや、また来たのかい?」

 

 

 

「はい、また手伝いに来ました」

 

 

 

 放課後になると頻繁に用務員室に来ては、学園内の清掃や雑務などを手伝っている。入学初日に用務員の人の手伝いをしてからは、なにかと面倒見の良い颯は、オジサンの怪我が治るまでは手伝うつもりだったが、怪我が治ってからも今では進んで手伝っている。

 

 

 

「じゃあ、今日は体育館裏の掃除でもしてもらおうかねぇ」

 

 

 

「わかりました」

 

 

 

 そう言うと颯は、作業着に着替え、箒とゴミ袋を持って掃除場所へと向かった。

 

 

 

 体育館裏は人通りは少ないが、風などにより紙くずや若葉などが落ちているため、掃くだけでも一苦労であった。ある程度作業をしていると、

 

 

 

「元浜!松田!こっちだ、早くしろ!」

 

 

 

「そもそもイッセー!お前が邪魔しなければ、見つかることが無かったんだぞ!」

 

 

 

「そうだぞ!イッセーが後ろから押さなければあいつ等に見つかることは無かったんだ!」

 

 

 

「俺を頬って置いて二人だけで女子の着替えを覗くなんてありえないだろ!」

 

 

 

 体育館の曲がり角から、大声で口論しながら全力疾走している変態三人組、兵藤・元浜・松田が何かから逃げていた。

 

 

 

「「「ま――――て――――!!」」」

 

 

 

「やばい!このままじゃ追いつかれるぞ!」

 

 

 

「こうなったら、そこの垣根に逃げ込むぞ!」

 

 

 

「そうだな!あ、いい所に。お――い東雲!」

 

 

 

 颯に近づく三人組、颯は動かずに待っていた。

 

 

 

「東雲、俺たちはこれからその後ろの垣根に隠れるから、これから来る女子たちに俺たちは通り過ぎたと言ってくれ。女子たちがいなくなったら退散するから、頼んだぜ!」

 

 

 

 そういうと、有無を言わさず、近くの垣根に身をかがませる。その数秒後・・・

 

 

 

「あ、東雲君。いい所に」

 

 

 

「こっちにあの三人組がこなかった?」

 

 

 

 数人の女子が追いかけに来たが、見失い、近くにいた颯に目撃してないか聞きに来た。すると颯はポケットから生徒手帳を取り出し背後にいる三人に気づかれないようにメモを書くと、それを見せ、こう言った。

 

 

 

「あの三人ならここをまっすぐ走って行きましたけど・・・」

 

(三人は後ろの垣根に隠れています。隙を突いて捕まえてください)

 

 

 

 それを見せると女子たちは、頷きあい、わざとらしい声を上げた。

 

 

 

「あっちね、ありがとう。追うわよみんな!」

 

 

 

 女子たちはそのまま走り去って行った。その後で垣根から三人が出てきた。

 

 

 

「助かったぜ東雲。恩に着るよ」

 

 

 

「それはいいけど、三人は懲りないですね。いいかげんその行いを止めたら如何ですか?どの道、制裁に合うんだし、いいことなんて無いですよ?」

 

 

 

「なにを言っている!こんな女の子の多い学園で覗きをしないなんて、なんてもったいないんだ!」

 

 

 

「・・・どういうことですか?」

 

 

 

「俺たちにとってここは楽園だ!その楽園で楽しみを求めてなにが悪い!」

 

 

 

「そうだ!その楽園で俺はあらゆる女子のいろんな角度の写真を納めるんだ!」

 

 

 

「俺は、その女子の体系を記録し」

 

 

 

「俺はそれを元に、おっぱいの大きい娘を彼女に!」

 

 

 

「「「俺たちの夢のために!!!」」」

 

 

 

「・・・・まぁ、貴方たちがそれを望むのなら、私からこれ以上は言いませんが、報いは受けてもらわなければなりませんね」

 

 

 

「「「?」」」

 

 

 

 ガシッ

 

 

 

「つ~~か~~ま~~え~~た~~わ~~よ~~」

 

 

 

 三人の肩に複数の手、驚いた三人はギギギッと機械のような動きで後ろを振り返ると、そこには先ほどまで自分たちを追いかけていた女子たちが薄ら寒くなるような笑顔で肩をつかんでいた。

 

 

 

「な、なんでここが!?」

 

 

 

「親切な人が教えてくれてね、あんた達が油断して出てくるのを待っていたのよ!さぁ、制裁の時間だ!」

 

 

 

「「「イヤ~~~~~~!!!」」」

 

 

 

 女子たちは三人を捕まえたまま、引き摺って行き、捕まった三人はこれから自分たちがどのような目にあうか、想像しただけで恐怖し、絶叫を上げていた。その際、三人は颯に助けを請うが、颯はただ傍観し、手を振るだけだった。

 

 

 

 

 

 その日の終わり、学園からはまだ生徒たちの声が聞こえる。颯は屋上へ行き、護衛対象の位置を一瞬の魔力探知を行い把握した後、すぐさま自分の魔力の放出を停止した。

 

 

 

「ふむ、グレモリーは学校敷地内の旧校舎、シトリーは校舎内の生徒会室か、入学して一年、ここまで大きな変化はなし、引き続き護衛の任務を継続する」

 

 

 

 その直後、屋上のドアが開き、一人の女子生徒が出てきた。

 

 

 

「あらあら、この時間にまだ生徒がいるなんて、思っていませんでしたわ」

 

 

 

「それはこちらの台詞ですよ、姫島先輩」

 

 

 

 扉から出てきたのは姫島朱乃。リアス・グレモリー、ソーナ・シトリーと同じ三年生で、リアス・グレモリーと共に、学園の二大お姉さまと言われている人物だ。

 

 

 

「私は先生に呼ばれていましたけど、来客中だったので時間をつぶそうと思って、東雲君は?」

 

 

 

「私は手伝いで屋上の見回りに来たんですよ。それにしても、よく自分の名前を知っていましたね?」

 

 

 

「学園でも噂になってるんですよ?生徒がよく用務員さんを手伝っているって。それで興味本位で調べている人がいて、名前が判明したんですの」

 

 

 

「(本人の知らないところでそんなことが)そうでしたか、では私はもう帰りますので、ここを閉めたいと思いますんで、えっと、鍵は・・・」

 

 

 

 颯がポケットから屋上の鍵を出すと、

 

 

 

「なんでしたら、私が職員室に行ったときにでも返却しておきますわ」

 

 

 

「そうですか、すいませんが宜しくお願いします」

 

 

 

 姫島先輩に鍵を渡すと、颯はそのまま校舎の中へと入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 颯が去った後、姫島朱乃は、二つの通信用の魔方陣を展開した。一つは自分の所属しているオカルト研究部の部長、リアス・グレモリーに、もう一つは生徒会会長、ソーナ・シトリーこと支取蒼那へ。

 

 

 

「リアス、会長、屋上に着きましたわ」

 

 

 

『OK、朱乃。異常はある?』

 

 

 

「魔力を感じたと聞いて調べに来ましたけど、特に不振な人物は見られないわね、男子生徒が一人いたけど、魔力は感じられなかったわ」

 

 

 

『その男子生徒はだれですか?』

 

 

 

「会長、東雲 颯君ですわ」

 

 

 

『ああ、彼ですか』

 

 

 

『知ってるの、ソーナ?』

 

 

 

『逆に何で知らないんですか?彼はこの学園で生徒会より動いてくれる生徒で、一部生徒からは《学園の影の生徒会長》と言われている人物ですよ?それともう一つ、彼は私の眷属候補なんですから』

 

 

 

『でも、調べたけど、そんな突出した才能があるようには見えなかったけど』

 

 

 

『才能有る無しに関係なく、彼の行動はすでに生徒としての枠組みを超えています。他者のためにあれだけ積極的に動ける生徒はいません。彼には私の夢のために必要な人材です』

 

 

 

『それで、アプローチはかけたの?』

 

 

 

『いえ、まだです。一般生徒なのでまずは生徒会に入ってもらおうとは思っています。それに、才能有る人物が必要なら、東雲君と同学年に日向君がいますけどどうなんですか?』

 

 

 

『確かに才能は有るけれど、あまりいい噂を聞かないし、協調性に欠けるのも問題だから勧誘はしないわ』

 

 

 

『まぁそうですね。彼はちょっと別の意味での問題児ですからね』

 

 

 

『まぁいいわ。朱乃、異常がないなら引き上げて頂戴』

 

 

 

「了解しました、部長」

 

 

 

 

 

 

 

 兵藤は帰路につこうとしていた。何時ものように女子生徒たちからの熱い制裁を受け、松田・元浜と共に気絶していたが、眼がさめると、いつの間にか二人は消えていた。どうやら自分より早く目覚めて、そのまま放置して帰ってしまったらしい。なんとも薄情なやつらである。今度新作のエロDVDを一番に見る権利をもらおう。そう考え校舎から出ようとすると、一人の女子が校門前に立っていた。この学園とは違う制服なので、他校の生徒だと言うのはわかるが、もうほとんど人がいないのに誰を待っているんだろうと考えていると、その女子と目が合うと、その女子が小走りで近寄ってきた。

 

 

 

「あの!兵藤一誠君ですよね!」

 

 

 

「そ、そうだけど・・・」

 

 

 

 いきなり声をかけられたので、驚いてしまう。

 

 

 

「わ、私、天野夕麻って言います。お願いです!私と付き合ってください!」

 

 

 

 

 

 ~翌日~

 

 

 

 颯はいつもの通り、授業が始まる前に読書をしていると、クラスの問題児が近づいてきた。

 

 

 

「やぁ、おはよう、東雲君。今日もいい天気だね!」

 

 

 

 上機嫌な上に、大声で挨拶する兵藤一誠がにこやかな顔で近づいてきた。その後ろでは、松田と元浜がこの世の終わりみたいな絶望した表情をしていた。

 

 

 

「おはようございます、兵藤君。どうしたんですか?ずいぶん機嫌が良いようですが?」

 

 

 

「お、わかっちゃう?わかっちゃうか~」

 

 

 

 実にわざとらしい困り口調で、にやけていた。

 

 

 

「じつは、俺にとうとう、彼女が出来ました!!」

 

 

 

「・・・・・・・・」

 

 

 

 突然の宣言に颯は最初言葉も出なかったが、すぐにノートとペンを取り出して、筆を走らせ、紙を破ると、それを兵藤へと渡した。

 

 

 

「なんだこれ?」

 

 

 

 そこには、いくつかの病院・大学病院の名前が書かれていた。

 

 

 

「そこには、精神科のいい先生がいるから、相談してみてください。『僕はついに妄想で彼女が現実に現れるようになりました』って」

 

 

 

「いや、妄想じゃないから!?」

 

 

 

「じゃあ、薬物による幻覚ですか?だめですよこの年で犯罪に手を染めるのは。まだ初犯で未成年ですから、情状酌量の余地があります。今すぐ警察に自首してください」

 

 

 

「いや、薬物でもないから!見ろ、証拠に写真まで撮ってあるんだからな!」

 

 

 

 そう言って携帯電話を出して画面を見せると、黒髪の清楚な女の子が写っていた。

 

 

 

「どうだ!これで本物だって信じただろ!」

 

 

 

「君、さてはこの娘の弱みを何か握りましたね?そして、『暴露されたくなかったら俺の彼女になるんだな』といって無理矢理手篭めにしたんですね。なんて人だ、最低だ」

 

 

 

「いや違うから!この娘の方から告白してきたんだって!」

 

 

 

「これで確信しました。その娘は美人局に違いない。きっと君が彼女と町で一緒にいる時にその娘の本当の彼氏が現れて『なに人の彼女に手ぇ出してんだよ~!!』といって路地裏に連れられて、ボコボコにした挙句、有り金を奪われて、最後はゴミのように捨てられるのですね。かわいそうに。今のうちに病院の予約と謝罪の言葉を考えておいたほうがいいですよ?」

 

 

 

「何でそんな考えになるんだよ!お前の考え方怖すぎるだろう!」

 

 

 

「君の今までやってきた行動でどこをどうやったら彼女が出来るのか不思議でしょうがないのですが」

 

 

 

「うぐっ」

 

 

 

 その反論に、兵藤は言い返せなかった。

 

 

 

「じゃあ、今日デートするからそのときに会って確かめてみろよ」

 

 

 

「そうですね、どんな物好きが君を彼女にしたのか興味がありますね」

 

 

 

「いちいち毒を吐くな、毒を!」

 

 

 

 

 

 その日の放課後、颯は兵藤と一緒に件の彼女を一目見ようと、校門前で待っていた。すると・・・

 

 

 

「イッセーく~~ん」

 

 

 

 兵藤の名前を呼びながらこちらへ走ってくる他校の女子生徒が近づいてきた。

 

 

 

「イッセーくん待った?」

 

 

 

「いや、大丈夫だよ夕麻ちゃん」

 

 

 

 そこには、先ほど携帯に写っていた黒髪の女の子がいた。

 

 

 

「イッセーくん、そちらの人は誰?」

 

 

 

「ああ、紹介するよ、同じクラスの東雲だ。俺に君みたいな彼女が出来たのが不思議らしくて、夕麻ちゃんを紹介したくて呼んだんだよ」

 

 

 

「そうなんだ。あ、天野夕麻と言います。はじめまして、イッセーくんの彼女です」

 

 

 

 黒髪の少女、天野夕麻は颯に向かってお辞儀をした。その隣で、兵藤は本当だったろうという表情でいた。

 

 

 

「天野さん」

 

 

 

「はい?」

 

 

 

「兵藤のどこに惚れたんですか?」

 

 

 

「お~~~い!!」

 

 

 

 颯は本人のいる前で堂々と理由を聞いてきたので、兵藤は叫んだ。

 

 

 

「えっと、裏表のないところですかね、自分に正直なところが気に入ったと言うか・・」

 

 

 

「夕麻ちゃんも恥ずかしいこと答えなくていいから!」

 

 

 

 そんな二人のやり取りを見ている颯は、もう帰ろうとしていた。

 

 

 

「まぁ、兵藤に彼女がいるのはわかりましたので、これで失礼いたします。ごゆっくり」

 

 

 

 そういうと、颯は足早にその場から去っていった。

 

 

 

「えっと、変わった人ですね」

 

 

 

「まぁ、口は少し悪いけど、そんな悪いやつでもないから、憎めないんだよね」

 

 

 

「・・・それで、これからどこへ行く?」

 

 

 

「あぁ、そうだね、これから・・・」

 

 

 

 兵藤は始めてのデートだと言うことで、昨夜はいろんな情報誌を確認して、近場のデートスポットを確認して、雰囲気の良い店をチェックし、夕麻ちゃんに嫌われないようにするために入念に準備し、失敗しないように準備をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・相手がどんな思いでいるのかは知らずに・・・

 

 

 

 

 

 


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