ハイスクールD×B×F   作:ゴンサレス斎藤

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第17話

 

 

 三月・駒王町

 

 

 

 春の花である桜が各所でぽつぽつと咲き始めたころ、町内の五階建てのアパート。部屋数が各階四部屋の最上階の一フロアの一室に颯はいた。

 

 

 

「なぜ、一人しか入らないのに一フロア貸切にするんですかね、サーゼクスさん」

 

 

 

 今目の前にいない依頼人に向けての不満を言ったところでどうにもならないが、今ある現実を受け止めるしか颯に選択肢は無かった。

 

 

 

「とりあえず、駒王学園の入学式まで後一ヶ月。今はこの周辺の地形と危険箇所の確認、後対象護衛の不要な接触は避けなければならないな」

 

 

 

 颯はこれからの仕事に関する内容の確認と駒王町の地形の確認に気づかれないように気配の遮断など入念な準備を開始した。

 

 

 

「それに、もし相手が使い魔を有していたらと考えると、日常でも気をつけなければならないな。目立つ行動は避けて、なるべく一生徒として過ごさなければ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~それから一ヵ月後~

 

 

 

 四月・駒王学園・入学当日・校門前

 

 

 

「(あっという間の一ヵ月。これからの学園生活をしながら護衛対象を見守ると考えるとどうにも忙しくなりそうだな)」

 

 

 

『そうは言うが主よ、ここに至ってはもはやどうしようもない。それに主だけに負荷を負わせはしない。我等もいずれは力になりましょうぞ』

 

 

 

「(その時は遠慮なく頼らせてもらうよ、氷輪丸)」

 

 

 

『ねぇねぇ。この学園さぁ、ちょっとみて回りたいんだけど、実体化してもいい?』

 

 

 

「(いいわけないでしょう雀蜂。もし護衛対象者やその関係者に見つかったら捕まって実験材料になりかねないですから)」

 

 

 

『大丈夫だよ、見つかったら逃げるから』

 

 

 

「(それでも騒ぎにはなりますからやめてくださいね)」

 

 

 

 精神世界での会話を終え、学園の校門をくぐり抜け、入学式に参加する為体育館へ向かおうとする途中、生け垣の近くに作業着姿のオジサンが箒を持ったまま蹲っていたため、颯はすぐに近寄って行った。

 

 

 

「オジサン、どうしました?」

 

 

 

「いやぁ、ちょっと膝が痛み出してな、少し休んでいたんだよ」

 

 

 

「そうですか。何か手伝うことはありますか?」

 

 

 

「いや、そんな生徒にやらせるわけには・・・」

 

 

 

「気にしなくてもいいですから、それよりも早くオジサンは休んでいてください。後はやっておきますから」

 

 

 

「すまないね。それじゃあこのあたりの掃除だけお願いするよ」

 

 

 

 その後、用務員のオジサンを休憩室へ運んだ後、置いていった箒を手に持ち、やりかけの仕事を始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~30分後~

 

 

 

 ある程度の範囲を掃除し終え、次の場所へ行こうとした時だった。

 

 

 

「そこの貴方!何をしているのですか!もうすぐ入学式が始まるのですよ」

 

 

 

 背後で大きな声がしたので振り返ると、見覚えのあるメガネ顔の学園女生徒が近づいてきた。

 

 

 

「早く体育館へ行ってくださいって、あなたもしかして新入生ですか?」

 

 

 

「はい、そうですが」

 

 

 

「なぜあなたがこのようなことを?」

 

 

 

 この様な経緯になった説明をする。

 

 

 

「なるほど、そういうことでしたか。ですがあなたは新入生です。どうして先生なり生徒会に連絡に来なかったのです」

 

 

 

「すみませんでした。付近に教師と生徒会の方がいなかったので、それと早く休ませないと症状はさらに重くなりそうだったので、急ではありましたがこうしました」

 

 

 

「わかりました。あなたのとった行動は間違っていますが、この学園を私は愛していますので、生徒会の一人として私はあなたにお礼を言います。ありがとうございます」

 

 

 

 そう言うと、深々と頭を下げた。

 

 

 

「いえ、こちらこそ勝手なことをしてしまい申し訳ありませんでした」

 

 

 

「さぁ、ここはもういいですから、早く式に参加する用意をしてください」

 

 

 

 そう促され、颯は小走りで校舎に向かう。

 

 

 

「(さて、困ったことになりました。目立たないように気をつけていたのに、いきなり目立ってしまい、尚且つ護衛対象の一人に会ってしまうとは)」

 

 

 

 下駄箱につき、後ろを振り返ると、どこかに電話している先程の女生徒、ソーナ・シトリーがいた。

 

 

 

「(まぁ、そう何度も会うこともないでしょうから、ここは早々に立ち去りましょうか)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~体育館・入学式~

 

 

 

 新入生が入場し終え、在学生の催し物をやっている最中、颯はもう一人の護衛対象、リアス・グレモリーを探そうとしていたが、すぐに見つけた。

 

 

 

 それもそのはず。全校生徒の中で、一際目立つその紅い髪は、まるで見つけてくれといった色だった為、苦労せずにすんだ。式の終了後、それぞれの割り当てられたクラスへ行き、席に座るが、それぞれ親しい友人同士が集まり、談笑したりしていたが、知り合いのいない颯は静かに待っていた。

 

 

 

「(それにしても、この学園は在校生を見てみると、どうも女子の比率が多い気がしますね)」

 

 

 

 周りを見ても、圧倒的に女子のほうが多い教室で、学園内の事をまるで把握していなかった颯は、近場にいた、男子に声をかけた。

 

 

 

「すいません。ちょっといいですか?」

 

 

 

「ん?なんだ?」

 

 

 

「どうしてこの学園には女子生徒が多いんですか?」

 

 

 

「ええ!?おまえそんなことも知らないでここに入ったのかよ!」

 

 

 

「はぁ、まぁ仕方なくというか、ちょっとした事情がありまして」

 

 

 

「そっか。いいか、ここの学園はもともと女学園で最近共学になったんだ。でもその名残からか、いまだに男子の数が少なくて、女子の比率が多いんだ」

 

 

 

「なるほど」

 

 

 

「その学園で、俺はハーレムを作る!!」

 

 

 

「え?」

 

 

 

「女子が多いこの学園に入れば、彼女がいない俺でもすぐに出来ると思うんだ!それどころか、二人、三人と出来るかもしれないだろ!俺がこの学園を選んだのはそれが理由なんだ。ここの学園の入試は難関といわれていたけれど、女の子と一緒に過すために俺は寝る間も惜しんで勉強して、ついに合格したこの学園で、俺だけのハーレムを作るんだ!」

 

 

 

 男子生徒は自身の志望理由を声高らかに叫んでいた。

 

 

 

「それは、まぁ・・がんばってください」

 

 

 

 それしか受け答えが出来なかった。

 

 

 

「(この人は自分の欲望に忠実な方なんですね)」

 

 

 

「おお!そういえば初対面だけど、お前の名前は?」

 

 

 

「ああ、すいません、申し遅れました。東雲颯といいます。あなたは?」

 

 

 

「俺の名前は兵藤一誠。これから宜しくな」

 

 

 

 二人は握手をしてその場を分かれた。予断だが、このときの宣誓を聞いた女子生徒はその日のうちにそのセリフが全クラスへ行き渡り、一気に男子の中の好感度ランキングの最低ランクになった。

 

 

 

???「あいつ、だれだ?原作にいないぞ。まさか、他の転生者か?」

 

 

 

 

 

 


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