ハイスクールD×B×F   作:ゴンサレス斎藤

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第16話

 

 

 ~数分後~

 

 

 

「ゴホン。失礼した。こちらが本当の写真だ」

 

 

 

 今までのやり取りを無かったことにしたいのか、急に真剣な顔つきになって改めて護衛対象の写真入り封筒を渡した。中身は先ほどの写真とは打って変わって対象の少女達が大人びた姿が写っていた。

 

 

 

「この二人は今どこに?」

 

 

 

「極東の国・日本の駒王町にいる。そこの駒王学園に行ってもらうのだが、ちなみに君の年齢は?」

 

 

 

「先月、一五歳になったばかりですが」

 

 

 

「では、来年より、というよりもあと数ヶ月しかないが、新入生として学園に入学してもらいたい」

 

 

 

「承知しました。その前にいくつか条件があるのですが」

 

 

 

「条件?」

 

 

 

「はい、それは・・・・」

 

 

 

 

 

 ~省略~

 

 

 

 

 

「・・・以上です」

 

 

 

「・・・・・・・・・・・」

 

 

 

 サーゼクスは目を閉じながら考え込むこと数分

 

 

 

「よかろう。そちらの条件を飲もう」

 

 

 

「ありがとうございます。では「ねぇねぇ☆」・・はい?」

 

 

 

 話が一段落して立ち去ろうとしたが、セラフォルーに呼び止められた。

 

 

 

「なんでキミ仮面してるの?」

 

 

 

「今それを聞きますか。一応私は人前に素顔を出したくないのです。あまり顔を知られると昼間からでも目をつけられそうなので、これは所謂夜の顔です」

 

 

 

「でもここには私たちしかいないから大丈夫だよ☆と言う訳で取って見せてよ」

 

 

 

 そう言うと同時に椅子から立ち上がり、颯に近付き仮面に手をかけようとしたが、颯は上半身を仰け反らせながら仮面に手がかからないように避ける。

 

 

 

「や、やめてください」

 

 

 

「え~~。いいじゃん減るもんじゃないし。素顔見せてくれてもいいじゃん☆」

 

 

 

「ですから、それには理由が「隙あり!!」ありません!」

 

 

 

 セラフォルーはジャンプして仮面をはがそうとしたが、高速移動術『瞬歩』で後方に下がる。

 

 

 

「ちぇ~~、ケチ~~」

 

 

 

「ケチじゃありません」

 

 

 

「でもそれじゃあ、学生手帳なんか写真を貼らなくちゃいけないけど、どうするの?」

 

 

 

「それはこちらで用意しますから、手帳だけ後日ください」

 

 

 

「ん~~~~、しょうがないなぁ」

 

 

 

 ようやくセラフォルーは諦め、テーブルに戻る。

 

 

 

「では、後日、君の駒王町での居住場所を追って伝える。それまでに日本に行く準備をしておいてくれたまえ」

 

 

 

「わかりました。それと依頼人に刃を向けてしまったのでこの件はいずれお詫びをいたします。では失礼いたします。」

 

 

 

 颯は踵を返し立ち去ろうとする。・・・が、すぐに立ち止まり振り向いた。

 

 

 

「あぁ、それと、相手の力量が計りたかったら手加減をするにしても、もう少し力を落とした方がいいですよ。腕が立つ相手ならその相手もあなた方を見ていますから。少なく見積もっても、私に仕掛けてきた侍の方と後ろのメイドさん、あと私の仮面を盗ろうしたセラフォルーさんは最低でも悪魔の中でも最上級並みかそれ以上。それに依頼人のサーゼクスさんはおそらく次元が違いすぎますね。ではこれで」

 

 

 

 颯は御辞儀をすると、その場をあとに部屋から退出していった。 

 

 

 

 颯が去った部屋に残された4人は、先ほどとは打って変わって、真剣な表情で颯が去った扉を見ていた。

 

 

 

「・・・どう思う?総司?」

 

 

 

「速度、条件反射は上級クラス並み。剣技に関しては中級以上。これからの成長次第ですが末恐ろしいですね」

 

 

 

「ふむ、グレイフィアは?」

 

 

 

「あの方は部屋に入った瞬間にこの部屋に張られている防御結界に気づいているようでしたので、魔力感知に関しては問題ないかと」

 

 

 

「セラフォルーは?」

 

 

 

「う~ん、二人と同意見だね。ただ、まだ何かを隠している気がするよ」

 

 

 

「何かとは?」

 

 

 

「それが何なのかはわからないけど、何か大きな存在を感じるよ」

 

 

 

「それは私も感じたがそれがなんなのかは不明だし、なおかつそれが複数ともなれば彼の力量は底が見えない。それにしても我らの力量まで見破られるとは思いもしなかったよ」

 

 

 

 若干、笑いながら話しているサーゼクス。その後ろに控えているグレイフィアは複雑な心境だった。

 

 

 

「宜しかったのですか?あの方に二人の警護を頼んで?」

 

 

 

「心配いらないよ。彼は争いごとを引き起こすことはしないだろう。今までの彼の依頼の内容からして不安はないよ。出来ればこのまま悪魔側についてくれればありがたいんだが」

 

 

 

「それは無理だよ、サーゼクスちゃん。あの条件を受けちゃったんだもの」

 

 

 

「まさかあのような条件を付けるとは思いもしなかったからね。ふむ、これは軽率な返事をしてしまったかな?」

 

 

 

「それについてはまた後日話すとして、とりあえず主目的はお願いできたんだし、今回は良しとしようよ」

 

 

 

「そうだね。あとは彼の手腕次第だろうね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 依頼の内容を聞いた颯は部屋へと戻り、着替える前に羊皮紙を取り出し、ロスヴァイセに通信をした。

 

 

 

「・・・というわけで、私はしばらくここを離れ、日本に行きます。ですので、当分の間は依頼は不定期になりますから、通信事態がそれほど出来なくなりますので、その報告をした次第で・・・ロスヴァイセさん?」

 

 

 

 通信を入れた直後はうれしそうな表情で出てくれたのに、遠くの地に行くことに加え、通信自体もろくに出来ないことを伝えると、目を見開き、それ以降固まってしまい、動けないでいた。

 

 

 

「ロスヴァイセさん?ロスヴァイセさーん」

 

 

 

『・・は!?えっとなんでしたっけ?確か、アトランティスは存在したか否かでしたっけ?』

 

 

 

「そんな今世紀最大の謎については一言も話してませんよ。私が依頼で日本に行くという話ですよ」

 

 

 

『そ、それで期間はどのくらいになりますか?何週間ですか?何ヶ月ですか?』

 

 

 

「大体、二~三年くらいですかね」

 

 

 

『に!?』

 

 

 

 護衛対象が高校一年生なら、翌年に入学しても卒業まで換算すれば期間としては最低それくらいはかかるだろう。

 

 

 

『そ、そんなにも休業してしまうのですか!?』

 

 

 

「いえ、べつに魔物の討伐をやめるわけではありませんが、ただ護衛対象がいるから頻度が少なくなるだけで、ロスヴァイセさんの契約は破棄しませんから。ただ以前みたく依頼件数が少なくなるだけですから」

 

 

 

 契約破棄しないと聞いたら少しうれしくなるロスヴァイセ。

 

 

 

『わかりました、それなら仕方ないですね。あ、でも時々でいいので報告に関係なくても私への通信はいつでもいいですからね。待ってますよ!』

 

 

 

「はい、承知しました。では準備等があるのでこれで失礼します」

 

 

 

 颯は返事もそこそこにして通信を終わる。

 

 

 

 

 

 

 

 一方通信を終えたロスヴァイセは、

 

 

 

「(二年、二年ですか。二年なんて今まではあっという間だったのに、今はそれが長く感じてしまう。時々通信を入れてくれるとは約束したし、私との契約自体も無下にはしないといってくれたし、それでいいはずなのに、何でしょう?この胸に穴が開いたような感覚は?)」

 

 

 

 その感情が何なのか、今のロスヴァイセには知りようも無かったが、それに気づくのは、これより大分先になってからだった。

 

 

 

「ロセー、いるー?」

 

 

 

 同僚のヴァルキリーに呼ばれ、気持ちを切り替えて答える。

 

 

 

「はい、なんですか?」

 

 

 

「上役が貴女を呼ぶように言われたから今すぐに来てくれだって、じゃ、伝えたわよ」

 

 

 

「何でしょうか、いったい?」

 

 

 

 ロスヴァイセを呼んだのは確かに直属の上司だが、彼女を呼ぶように指示したのはさらにその上、北欧の主神オーディンからだった。

 

 数ヵ月後、彼女はオーディンの付き人になる。

 

 

 

 

 

 

 

 翌日、名無し(颯)はいつものようにはぐれ狩りギルドにきていたが、真っ先にしたのは、依頼の確認ではなく、マスターへのギルドを離れるという報告だった。

 

 

 

「マスター、実はある人物の護衛を頼まれ、準備が出来次第ここを離れます。ですので、上に借りている部屋の引き払いをしたいんですが」

 

 

 

「そうか、いつかは出て行っちまうんじゃないかと思っていたんだが、こんなに早くなるとはな、寂しくなるもんだ。あの部屋は別に引き払わなくていい、いつでも戻ってきてもいいからな。」

 

 

 

「ありがとうございます、マスター」

 

 

 

「それで、どこに行くんだ?」

 

 

 

「申し訳ありませんが、護衛という形なのでマスターといえども言えません」

 

 

 

「まぁ、そうだろうな。野暮なこと聞いてすまなかったな」

 

 

 

「いえ、では今日は少し荷造りがしたいので、これで失礼します」

 

 

 

 そういうと、颯はギルドを後にした。

 

 

 

 

 

 後日、颯は連絡が来たので、ギルドへの挨拶を済ませた後そのまま、日本へ旅立っていった。ギルド内は名無しである颯の喪失に数日は慌てふためいていたが、数日で落ち着きを取り戻すことが出来たが、やはり心の隅では悲しんでいた。

 

 

 

 そんなある日、二人の男性客がマントを羽織ったままはぐれ狩りギルドへとはいり、マスターへ近寄っていった。

 

 

 

「主人よ、ここに“名無し”という人物がいるはずだが、どこにいる?」

 

 

 

「生憎だが客人よ、奴は依頼で今この地にはいないんだ。遠くへ行っちまったよ」

 

 

 

「ふむ、その場所は?」

 

 

 

「悪いが、それは守秘義務とやらで俺も教えられてないんだ」

 

 

 

 そう答えるとマスターは店の奥へと行ってしまった。

 

 

 

 マントの男性客二人組は目当ての人物がいないことで話し合っていた。

 

 

 

「曹操、どうする?彼がいないのであれば、われわれの計画は大きくずれることになるが」

 

 

 

「そう慌てるなゲオルグ。確かに彼に会えなかったのは残念だが、まだ、勧誘が失敗したわけではない。計画していた予定を若干繰り上げればいいのだし、その最中に彼に会うことだって出来るかもしれないのだから」

 

 

 

「確かにそうだな。まだ完全に行方不明というわけではないのだから、まだチャンスはあるな」

 

 

 

「そうだ。だが、欲を言えば一目彼に会いたかったし、実力も見てみたかったんだがな」

 

 

 

「噂によればだいぶ実力があるようだぞ」

 

 

 

「だからこそだ。せめてその実力の片鱗でも見られればと思ったんだ」

 

 

 

「まぁ、今回は機会が無かったんだ、諦めよう」

 

 

 

「そうだな」

 

 

 

 二人組は多少のやり取りをした後、ギルドを後にした。

 

 

 

 この二人と颯が会うのは、この約二年後だった。

 

 

 

 

 

 




颯が出した条件については後の話の中に出てきますので待っててください。

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