これからも頑張っていこうと思っていますのでよろしければ読んでいただけると嬉しいです。
では今回も楽しんでいただけると嬉しいです。
簾木 健
「さてとりあえず英国には簡単に入れたな」
総司、カナタ、泡沫、陣助の4人は英国。ロンドンの空港に到着した。ここまでの飛行機の手配は《
「ええ。そうですね」
「うわーボク英国は初めてなんだよ」
「おれは久しぶりだな……さて早速だけど陣さん。宿と荷物は任せていいんだよね?」
「もちろんです!!!お三方は今日はゆっくり観光でもしてきてください!!!!自分は下準備を行っておきますので」
陣助はドンと胸を叩く。それに総司はフッと笑った。
「悪いな。ありがとう。あと……下手は打つなよ」
「わかってますよ。では荷物を持って先に言っておきますね。後ほど宿で」
そう言って陣助は行ってしまう。今回の作戦は出来るだけ大事にはまだしたくない。それが総司たちの考えだった。
「しかし月影さんとはおれの動向を把握してるだろうし……こっちまで伝わってないなら動きやすいんだがな」
「まぁまぁそうちゃん今は作戦のことを忘れよう!!折角英国に来たんだから色々行こうよ」
泡沫が明るくはしゃぐ。その様子に総司は力が抜ける。カナタもふふっと微笑んでいた。
「わかった。泡沫はどこか行きたいとこあるのか?」
「えっとね。とりあえずビックベン!!!」
「王道だな。カナタはどこか行きたいとこあるか?」
「私は総司さんとならどこへでも」
「カナタ。そう言ってくれるのはすごく嬉しいけど、たまには我儘言っていんだぞ」
「………そんなこと言ってくださるのは総司さんだけです」
カナタが笑みを浮かべる。それに総司も笑った。
「カナタ行きたいところは?」
「では紅茶を見にいきたいです。新しい場所にも良い紅茶を置きたいので」
「わかった。泡沫もそれで……どうした泡沫?」
その総司とカナタを見ていた泡沫はハァと呆れたようにため息をついた。
「わかってるつもりだったけど、そうちゃんとカナちゃんって夫婦感がすごいよね」
「なっ!?」
「まぁまぁ」
「なんかボクお邪魔な気がしてきたよ」
「いや、いていいからというかいてくれ」
総司がバッと頭を下げる。
「そうちゃんこうしてると《
「そうですね」
二人は楽しそうに笑う。総司は頭を上げ同じように笑う。
「さて時間は限られてるしいくか」
総司はそう言って歩き出した。
「一応これで全部周ったな……」
場所は市街地のカフェ。そこで三人は紅茶を飲んでいた。泡沫が行きたいと言っていた場所を周り、このカフェの紅茶が評判であり、販売もしているということだったのでこの場にやってきた。
「そうだね。いやーなんかボクばっかりはしゃいでごめんね」
泡沫が笑う。総司も少し気怠さを感じらがらもフっと笑った。
「いいよ。七星剣舞祭が終わってから怒涛のようで、こんなゆっくりできることなかったからな」
「そうですね。ここの紅茶も評判通りおいしいようですし、帰りにちょっと多めに買っていきましょう」
カナタも優雅に紅茶を飲みながら言った。
「えーとじゃあ勝手だけどボクは宿に戻ってるね。そうちゃんとカナちゃんはもうちょっとゆっくりしておいでよ」
そう言いながらピョンと椅子から降り総司に止める暇など与えずに出口から出ていってしまった。
「……それで?カナタ何の話?」
泡沫が出ていき総司とカナタをここに残した理由は検討がついていた。
「さすがは総司さんです。すみません」
カナタも総司が理解していることを理解し、一言謝罪を入れる。それに総司はいいと手を動かす。
「おれもカナタに話があったからちょうどいい。それで?要件は?」
「そういうことでしたら総司さんの要件をお先にどうぞ。私の話が後の方がよろしいと思いますので」
「そっか。じゃあ……カナタ。
それは今まで聞けずにいたが、必ずこれから立ちはだかる問題であった。貴徳原はかなりの名家だ。玖原も名家ではあるが、今回の件は元々玖原の発案で総司は玖原を飛び出してきた。しかしカナタは貴徳原に何も言わずにここまで来ていた。それが総司は気がかりだったのだ。
「そうですね……正直言いますけど大丈夫ではないです」
「だよな」
カナタが珍しく苦笑いを浮かべる。カナタは普段表情があまり変化しない。こんな風に表情に色が出てくるのは幼なじみである総司や親友の刀華の前だけだ。
「とりあえず……玖原の方から手をまわしておくよ」
「お願いしますね。それとこれは私の話でもあるんですが……」
カナタはふうと息を1つつき、声を整える。そしてまっすぐに総司を見ていった。
「総司さん……そうちゃん!!私と結婚してください」
「………………ハァ!?」
思わず立ち上がり総司が叫ぶ。さすがに周りの人たちもその声に驚き二人を見る。しかしその視線など今の総司に気にする余裕はない。
「本気?」
「さすがの私でもこんなこと冗談ではいいません」
「いや……悪い。それはわかってるんだけど……マジ?」
「ええ。とりあえず座ってください。周りも見ていますから」
「えっ!あ、ああ」
総司もゆっくりと席に着く。それで周りのお客さんも視線を二人から逸らす。
「で?どういう考えって……なんでカナタ笑ってるんだよ?」
「いえ。そうちゃんがここまで焦ってくれるなんてなんだか嬉しくて」
「そりゃ急にプロポーズされたらこうなんよ」
「そうですね。順を追って説明しますね」
総司もカナタも二人で落ち着き話を始める。
「えっと私としては総司さんの傘下に貴徳原自体取り込んでしまうのがいいのではと思うんです。そうしてしまえば私や総司さんの力で貴徳原の財力を使うことができるようになりますし、それが最も合理的だと思います」
「……カナタ。おれ前に言ったよな」
そのカナタの説明総司が低い声で告げる。
「おれはそんな政治的な理由で結婚とかはしない。もちろんそれで幸せになれる可能性もある。でもあれは真に幸せにはなれないと思う。だから……」
その考えは昔から総司が持っている考え。それはカナタも知っていた。しかしカナタは笑いかけた。
「それはわかっています。でも私は心から総司さんを愛していますよ」
「……昔から変わらないな」
「この気持ちは永遠に変わりません」
カナタが手を胸に当ててそうつぶやく。幼き頃の約束。それは総司も鮮明覚えている。総司自身の初恋もカナタなのだ。
「カナタ。おれは
「気にしません。そんな総司さんも好きですよ」
「おれはまだ……決めきれてない」
「そうです。その件なんですが………」
カナタがパンと手を叩く。それに総司はキョトンと首を傾げる。そしてカナタは衝撃的なことを言った。
「みんな一緒に囲ってしまえばいいんですよ」
その言葉に総司は一瞬目を見開き、ハァとため息をついた。
「カナタ結構すごいこと言うな」
「だってもう総司さんは日本の国籍に縛られていません。ですから法律も関係ありません。だから刀華ちゃんもキリコさんもみんな一緒に幸せにしてください」
「昔読んだどっかの漫画みたいなこと言ってるな」
「でもそれが一番だと思いません?」
「そんな突拍子もないこと想像したこともなかったよ」
「それで総司さんどうしますか?」
「……今ここで答えをださないといけないか?」
「総司さんわかってるでしょ?」
カナタがニッコリと笑う。その笑顔は無邪気だがなにか黒いものを持っていた。その笑顔に総司も観念した。
「わかったよ。カナタ………一緒になろう」
「えっ……」
カナタが両手で口を押さえる。そんなカナタを尻目に総司は左手の手の平に魔力をあつめる。すると一瞬間にその手の上に指輪が乗っていた。
「カナタ左手の薬指を出してくれ」
「………はい」
少し涙を溜めながら左手を差し出す。総司は左手でカナタの左手を優しく持ち、右手でカナタの薬指に指輪をゆっくりとはめた。
「世界一つだけのものだ。どうだ?これではだめか?」
それにカナタは涙を流しながらも首を横に振る。そんなカナタに総司は満足気に笑った。
「じゃあこれからよろしくお願いします」
「こちらこそ……よろしくお願いします」
左手の指に輝くのは青い石。それは美しくカナタによく似合っていた。
いかがだったでしょうか?
50話に相応しい区切りの良い回になったのではと思っています。
さてこれからものんびりと投稿していけたらと思っていますので、これからも楽しんでいただけるように頑張っていきます。
それではまた次回会いましょう。
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簾木 健